第12話 騎士への質問
アレスは檻の中に囚われている騎士を助けるかは置いておいて、まずは話を聞いてみることにした。
騎士の話を聞いてみることにしたアレスは階段を降りていき、騎士と視線が合う位置まで降りてきた。
そして、アレスは騎士に話しかけた。
「俺はまだお前のことを信用していない。だから、助けるかどうかは今のところ決めていない。これから俺のする質問の返答次第だ」
騎士に話しかけたアレスはまだ騎士のことを助けることはなく、自分からの質問の返答次第であることを伝えた。
アレスから自分の質問に対する返答次第であることを伝えられた騎士は特に残念がる様子はなく、アレスからの条件に納得している様子であった。
まあ、普通に考えて檻に囚われている時点で騎士が怪しいと思い、警戒するのは当たり前であり、アレスの態度も仕方ない。
騎士が逆らう様子はなく、自分の質問に答えるような態度を示したことから、アレスは騎士に一定の信頼を置くことにした。
そして、騎士のことをある程度信じてみることにしたアレスは早速質問をしてみる。
「一つ目の質問だ。お前の名はなんていうんだ?」
アレスは一つ目の質問として、騎士に名前を質問した。
名前を聞かれた騎士は、
「私の名はガレスだ。見ての通り騎士であったが、仕える主人を失い、今は流浪騎士をやっている」
自分の名前はガレスであることをアレスに伝えた後、今は流浪騎士をやっていることも話した。
どうやら、ガレスはアレスの予想通り何処かの国に仕えていた騎士だったようだが、仕えていた主人を失ってしまったようだ。
そして、今は主人のいない騎士であり、傭兵のような立ち位置である流浪騎士をやっているとのことであった。
ガレスからある程度の素性を伝えられたアレスは次の質問に移る。
「それじゃあ、次の質問だ。ガレスはなぜ、檻に閉じ込められているんだ?」
アレスは二つ目の質問として、ガレスにどうして檻に囚われているのかと質問した。
アレスから檻に囚われている理由を質問されたガレスは少し気まずそうにしながら、
「私も獣王ガルフィンドを討ち取りにガルニシアを旅していたのだが、旅の途中で休んでいるところを獣王ガルフィンドの配下に奇襲されてしまった。そして、呆気なく彼らに捕まってしまい、気づいたらこの檻に閉じ込められてしまっていたのだ」
休んでいたところをガルフィンドの配下に奇襲を受け、呆気なく捕まってしまった後、この檻に閉じ込められてしまったと話した。
ガレスはアレスよりも先に獣王国ガルニシアを旅していたようであり、ガルフィンドを討ち取ろうと最奥にある獣王要塞を目指していたようだ。
ガレスは獣王要塞を目指している最中、何度もガルフィンドの配下と戦いになりながらも順調に旅を進めていた。
しかし、獣王要塞を守る最後の壁の攻略を行っている最中、彼はガルフィンドの配下からの奇襲を受けてしまい、ここへ連れて来られたようだ。
そして、ガレスの口ぶりから、彼はガルフィンドの配下に捕まった際には気を失っていたことが窺え、自分の今いる場所を詳しく把握しているわけではなさそうであった。
それでもこの場所に関する情報はある程度知っている様子であり、完全に知らないというわけではなさそうだ。
ガレスが檻の中に囚われていた理由を把握したアレスは三つ目の質問へと移る。
「三つ目の質問だ。どうして、俺がこの時計塔の鐘を鳴らしたからといって獣王ガルフィンドを討ち取りにきたと分かったんだ?」
アレスはガレスになぜ、時計塔の鐘を鳴らしただけでガルフィンドを討ち取りにきたのだと分かったのかと質問した。
アレスからの質問を受けたガレスは少し驚いたような様子であったが、すぐに平静を取り戻し、
「それはこの隔離区画にある四つの時計塔にある鐘は正門を開けるための封印となっているからだ。どうやら、貴公は知らないようだが、この隔離区画にある四つの鐘を鳴らすと正門の封印が解け、開くそうだぞ?」
ガレスはなぜ、アレスがガルフィンドを討ち取りにきたのか分かった理由を説明した。
ガレスの説明によると、今アレスたちがいる場所は隔離区画という場所であるようだ。
この場所はガルニシアの国民の中で狂気に取り憑かれた者たちを収容するために作られた区画らしく、アレスが隔離区画に来るまでに見てきた獣人のゾンビたちがたくさんいるとのことだ。
ガレスの話によると、この隔離区画だけではなく、ガルニシア全体が既に魂の摩耗により、正気を保っている者がほとんどいないらしい。
そのため、今となってはこの隔離区画は意味がないそうだ。
そして、この隔離区画にある四つの時計塔の鐘は正門を開くための仕掛けになっているらしく、この四つの鐘を鳴らすことで正門を開くことができるそうだ。
この正門というのはアレスが開けることを諦めたあの門であることが分かる。
何故なら、他にもこの正門以外にも入口自体はあるそうだが、他のものは基本的に隠し通路やガルフィンドの配下しか使えないような道という普通では見つけられないものであるからだ。
ガレスの口ぶりから、彼もこの裏ルートでガルニシアに侵入したことが窺える。
そうして、ガレスから有益な情報を教えてもらったアレスは彼のことを一旦、仲間だと仮定することにし、檻から出すことにしたのだった。




