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親ガチャ転生~毎回親に殺されるので転生を拒否したら、異世界の女神様から産まれました~  作者: 里見みさと
第3章 孤児院にて

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18 名探偵リンカ(2歳)大聖女強盗傷害事件

早いもので、異世界転生してから二年が経過した。

私はおむつも取れ、おしゃべりもかけっこも上手に出来るようになったよ。もう赤ちゃんは卒業だ。

乳母だったハンナさんは、卒乳してすぐに妊娠して元気な男の子を産みました。今はパン屋と育児でてんてこ舞いなんだって。すぐに子どもを授かるなんて、さすがは女神フィーレア様だ。いい仕事してるよね!


半年ほど前、院長先生から老朽化した教会と孤児院の改修のため、『リンカの養育費の一部を使わせてほしい』と打診があった。

もちろん「いいよ」と答えたよ。養育費は1レア単位できちんと帳簿をつけていて、あとで返すと言われたけど、全部使っても構わないと返答しておいた。お世話になっているのは私の方なんだからね。


建築計画は壮大で、ただ建て直すのではなく、新しく造る大広間で、街の子どもたちを集めて読み書き計算を教えるんだって。

この世界には学校というものがないらしく、貴族は家庭教師を雇えるけど、平民の子は学ぶ機会が無くて識字率が低いのを懸念していたそうだ。さすが大聖女様だ。目の付け所が違うよね。私も一緒に勉強する予定なんだ。


そんな感じで、私は何不自由なく、のほほんとした日常を送っていたのだが…。

事件は起きてしまった。




大規模な改修工事がやっと終わり、完成披露式典の日を迎えた。

大広間に街の人々や、お世話になった貴族を招いての立食形式のパーティーで、各々談笑しながら料理をつまみ、時には商談などもあるようだ。

幼児の私には場違いなので、壁際の椅子に座って人間ウォッチングをしている。


中でも目立っているのは、キラキラした笑顔を振りまく、長い金髪と碧眼で美形の優男だ。女子たちにキャーキャー言われている。

聞くところによると、まだ未婚の男爵様なんだそうだ。どこが良いのかわからんわー。



式典は無事に終了し、みんな帰っていった。

その場に残っているのは、領主様、キラキラ男爵様、ハンナさん、大工さん、冒険者ギルドのギルマスさんと、A級冒険者だという片足の男の人。

あとは私を含めたちびっ子たちだ。


大工「工事代金ですが、前金はいただいておりますので、残りは200万レア、白金貨2枚になりますな」


院長「わかりましたわ。事務所に取りに行ってまいります。皆さまごゆっくり…」


大工「ではわたしはその間に各所の点検に」


領主「わしは建物を見学してくる」


男爵「葉巻を吸ってくる」


片足の人「お、俺はトイレに…」


ハンナさんとギルマス以外の大人はみんな席を立って、ひとつしかない廊下に繋がる扉から出て行った。


片足の人、顔色が悪いけど大丈夫かな?足の包帯に血がにじんでいるし心配だ。

うぅ~私もトイレに行きたくなってきちゃった。あの人が出たら入ろう…。

………

……


まだかなぁ……そわそわ……

誰も出てこない扉を見つめながら、しばらく待っていると、


「きゃーーっ!」


院長先生の悲鳴が響き渡った!


「おチビちゃん、事務所に案内してくれ!」

「うんっ!あっち!」


私はその場にいたギルマスさんに抱っこされ、まっすぐ事務所に向かった。

聖女クリスも後ろから走ってきている。

途中、誰とも会わないまま事務所に到着した。


事務所では院長先生が後頭部から血を流して倒れていた。

開いたままの金庫からは革袋が引きずり出され、白金貨がこぼれ出ている。

あれは私の養育費が入っていた袋だ。

そのせいで、院長先生が!?


「いんちょうせんせーーー!うわーーーん」

「リンカ、気絶してるだけだから大丈夫よ。私が治すわ!『ハイヒール』」


聖女クリスによる『ハイヒール』で、みるみるうちに傷はふさがり、動かなかった院長先生がむくりと起き上がった。

血が足りず顔色は悪いままだけど、怪我は完治しているようだ。


『ハイヒール』は聖女以上しか使えない魔法だ。ここが教会だから、そして聖女がいたから助かっただけで、もし他の場所だったら命は無かったかもしれないのだ。


「は~よかったぁ……あっ!」


私は安心して体の力が抜け、同時にトイレを我慢していたことを思い出した。

はい、その場でやらかしましたよー。うわーん。

こちとら体は幼児だけど頭脳は大人なんでね、落ち込んじゃうよ。



着換えを済ませてひとりでトボトボと廊下を歩いていると、窓際に野良猫がいるのに気がついた。

その猫には血が付いている!


『目撃者発見っ!』


私は迷わず【言語理解スキル】を発動した!


『にゃにゃっ!あんた猫語を話せるのにゃ?驚いたにゃー』


『猫ちゃん、実はね、事務所で院長先生が襲われたの。あなたの体に血が付いてるんだけど、あの事件現場に居たの?』


『うん、居たにゃ。()()()の男が、何か黄色っぽい物?で殴っているのを見たにゃ!』


『凶器は黄色い物ね!犯人はハゲ頭?ハゲてる人といえばギルマスさんだけど、ずっと一緒にいたから違うしなー。犯人の顔は見たの?』


『後ろから見ただけでハゲ頭しか見てにゃい。顔はわからないにゃ。院長先生には時々ごはんをもらっていたにゃ、ぜったい犯人捕まえてにゃ!』


『うん、わかった!情報ありがとねっ』


猫ちゃんはそのまま窓から外に出て行ってしまった。

みんなに紹介するわけにもいかないから仕方ないか……。



大広間に戻ると、容疑者が並んでいた。

席を外していた、大工・領主・男爵・片足の男の4人だ。

院長先生は後ろを向いていたため、犯人の顔は見ていないとのことだ。

被害額は帳簿と照らし合わせたところ、白金貨10枚。1000万レアと判明した。立派な【強盗傷害事件】である。


犯人はこの中にいる!


