47、三大暴走族②
私は、武器を振り回すことで上半身に気が入っている、五十人の下半身を攻撃する事に決めた。校内の不良グループとの対決の時、中二軍団をローキックで全滅させたが、同じ事をする事にした。ただ違うのは中二ヤンキーの二倍は強そうなので、威力もスピードも二倍にした。一秒間に二人の敵が私のローキックを見舞い、コマのように二回転、三回転をしながら、吹っ飛び地面に叩きつけられる。車にはねられた歩行者のように寝転がり、壊された方の足を押さえている。私が蹴り上げる度に三大暴走族の猛者たちは、ボウリングのピンのようにはじき飛ばされていく。中には私の攻撃に合わせて、自身の持つ日本刀を足に沿え、私の蹴り足に刃を向けたが、白龍のオーラでコーティングされた私の足はかすり傷ひとつ付かず刀身を折りながら、その持ち主を宙に四回転させた。三十秒もしないうちに、トップ五十人は壊滅した。地元では頂点に君臨している猛者たちが、地面に倒れみじめにうごめいている。路上の王達を瞬殺した私は、闘神と言ったところか。闘神の余りの強さに、千人を超す不良たちは静まり返っている。その中の一人が唖然としながら呟く。
「ぜ、全滅? 五十人の喧嘩屋が全滅? 三十秒も経たずにかあ…………化物か?」
「ほら、どうしたかって来いよ。こっちは女一人だぞ。てめえらヤンキー千人もいてかかってこないのかよ、コラッ!」
私は五十人の喧嘩屋をなぎ倒した直後、まだ無傷の千人のヤンキーに喧嘩を売る。
「校内の中坊シバけば、高一のバカが先輩面して喧嘩売るから秒殺してやった。次はアホ面ぶら下げた高二、高三が最強謳って乗り込んできたから、血塗れにして倒してやった。今度は千人引き連れた喧嘩屋五十人が相手だとよ。その間抜けどももたった今潰して足元に転がってるよ。ほらお前らかかって来い! 根こそぎ潰してやるからかかってきやがれ!」
私は両手を差し出し、来い来い来い、と手招きするが千人のヤンキーらは身動きひとつしない。白龍のオーラが私を包み込み、白い炎のように三、四メートル揺らめいている。それはオーラの見えないヤンキー達にも、圧迫感として押しせまっていた。
「お前らヤンキーは学校にいる時は、ここは自分の縄張りだと不必要にデカイ声で練り歩き、気弱なマジメな子を標的にしては、弱い者いじめで強者ぶる。殴る蹴るの犯罪行為をして、他人の尊厳を傷つけてる犯罪者のくせに、マヌケな教育関係者が追い出すこともしないから、『不良』と呼ばれる自分に酔いしれてやがる。街に出りゃあ大声で騒いで物を壊し、喧嘩を売って迷惑行為するのも、自分たちに許された特権だとでも錯覚してやがる。馬鹿の一つ覚えみてえに腕や背中に刺青入れて、自分の強さに磨きがかかったと勘違いしてやがる」
私は、千人を眼光鋭く睨みつけながら、叩きつけるような大声で発し続ける。
「でもな、真っ当に生きてる人間ってのは、ルール守りながら努力を重ねてんだよ。それでも思い通りにならない『悔しさ』って言う目に見えない針を、己の魂に刺して、その痛みに耐えながら強くなっていくんだよ。そうやって一人前になっていくんだよ。舐められるのが死ぬほど嫌なら、てめえの名前自体を刺青にしやがれ! 名前を聞いただけで、周りが一目も二目も置く人間になりやがれ! そんなこともできねえハンパもんのオマエらみてえな人間に限って、腕や背中に針刺しやがる。見てて恥ずかしいんだよ! てめえらの生き方、価値観全否定してやるからかかって来い! 『千人蹴り』で蹴散らしてやるから、かかってきやがれ!!」
喝破する私の圧に、喧嘩上等のヤンキーらの足がすくみはじめ、呑まれはじめる。千匹のネズミの大群も、一頭のライオンの咆哮の前では震え上がるように、生き物としての強さが、私は桁はずれだった。その静寂の中から三人の男たちが動きだし、歩きはじめ、私の五メートルほど前で立ち止まると、黙ったまま頭を下げた。それは、背筋を伸ばして腰から上体を四十五度の角度で折り曲げ、真下よりやや前方に視線を落とす、『最敬礼』と呼ばれる最も丁寧なお辞儀であった。




