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あの、パン落としましたよ  作者: 中州乙乙
16/21

第16話 「遊園地」

「おまたせ〜!待った?」


「いや、ぜんぜん。」


 今日は2人で遊園地に行く日。なに着ていこうか悩んでいたら少し待ち合わせの時間に遅れてしまった。


「じゃあ行こうか。」


 これから行く『東京マーガリンランド』は、日本を代表する遊園地のうちの一つで、週末になるとカップルや家族連れで賑わう。実は、ここに行くのは人生で2回目だ。昔、家族で行ったことがある。たしか、麦子が迷子になって大変だったなぁ‥‥。


「電車来たよ。」


 そんなことを考えているうちに電車がきた。『東京マーガリンランド』は千葉にあるため、電車で行かなければならないのだ。東京って名前についてるのに東京にないのかよ!


「うわっ!混んでるなぁ‥‥。まさかこの人たち全員マーガリンランドに行くんじゃないでしょうね‥‥?」


「はは‥‥、まさか。」


 冗談で言ったつもりだった。しかし、予想は見事的中。遊園地の最寄り駅まで人が降りることはなかった。


 

 満員電車に揺られること1時間。ようやく遊園地についた。


「やっと着いたね。さあ、まずは何に乗ろうか?」


「あれに乗りたい!」


 最初はジェットコースター。次にお化け屋敷。メリーゴーランドに観覧車‥‥。混んでいたけれど、充分遊園地を満喫出来た。ずっとこの時間が続けばいいのに‥‥。それくらい幸せな時間だった。


「ちょっと休憩しようか?」


「うん。ちょっと疲れちゃった。」


 さすがにちょっと遊び疲れたので、ベンチに腰をおろす。


「あ、そうだ。なにか飲み物買って来てあげるよ。」


「ありがとう。私は何でも良いよ。」


 俊介は自販機に向かって走って行く。一日一緒に過ごしてわかった。彼は良い人だ。いや、部屋も貸してくれたし、もともと良い人なのはわかっていたけど。


「やっぱ俊介さんのこと、好きだなぁ‥‥。」


 思わず口に出してしまった。でも、大丈夫。飲み物買いに行ってるから聞こえてないはず‥‥。


「え?今なんか言った?」


「へ?」


 なんと目の前に俊介がいた。


「あれ?飲み物買いに行ったんじゃ‥‥?」


「いや、財布忘れたからとりに‥‥。」


 なんてこった。もしや今の言葉聞かれていたか!?


「今なんか言ってなかった?なんとかが好きって?」


 よかった。なにが好きかまでは聞こえてなかったらしい。でも、どうしよう。今日一日いい雰囲気だったし、思い切って告白しちゃおうかな‥‥。


「え、ええと。私は‥‥。」


 いけ!言っちゃえ!勇気を出せ私!


「好きなんです!え、えっと。その‥‥。遊園地が!」


「そう?そんなに好きなの。いやぁ、喜んでくれたみたいで僕も嬉しいよ。」


 私のバカー!意気地なし!

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