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Requiem to the AVALON  作者: 大猩猩和
獣王国ガルニシア編 第一章 壁越え
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第25話 螺旋階段での戦い②

 螺旋階段での迎撃を始めてから5分が経過した時、アレスとゾンビの群れとの距離は20メートルを切っていた。


 流石のアレスもこのままではまずいと判断し、後退を余儀なく迫られた。


 後退することになったアレスは螺旋階段を登りつつも魔力の矢による迎撃は続けており、この迎撃のおかげで何とか逃げられるだけの時間は稼げていた。


 しかし、アレスがいくらゾンビたちを倒しても群れの勢いは止まるところを知らず、アレスへ向かってくる。


 アレスも必死に螺旋階段を駆け上り、ゾンビの群れとの距離を取ろうとする。


 だが、このアレスとゾンビの群れとの距離は少しずつ縮まっていき、その距離は10メートルを切った。


 ゾンビとの距離が10メートルを切ったことでアレスの焦りも最高潮に達しており、深呼吸程度では落ち着きを取り戻すことはできない。


 アレスは焦り始めたこともあり、迎撃で放っていた魔力の矢を少しずつ外し始めた。


 魔力の矢を外す度にアレスの焦りは募っていき、その焦りのせいで再び魔力の矢を外してしまうと言う悪循環を起こしていた。


 そして、アレスが魔力の矢を外す度にゾンビの群れとの距離は一気に縮まっていく。


 アレスもこのまま外し続けると本当にまずいと思い、焦る心を落ち着かせようと様々な手を試してみるが、その心が落ち着くことはなかった。


 逆にゾンビたちの足音が少しずつ近づいてきていることに焦りを覚えてしまい、アレスの焦りは募っていく。


 そんな焦りを隠せないアレスであるが、彼にも希望はあった。


 それは生命の樹のある階層に後少しで辿り着きそうであることだ。


 生命の樹の階には最上階へ上がるエレベーターがある。


 このエレベーターに乗ってしまえば、ゾンビたちは最上階にたどり着くこともできないので、実質的にアレスの勝ちである。


 そのため、アレスは必死に螺旋階段を駆け上り、エレベーターを目指す。


 エレベーターを目指して螺旋階段を駆け上っているアレスは距離を詰められないようにするためにも迎撃として魔力の矢を放つ。


 魔力の矢のうち数本はゾンビたちに命中したが、致命傷ではなく、ゾンビたちは変わらない様子で螺旋階段を駆け上っている。


 魔力の矢を放ったアレスは再び魔力の矢を放とうとするが、己の魔力が底をつきそうなことに気づく。


 アレスは直ぐに魔力を回復させるために青リンゴを取り出そうとする。


 しかし、青リンゴは既に底を尽きていた。


 魔力を回復させるための手段を失ったアレスはただひたすら螺旋階段を駆け上っていく。


 魔力の矢による迎撃がやんだことでゾンビの群れの速度は更に上がる。


 そうして、アレスは後ろに振り向かずに必死に走り続け、ついにゾンビに追いつかれることはなく、生命の樹のある階層へ滑り込んだ。


 滑り込んだアレスはそのままエレベーターへ向かい、上へ上がるためのボタンを押そうとしたのだが、その時に違和感を覚えた。


 それは先ほどまであれほどのゾンビが追いかけてきていたはずなのに生命の樹のある階層には一切入ってきていないからだ。


 アレスはこのことに違和感を覚え、一旦エレベーターで上層へ向かう前にもう一度螺旋階段の方へ戻ってみる。


 螺旋階段の方へ戻ってきたアレスは目の前の光景に驚きを隠せなかった。


 なぜなら、ゾンビの群れが生命の樹のある階層にギリギリ入らない位置で立ち止まっていたからだ。


 それもアレスがこうして、目の前にいるのにだ。


 そのことに違和感を覚えたアレスはこの現象について考察を始める。


 アレスが最上階にいた時はゾンビたちが彼を追いかけるようなことはしなかった。


 次にアレスが生命の樹のある階層から下へ降りた時は自分を仕留めようと追いかけてきた。


 そして、現在アレスが目の前にいると言うのにゾンビたちは生命の樹のある階層に入ってくる気配はない。


 ゾンビに追われた際と追われなかった際の違いは一つ。


 それは生命の樹よりも上にいたのか、下にいたのかだ。


 生命の樹よりも上の位置である時計塔の最上階や生命の樹のある階層にいた時はゾンビたちに追われることはなかった。


 逆に生命の樹よりも下にある螺旋階段でゾンビたちと出会した時は彼らに追われてしまった。


 この情報から、ゾンビたちは生命の樹のある場所には入れないのではないかとアレスは考察する。


 こうして、目の前にいるゾンビたちが生命の樹のある階層へ入って来ないことから、この考察は間違いないだろう。


 ゾンビたちが生命の樹のある階層へ入って来れないことを知ったアレスはこれはチャンスではないかと考えた。


 何故なら、今なら一方的にゾンビたちを蹴散らすことができるからだ。


 今のアレスは生命の樹からのバックアップにより、無制限に魔力を使用することができる。


 そして、ゾンビたちはアレスの元へ辿り着くことはできない。


 このことから、アレスは一方的にゾンビの群れを蹂躙できると考えた。


 考えを思いついてからのアレスの行動は早かった。


 アレスは大量の魔力の矢を生み出すと、立ち呆けているゾンビたちに向けて一斉に放つ。


 かつてないほどの弾幕にゾンビたちは次々にやられていき、アレスによる蹂躙が始まったのだった。


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