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おっさん冒険者の代理復讐~オマエの悪事、お天道様が許しても、このタトゥーが許さねえ!~  作者: テツみン


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第1話 おっさん冒険者、町にやってくる

「カルマ様、そろそろ到着しますよ」


 黒髪ボブ、和服姿の美少女が声をかける。


「ん? おお、そうか? ずいぶんと早いな」


 無精ひげに赤毛のボサボサ頭。いかにも冴えないおっさんが、大あくびをしながら身体を起こす。

 胸当てや背負っている大剣からして、冒険者らしい。


「何を言っておる? おぬしは六時間も寝ていたんだぞ」


 揺れる馬車の中でよく寝られるな――と呆れた表情をしているのは、銀髪ロングの幼女。

 見た目は六、七歳。ネイビーのとんがり帽子とワンピース。いわゆるちびっ子魔女である。


 この三人が向かっていたのは、アスタリア大陸の北西部、ブラバドという町。

 かつては王国と帝国の国境近くで、何度も戦争に巻き込まれた地域だ。


『無双王』が大陸を平定して十五年。このブラバドも復興が進み、今では戦争の傷跡がほとんど残っていない。


 やがて、町の広場で乗合馬車が止まり、三人は下ろされる。すると、なにやら騒がしい。


「この子まで連れて行くとはどういうことですか⁉」

「お母さん!」

「エレナ! お願いです。エレナを放してください!」


 母親と十歳くらいの女の子が、ガラの悪そうな男たち三人に絡まれている。

 女の子は、男たちに両手を握られていた。


「なんだ? 白昼堂々と人さらいか?」


 銀髪の幼女が嫌そうな顔で、その様子を見ている。


「カルマ様、何の騒ぎか見てきます」

「ああ――いや、オレが行くわ」


 頭を掻きながら、おっさん冒険者が前に進む。立ち上がるとけっこう大柄だ。それに、肉付きもいい。しかし、猫背でいかにもくたびれたおっさんという歩き方である。


「うるせえ! 借金をしたオマエが悪いんだよ!」

「そんな――借金はエリーゼ、この子の姉を連れて行った時に帳消しにすると――」

「ああ、コイツの姉は『欠陥品』だったから代わりに妹を連れてこいとアゴラさんに言われたんだよ」

「欠陥品⁉ それはどういう……」


(借金? 姉が欠陥品?)

 かなり物騒な話をしているな――カルマはそう思いながら、話しかける。


「ああ、すみません。何やら揉めているようですが、どうかしました?」

「あん? 見かけねえ顔だな? 誰だ?」


 スキンヘッドの男がカルマを見るなり、そう言ってきた。


「オレは、カルマという王都からやって来た冒険者です」

「ぼうけんしゃぁ? ふん、こっちは忙しいんだ。首を突っ込むんじゃねえ。痛い目に遭わすぞ」


 そう相手が脅すのだが、カルマは「はあ」と頭を掻く。


「――今の話だと、借金のカタにこの子を連れて行くような言い方に聞こえたのですが……」

「ああ、そうだよ。金を返せないんだったら、代わりに何かをいただくのが常識ってもんだろ?」


(常識ねえ……)と、カルマは思う。


「ですが、十五年前から人身売買は禁止されています。知らないんですか?」

「はあ? つべこべうるせえんだよ!」


 いきなり殴ってきたスキンヘッドの男。カルマはあえて避けない。拳がカルマの頬に命中した。


「いってぇ!」


 そう叫んだのはスキンヘッドのほうだった。カルマはまるで何事もなかったように平然としている。


「今ので、暴行罪も加わりましたね。衛兵に突き出されたくなければ、女の子を解放しなさい」

「ク、クソ……仕方ない。おい、ガキを放せ」


 スキンヘッドの男が言うと、女の子は自由となり、母親へと駆け出す。


「お母さん!」

「エレナ!」

「ふん! 借金がある限りまた来るからな」

「待ってください! ですからエリーゼは? 欠陥品ってどういう意味ですか⁉」

「ああ、コイツの姉は死んだってよ」


「え……?」


 死んだという言葉に、母親と女の子は凍り付く。


「ど、どういうことですか⁉ 三日前まではあんなに元気だったのよ!」


 母親は男の腕を掴む。


「知るかよ! その汚い手を放せ!」

「きゃあ!」


 スキンヘッドの男が荒々しく手を振ると、母親が弾き飛ばされる。地面に叩きつけられる寸前でカルマがなんとか抱きかかえた。


「ち……ほら行くぞ」と男たちはその場から離れていく。それをカルマは黙って見送った。


「そ、そんな……エリーゼが死んだなんて」

「お母さん……」


 呆然としている親子に、カルマは「よかったら、何があったのか話してもらえませんか?」と声をかけた。


 すると、母親から――


「これもみんな、『無双王』が大陸を平定したから……それで、この町はおかしくなったのよ」

「……えっ?」

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