4人はすでに憲兵さんによりボディーチェックを済ませていて、パンツ一丁になっていた。

4人それぞれが怪しいらしく、まだ凶器はみつかっていないとのことだ。

猫ちゃんが言っていた、ハゲてる人はいないようだが…。


所持品は、

大工…バール、金槌、くぎ、木材、小銭たくさん、金貨100枚、白金貨3枚

領主…小銭たくさん、金貨10枚、白金貨10枚

男爵…葉巻、小銭少々、金貨1枚

片足の男…杖、小銭少々、金貨5枚、白金貨5枚


●事情聴取(大工)

憲兵「大工よ、なぜ大金を持っている?バールや金槌も怪しい!」


大工「仕事で使うからいつも持ち歩いているんだ。怪しくはないだろう?勘弁してくれ…」


確かに、凶器になりうるものを多数所持している。それに小銭の詰まった袋はそのまま凶器にもなる。ミステリーの定番だ。


●事情聴取(領主)

憲兵「領主様、手荒な事をして申し訳ありません。なぜ白金貨10枚をお持ちなのですか?」


領主「うむ、私も事件の解決を望んでいるので大丈夫だ。白金貨10枚は何かあった時のためにいつも持ち歩いている。まあ領主の務めだな」


領主様は白金貨10枚と、小銭の詰まった袋を持っている。怪しいの?

顔は厳ついけど優しいおじさんなんだけどね。


●事情聴取(男爵)

憲兵「男爵様も、手荒な事をして申し訳ありません。とくに怪しい所はございません!」


男爵「おい貴様!貴族に対して無礼だろう!だが私は心が広いのでな、許してやる!気分が悪い、もう帰らせてもらうぞ!」


憲兵「あ、ありがとうございます!もう少しお待ちいただければ……」


男爵「ふんっ!」


この男爵、美形だけど態度が悪いな。貴族らしい貴族と言えばそうなんだけどね。

凶器っぽい物もお金も持ってないけど、はて?何か気になるなぁ……何だろう?


●事情聴取(片足の男)

憲兵「おまえも金を多く持っているな。あとその杖、凶器にも使えるだろう?」


片足の男「私はこう見えてA級冒険者だ。今まで貯めた金は腐るほどある。この白金貨5枚は、大聖女様の治療を受けるための代金だ」


院長先生「たしかに、ギルマスさんから頼まれて本日治療の予約を受けてます。代金も白金貨5枚で合ってますわ」


憲兵「むむ、大聖女の『エクストラヒール』は部位欠損まで治すというのは本当なのだな。しかし500万もかかるとは……」


院長先生「『エクストラヒール』の詠唱には、ステータスシステムの上限である、MP999を使用します。使った後はしばらく起き上がれないほどの魔力量なの。そこまで魔力を上げるために、今まで命懸けで修業してきた結果なのです」


憲兵「そ、それは失礼しました!」


この世界のステータス上限は999なのか。

まあ、私は∞なんだけどね。ありがとうフィーレア様!

もっとも、片足の男の人には犯行は無理だろうね。

多分熱が出てるし、今にも倒れそうな顔色だ。



となると、怪しいのは大工さんとキラキラ男爵かな。


うん?

男爵、葉巻を吸いに行く前とあと、何かが違うと思ってたけど、

()()か!


「だんしゃくさん、ずれてる!」


無邪気な2歳児は、男爵の頭を指差して叫んでやった。

男爵の金髪のつむじが、右に3cmずれていたのだ。

【瞬間記憶】のスキル持ちの私は1mmの違いでも見逃さない!


すると周りが慌てだした。


「リンカちゃんダメよ。大人には色々事情があるの!知らないふりも大事なのよ」


「おチビちゃん…ハゲにはな、ハゲなりのプライドっつーもんがあるんだよぅ」


院長先生にたしなめられ、ギルマスさんに泣かれた。

なんだ、ヅラなのは周知の事実だったのか……。

それでも私はやめない。

犯人は男爵だ!


精神的ショックで膝をついた男爵に駆け寄った私は、むんずと金髪のヅラをつかみ剥ぎ取った!

ただの幼児の悪戯ではない。

ここからは、名探偵リンカ(2)の出番だ!


「あれれー?かつらのうらにちがついてるよー。それにほら、うらにポケットがある。うわー、おかねがいっぱいだね!おもいから、あたればいたいよね?」


「「「な、なんだって!」」」


その場で憲兵によりかつらは回収され、ポケットの中身を調べられた。

出てきたのは白金貨10枚の他、金貨や指輪、ネックレスなどの貴金属だ。

ここ最近、パーティー会場で多発しているスリもこいつの犯行だったらしい。

ヅラの裏側には、殴った時に付いた血も確認された。


連行される男爵。

「ちくしょう、チビ!お前はいったい何者だ?」


「こじのリンカ、たんていよ!」


まあ、色々あったけど事件は無事解決した。

真実はいつもひとつ!



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