side佐野響
「あ、やっぱり佐野だ!」
振り向くと見知った顔が立っていた。
「あ、やっぱり佐野か。久しぶり!」
「横川か。久方ぶりであるな」
横川は中学時代の友人の一人だ。高校に上がってからは一度も会っていなかったが中学時代は頻繁に話していた。
(こうして再び友人と会えるのは嬉しいことであるな。息災そうで何よりだ)
「にしても、ますます……。なあ、あっちの方の店で少し話さない?」
横川は少し近づいてくると笑って通りの方の店を指さした。
(私も久方ぶりに話したいが…)
「申し出は嬉しいが、すまない。用事があるので遠慮させていただく」
私が断ると、理由は不明だが横川は私と肩が触れるくらいの距離まで近づいてきた。
「別に少しくらい良いだろ。俺とお前の仲だしさ。」
「すまん。用事に遅れるといかんのでな」
些か、高校の同級生より近すぎるような気がするが中学時代の友人だからだろうか?
「どうせお前、俺に気があるんだろ?ここだけの話、俺もお前のこと気になってたんだよ。」
「気がある?とはどういう意味だ?」
「え、ボケ?佐野って相変わらず変なところでボケ入れるよな。ま、そういうところも可愛いんだけど」
「ボケ?」
(ますます意味が分からんな。だが、このままでは本当に用事に遅れてしまう。友人の心遣いを無下にしてしまうのは忍びないが、いかにして断りの意を伝えるべきか…)
私が、どう断るべきか悩んでいると横川は私の手を絡み取り、笑顔で顔を覗き込んできた。
「ほら、佐野、行こーぜ。お前も楽しみだろ?」
(友人に、こんなことは思いたくないが……些か不愉快だな。捻り上げて…、いや友人に暴力は……)
私が対処に迷っていたその時、私の後ろから声が響いた。
「ちょっと何してるんですか」




