プロローグ
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体・事件・地名とは一切関係ありません
深く考えずに読んでいただければ幸いです
前世では色んな恋愛ファンタジー作品を読んでいた。
特に(悪役)令嬢ものや異世界転生・転移といった作品が市場に溢れ、無料で読める手段が多くなってからは片っ端から手を出していた。
勿論どれもハッピーエンドで終わるもので、苦難を乗り越えた末にある幸せな溺愛生活の様子を見るのが心のオアシスだった。
今の私の名はレイラーニ・スコット。
私が読んできたどの作品にも当てはまらないファンタジー世界で生を受けた。
そして前世の記憶持ち。
しかし前世で読んだ作品のように私には世の中のためになるような突出した知識や才能があるわけではなく、今世だってしがない一貴族の令嬢である。
運が良かったのか両親も誠実そうで生活にも困っていないことは感謝しているが、ここが中世ヨーロッパ風の世界観なら私には一つだけ危惧していることがある。
婚約者問題だ。
前世の私は独り身だった。
幸い妹が結婚し子供も生まれていたため天涯孤独のまま死んだわけではなかったが、家族以外の愛情に触れることなく死んだのでいくら前世の記憶を持っていようが経験値が圧倒的に足りないのだ。
数々の作品同様相手がろくでもないような人と縁は結びたくない。
自分が悪役の方に回るなどもってのほかだ。
けれどもそれを見極められるだけの目も持っていない。
(……だったら自分で育てればいいのでは?)
小さい頃から自分に懐くよう仕向ければ一人くらいは私と結婚してもいいと言ってくれる人がいるかもしれない。
幸いにもそういった知識だけは豊富にある。
だからその知識を活かしてみようと思っただけだったのに。
ただ誰かに溺愛されてみたかっただけなのに。
「ご主人様お願いです、一言命令してくださればこのまとわりついてるハエを蹴散らしますので」
「俺たち以外全部燃やしてあげる」
「はっ、やれるものならやってみなさい……返り討ちにしてあげますよ」
「いいね、そのままつぶし合って欲しいな……っていうかそもそも僕の婚約者なんだから君たち邪魔なんだけど」
「「「婚約者候補です・だ」」」
(どうして……どうしてこうなった!!)
手を差し伸べたのは私だ。
甘い言葉や相手が求める言動をしていれば一人くらい私を好きになってくれるのではという下心をもって接触した四人が、まさか全員自分を憎からず想ってくれるようになるとは思わなかったわけで。
(逆ハーレム系はあまり読んでこなかったから正解が分からない……!!)
一人に絞ればいいのでは、と思ったそこの貴方。私もそう思っていた時期がありました。
しかしそう思うのが遅すぎたのです。
目の前で騒ぐ男たちから目を背けるように私は深く目を瞑った。
お読みいただきありがとうございました。
22時台更新予定です。




