第12話 「電話」
「ごめんね、話長かったよね?」
ヒグラシの鳴き声が聞こえる。気がつけばすっかり夕方になっていた。
「つまり、佐々木さんのお兄さんを殺したのはキミのお姉さんってこと?」
「たぶんね。なんで私の名前を使っているのかわからないけど。」
本当にわからない。なぜ麦子と名乗ったのだろう。罪をなすり付けようとしたのかな?
「ねぇ、お姉さんとは連絡とれるの?いっそのこと本人に確認しようよ。」
「いや、それは無理。あの日からずっとお姉ちゃんに電話してるんだけど、一切つながらないの。メール送っても返信こないし。」
あの日の夜、姉は帰ってこなかった。何度も電話をしたがつながらず。それからずっと毎日、電話をしているがいままでつながったことは一度もない。
信じてくれないだろうな。姉がサイボーグ手術をうけて、殺人鬼になったなんて。しかも連絡はとれないし。これを信じろというほうが無理な話だ。麦子がそんなことを考えていたその時、孝太郎から予想外の言葉が返って来た。
「ありがとう。話してくれて。」
え?信じてくれるの?いやいや、普通信じないでしょ。だってサイボーグとか出てくるし。
「なんでそんな簡単に私の話信じるの?私、殺人犯だって疑われてるんだよ?」
麦子の問いに光太郎は笑顔で答える。
「信じるに決まってるだろ?麦子さんが人を殺すような人じゃないことは俺が一番よく知ってる。たとえ世界中の人がキミを疑ったとしても、俺だけはキミを信じるさ。」
え?なにそのセリフ、カッコいい‥‥。麦子は頬を赤らめた。
「どうしたの?顔赤いよ?」
「うるさいっ!なんでもない!」
その夜、麦子のケータイの着信音がなった。知らない電話番号だな。いったい誰だろう?
「あの、もしもし‥‥?」
おそるおそる電話に出る。
「ひさしぶり。麦子。」
懐かしい声だった。
「え、まさか‥‥。お姉ちゃん‥‥?」




