内陸へ
海を見る。
波が陽の光りを反射してキラキラと輝いている。
波が寄せては返す。
空の青と海の青、世界は輝いている。
人類が汚した世界は、これから悠久の時を重ねて、浄化していくだろう。
うむ、自然は素晴らしい。そして厳しい。
だいぶ食料と水を消費したので、自然界から都市部へ戻ろうと思う。
この数日間、海近くでテントを張って、波を眺めていた。
こんな贅沢な時間の使い方をした事がない。
分刻みのシケジュール、課題をこなしながら、つぎの段取りを決めながら、運転して、話し相手になって…。
いやいや、人間技じゃなかった。
それが、今や、何もせず、何も考えず、無念無想、まさに自由。
ビバ自由、自由万歳。
しかし、人一人生き抜いて行くには、自然は厳しいのだ。
分かっている。
一度左に折れ、内陸部の商店街を目指す。
住宅を漁るより、お店から直接、缶詰やらを徴収した方が効率が良い。
何年続くか分からないけど、僕は人類最後の一人なのだから、何処で死ぬのも自由だ。
生きるとは、どうやって死ぬことなのだと分かった。
愚かでも、僕が決めたこと。
誰か文句を言うだろうか。
所々階段を登ったり降りたり、内陸を目指す。
小山の上で、海を振り返る。
小さいときにも、この道を通った気がする。
懐かしい。
胸を押さえる。
もう僕は一人なんだ。
まずは食糧を調達しなければならない。




