#17
「お前……っ」
伏美はさらに強く丹波の襟を締めたが、それは周りの生徒達が止めた。丹波は忌々しそうに彼から逃れると、もう一つのドアの方から出て行ってしまった。
しかし、まだ教室に入りづらい空気だ。
「ひっ!?」
気まずさに苛まれていたけど、首元に冷たい何かが当たった。
「つめたっ……な、何!?」
「あはは。三尋、何してんの」
振り返った先にいたのはなづなだ。にこにこと、二つ持ってるうちの一つの缶ジュースを俺にくれた。
「さ、さんきゅ。いや……何でもない。授業始まるし、早く教室入ろう」
「うん?」
不思議そうな顔をしてる彼の手を引いて、教室に入る。出来れば、彼に余計な心配はさせたくなくて。
教室に入るとちょっと視線を感じたけど、伏美は俺だけに耳打ちしてきた。
「三尋、気をつけろよ。何か丹波の奴が超荒ぶってて、お前がターゲットになればいいみたいなこと言ってたから」
「そ、そう。分かった。ありがとう」
「ったく、ムカつくな。不安なのは皆同じなのに……ぶっ飛ばしてやろうかと思ったよ」
伏美の怒りは収まらないようだ。他人の為に怒れるあたり、彼は根が本当に良い奴なんだろう。
「伏美、サンキューな!」
軽く肩を押して、お礼を言う。
できれば、もうこんな事で悩んだり傷ついたりしたくないけど────確実に、順番は迫ってきていた。




