22話 心配事
マリー「お待たせ―」
私は着替えを持っていき、風呂場で待たせているベアトリスと会った。
ベアトリス「……その服1着しかないと思ってたよ」
マリー「もう思われてたか……」
ベアトリス「そりゃ……その服しか見てないもの、もっと私服着たらいいのに」
マリー「あのなぁ……この服しか持ってないのよ」
ベアトリス「引きこもり生活で?」
マリー「そう……だからあまりファッションセンスないんだよね」
ベアトリス「……体洗う奴ないんだ……どうしてなんだろう」
マリー「あー、客人来るってこと想定してないから……私の使う?」
ベアトリス「引きこもりでか……城下町来たらいっぱいあるのに……」
マリー「……そのS級認定試験の途中で買うよ……」
ベアトリス「それで、なんで私を風呂に誘ったの?」
マリー「……S級認定試験の事なんだけど」
ベアトリス「そのことか……」
マリー「その……試験で死なないよね」
ベアトリス「死ぬよ?」
マリー「いや……あの」
ベアトリス「舐めてかかったら簡単に死ぬよ?」
マリー「そうなのか……」
ベアトリス「それと、私が聞きたいんだけど……いい?」
マリー「いいけど……どうしたの?」
ベアトリス「……あなたの種族、図書館で調べたんだけど……もともとはこの世界になかったらしいね」
マリー「どういう文献で見たんだ?それで」
ベアトリス「……図鑑と……あのワルプルギスに関する本で……ワルプルギスの弊害でこの世界に存在しなかった種族まで流れ込んできたって……書いてあったんだけど……知ってる?」
マリー「知らないけど……母上なら知ってたんだろうな」
ベアトリス「情報源が死んでるのか……なら調べようがない……」
マリー「ちょっとまって?確か日記を付けていたような……その本が保管されてるところが……図書館の奥深く……だよな」
私の記憶だが……昔こんなこと言われたな……困ったときは司書さんに尋ねなさいって……クラウンに尋ねればいいのか……?でもあいつ今の年齢何歳だ?
ベアトリス「それじゃ……その図書館の奥深くにあるって……」
マリー「ああ、そうだな、一度行ってみる価値あるか」
私は風呂から上がり、新しい服を着て、図書館に向かった。
マリー「ねぇ……寝てるか」
クラウン「へぁ!?!?夢を見ていただけなんだよ!?!?」
マリー「それって寝てるっていうんだよ?」
クラウン「それで……どうしたの?読書か?」
マリー「……母上の……本、見せてくれるか?」
ベアトリス「ここにいた……お願い、見せてください」
マリー「だそうだ、見せてやってくれ」
クラウン「……わかった、ただあの場所、数十年足を踏み入れてないから、埃がたまってると思うけど……」
埃が積もった道を進み、重い扉をクラウンが開けた。
クラウン「中まだ綺麗だな……密閉性高いなこの扉」
マリー「……ここが、母上の書斎」
そこは、まるで一人で書き物をするのにぴったりな場所だった。
マリー「……一つの本……365ページか……たまに366ページの奴あるけど……」
ベアトリス「一年の長さか……その本が何冊あるんだ……ざっと見たら……頭くらくらする……」
マリー「一……二……いっぱい!」
ベアトリス「大雑把すぎない……?」
クラウン「えーと、最後の巻数は……1268巻だね」
ベアトリス「ということは、1268年前に来たのか……?」
マリー「1268年……?数字苦手だぁ……」
ベアトリス「……私のこの年表図鑑、見たけど、1268年前にワルプルギスが起こってるね……その騒動の名前は……第3次ワルプルギスの夜……か、前ワルプルギスの夜起こったのは……100年前ぐらいでその時の名前は第4次ワルプルギスの夜」
マリー「第3次……?第4次……?」
クラウン「だめだこの人、数字が出てくると頭がダメになる人だ」
ベアトリス「……第3次の時にたまたまマリーのお母さんが来たのか?」
そしてベアトリスは手を伸ばして1巻の本を取った。
マリー「私にも見せてぇ」
ベアトリス「……10月5週7日、どこなのだろうか、ここは……」
マリー「それで……?」
ベアトリス「それだけしか書かれてない」
マリー「母上はメモをよく取るって聞いてたし……」
ベアトリス「……よく見ると背表紙が違うものもあるね」
ベアトリスは1135巻ををみた。
ベアトリス「これ見て?」
マリー「どうしたのー?って、これ私の赤ちゃんの時の……」
ベアトリス「そうだねー、かわいいんだぁ……」
その時、あの光景が焼き付いていたかのように……あの感情が……見えた。
マリー「……そっか、あの時の感情が」
ベアトリス「だめだ、一冊ずつ見てたら寝る時間が減る」
マリー「にしても、一枚、一枚書いていて、最終的にこんな量の本になるのだから、やっぱり……やっぱり……」
ベアトリス「何泣いてるのよ」
マリー「最高だな、コツコツやるのは」
クラウン「……なんだこの粉」
クラウンは瓶に入っている粉みたいなものを持ち上げた。
クラウン「……少しだけだけど、魔力を感じる」
マリー「魔力が感じられるの?」
クラウン「何の魔力か、わからないけど、解析してみる」
マリー「うん、頼んだ」
ベアトリス「早く寝ようよー」
マリー「私は寝かしつけないとだめらしい、よろしく頼むよ」
クラウン「任されたか……さて、めんどくさいな」
そしてベアトリスを寝かしつけた後、私も睡魔に勝てなくて、そのまま落ちてしまった。
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