表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Requiem to the AVALON  作者: 大猩猩和
獣王国ガルニシア編 第一章 壁越え
10/27

第10話 隔離区画への侵入

 アレスは再び龍に襲われないかと警戒しながら橋を渡っていたのだが、特に何か問題が起きるようなことはなく、橋を渡り切ることができた。


 橋を渡り切る前からも気付いていたことだが、この橋の先にあった門は閉まっていた。


 そして、橋を渡った後、この門を開けるための装置などを探してみたのだが、見つけ出すことができず、中へ入ることができなかった。


 門から中へ入ることができないことを確認したアレスは門の右手にある関所の中へ入ってみることにした。


 この関所には先ほども入って中を確認したのだが、ここは関所として機能していないようであり、中には誰もいなかった。


 まあ、普通に考えて出入り口である橋があれだけのゾンビで溢れかえってしまっていたら関所として使えるわけがないので、誰もいないことは決しておかしなことではない。


 アレスは誰もいない関所の中を再び探索し始めたのだが、案の定何も見つからなかった。


 どうやら、この関所にはただの見張り用であるらしく、重要な装置などは一切ないただの部屋であるようだ。


 アレスはいくら探しても門を開けるための装置は見つからなかったので、焦る気持ちを落ち着かせるためにも少し休憩を取ることにした。


 そうして、休憩を取ることにしたアレスであったが、ただ座るだけでは落ち着かないので、関所の中にある本棚で何か良い本はないかと探し始めた。


 この関所には珍しいことに本棚が設置されており、この本棚にはたくさんの本が仕舞われていた。


 それもどの本も保存状態がとても良く、放置された関所にある本にしては綺麗だなとアレスも思った。


 この本棚に少し違和感を感じながらもアレスは本を探していると、少し気になる本を見つけた。


 その本のタイトルは『獣王国ガルニシア 歴史書』であり、タイトル通りガルニシアに関する歴史書である。


 アレスは記憶喪失であるため、この世界のことについてほとんどのことを知らない。


 そのため、少しでも世界について知ろうと思い、この歴史書を読もうと思ったのだ。


 そうして、アレスがガルニシアの歴史書を取ろうとした時、


『カチッ』


 という何かのスイッチが入ったような音が関所の中に響き渡った。


 アレスがその音を不審に思いながらも本を引き抜こうとしたが、何かに引っかかってか本を引き抜くことができなかった。


 なので、アレスはガルニシアの歴史書を読むことを諦め、本から手を離した。


 そうすると、本棚が木を引きずるような音と共に動き始め、本棚のあった壁にどこかへ繋がる通路が現れたのだった。


 アレスはいかにも分かりやすい隠し通路だなと思いながらも他に道がないので、この隠し通路を進むことにした。


 隠し通路を進むことにしたアレスは通路の中へ入ってみると、上へ伸びる階段が伸びていた。


 アレスは階段を上がり始めたのだが、この通路には灯りが一つもないので、安全のためにも壁に手を当てながらゆっくりと階段を上っている。


 アレスが階段を上り始めてからしばらく時間が経った時、階段の上の方でわずかな光が見えた。


 光が見えたアレスはもう直ぐ出口に辿り着けると安堵すると、その光の方へ向けて階段を上り続けた。


 そうして、光の元まで階段を上り切ると、アレスは外に出たのだった。


 そして、外に出たアレスの先には壁で囲まれた広大な街が広がっていた。


 この街は近代ヨーロッパの街並みに似ており、そこまで古臭い印象は受けない。


 そして、この街の一番の特徴は士郎の目の前にある超巨大な時計塔とそれと同程度の時計塔が三棟建っており、時計塔の上階には大きな鐘が吊るされていた。


 他にもたくさんの建物が建っているが、アレスが出た位置は壁の中でも高い位置に出たため、下の様子は小さすぎてよく見えない。


 そんな広大な街であるのだが、アレスはこの街に漂う違和感に気がついた。


 それはこれだけ広大な街であるのに、全く賑わっておらず、街は静まり返っているのだ。


 これだけ広大な街であるならば、その分街に住む人は多くなり、街は多くの人々によって賑わう。


 しかし、この街はその規模の割には全く賑わっていない。


 そのことに違和感を覚えたアレスはこの街のことを警戒しながら目の前にある時計塔へと繋がる橋を渡り始めた。


 アレスは橋を渡っている最中も下の様子が気になり、視線を下に落としながら歩いていると、


『グルルルアアアアア!!!!』


 鳥と獅子が合わさったような咆哮が聞こえてきた。


 アレスは直ぐに顔を上げ、咆哮が聞こえてきた方へ視線を向けると、その先には獅子の胴体に鷲の頭と翼がついた化け物がいた。


 その化け物はグリフォンである。


 グリフォンが咆哮を上げ、こちらへ向かって来ていることを確認したアレスは全速力で時計塔の方へ走り出した。


 グリフォンは空を飛ぶ生物だ。


 そして、グリフォンの体はその頑強な筋肉により、並の攻撃では肉を裂くどころか、傷をつけることもできない。


 今のアレスの遠距離攻撃手段はただの弓しかない。


 そのため、今のアレスではグリフォンに勝つことは出来ないため、逃げるという選択肢を取ったのだ。


 そうして、アレスは全速力で走り、何とかグリフォンに追いつかれる前に時計塔の中へ入ることができたのだった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