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クラスメイトは異世界王女  作者: くまひこ
第1章 亜人解放戦争

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第11話 ドルマン王国の再興

エピソードを2つに分けます。


本編は建国の光の部分に、次話は影の部分になります。




 帝国総督府陥落から一夜明けた1月12日の正午。旧王城前広場には多くの民衆が詰めかけていた。


 広場中央にはグランディア帝国軍幹部たちが一列に並べられ、等間隔で柱に縛りつけられている。


 そんな彼らのすぐ後ろには高い舞台と即席の玉座が設けられ、ドルマン王家の最後の生き残りであるハウルが自らの頭に王冠を乗せると、ドルマン王国の再興を高らかに宣言した。


「「「うおーーーっ!」」」


「ドルマン王国万歳!」


「ハウル王万歳!」


 いつ止むとも知れない大歓声の中、ハウル王がその玉座に座ると、早朝になってようやく帝国輸送船から帰還したポーチが、唯一人の王位継承者として玉座の隣に立った。


 沸き立つ民衆に片手を上げて応じるハウルは、だが表情を硬くすると民衆に対して話し始めた。


「ドルマン王国が再び独立を果たすことができたのは、ここにいる二人の協力があったればこそである。改めて皆に紹介しよう。世界の中心に君臨するティアローズ王国、その次期女王であらせられるアリスレーゼ第1王女殿下と、日本国から来たミズキ・マエゾノ全権大使である」


 ハウル王の紹介を受けて、俺とアリスレーゼが玉座の隣に並ぶ。


 ガチガチに緊張した俺と違って、アリスレーゼはいつものプリンセススマイルで一歩前に出ると、優雅な所作でゆっくりとお辞儀をした。


 その瞬間、ハウルの戴冠時よりも凄まじい大歓声が沸き起こり、興奮のあまり気絶する者まで現れる有様だった。


 この世界においてアリスレーゼが如何に人気が高く人々から尊敬されているのか、この2日間で嫌というほど理解させられた俺だったが、そんな彼女がチラっと俺の方を振り返って合図を送ってきたので、慌ててアリスレーゼの隣に並んでぎこちないお辞儀をした。


 クスクス笑うアリスレーゼとともに再び玉座の隣に下がると、ハウル王が再び民衆に語り出した。




「あの屈辱の日々は、私にとって生涯忘れられない記憶となるだろう。グランディア帝国の侵略を受けると奮戦むなしく王国は降伏し、たまたま他国を訪問していた我ら父娘を除いて、ドルマン王家は幼い子供も含めた全員が見せしめのため民衆の前で惨殺された」


 ハウルの目にうっすらと涙が浮かび、一呼吸おいて話はさらに続く。


「そして何より辛かったのは、我が愛する臣民たちが奴隷のように扱われ、多くの若者たちが殺され、あるいは強制労働のために遠く帝国の地へと送られた。そして若い娘たちは帝国の先兵を産まされるため、鬼人族との結婚を強制され連れ去られて行った。まさに滅亡に瀕した犬人族、その未来を取り戻すために我々はレジスタンスを結成して反攻の機会を待った」


 ハウル王の言葉に民衆は静まり返り、そして憎しみのこもった眼で玉座の下に並べさせられた帝国幹部たちを睨みつけた。


「そんな我々に神は絶好の機会をお与えくださった。それがここにいる二人と、ティアローズ王国、そして日本国という心強い仲間だ! 我々は予てより企てていた反抗計画を実行に移すべく昨夜決起した。レジスタンス兵士たちの血がたくさん流れたが、一夜にして2万5千もの帝国軍を打ち負かし、この港町ドルマンを奪い返すことに成功したのだ!」


 その瞬間、今日一番の大歓声が沸き立った。


 正確な人数は分からないが推計によると帝国軍前線基地にいた兵士2万名のうち生存者は5千名足らず、その大半は強靭な肉体を誇るオークやオーガたちで、金で雇われただけの傭兵は死に物狂いで逃げ出したため、死者のほとんどはグランディア帝国人だった。


 また港町ドルマンに駐留していた帝国軍5千名も、レジスタンスとの激しい戦いによりその大半は命を失い、生き残った兵士もその全員が拘束された。


 そんな中、オークとオーガは犬人族に早々に降伏して恭順の意思を示し、同じ亜人種族として打倒帝国の旗のもとに共に戦うことを誓っていた。


 そんな鬼人族の幹部が舞台下にずらりと並び、その代表に就任したヒッグスが舞台に上がって、俺の隣に並び立った。


 そしてハウル王が宣言する。


「我がドルマン王国は、同様に帝国に苦しめられている全ての亜人種族を開放すべく、ここに立ち上がることにした! そのためレジスタンスをドルマン王国軍として再編し、その半数を亜人解放軍として遠征を開始する。そしてその司令官に我が一人娘であるポーチを任命する」


 いきなり解放軍を任されたポーチはさすがに驚きを隠せなかったが、そこは生まれながらの王族ゆえか、アリスレーゼ同様プリンセススマイルをたたえると、右手を大きく振って民衆の声援に応えた。


「そしてドルマン王国はティアローズ王国、日本国、さらには元オーク騎士団国ヒッグス副騎士団長率いる鬼人族レジスタンスとともに、グランディア帝国に対しここに宣戦を布告する!」


 アリスレーゼに促され、ヒッグスとともに民衆に手を振って声援に応えた俺だったが、この舞台で改めて全権大使という職責の重さを痛感した。




「では改めて、今回の戦いにおいて多大なる功績を上げた戦士たちに勲章を授与する」


 ハウル王から名前を呼ばれた犬人族の兵士たちが、誇らしげな顔で続々と舞台壇上に上がって来る。だがその一番最後になぜか俺の名が告げられ、ハウル王から功績が説明された。


「ミズキ・マエゾノ全権大使は、ここにいるヒッグス副騎士団長の主君にして、あの異界門の先にある魔界「日本国」で黒髪王子として人気を誇る青年である」


「なっ!」


 ハウル王に余計な情報を吹き込んだのはアリスレーゼか、いや、敦史の仕業だな。何で俺が魔界の王子と呼ばれているのか、やっと理由が分かったぞ。


 だがハウル王の説明は続く。


「そんな王子は、グランディア帝国が誇る魔導部隊をたった一人で瞬殺すると、帝国総督ガーネット伯爵捕縛の立役者となり、さらには難攻不落を誇っていた王城城門を一撃で破壊して守備隊を降伏させた。そして命令一つで魔族の軍団を動かし、あの帝国軍前線基地を徹底的に破壊しつくして2万を遥かに超える帝国兵どもを根絶やしにしてしまった。この恐るべき功績は救国の英雄にふさわしく、ここにドルマン最高勲章を授与するものである!」


 明らかに俺の実力を過大評価したハウル王が、誇張された功績を民衆に説明する。


 それを聞いた民衆は腰を抜かして驚き、そのあり得ないほどケタ違いの強さに狂喜乱舞して、俺の名前を連呼した。


「「「ミズキ! ミズキ! ミズキ!」」」


 そのどれもが自分の力ではないことを知っている俺はここから逃げ出したくて周りをキョロキョロ窺っていたが、舞台脇で様子を見ていた母さんと雨宮主幹、そして加藤陸将補がニヤニヤ笑いながら「とっとと勲章を受け取って来い」と催促した。


 俺は仕方なくハウル王の前で一礼すると、王から勲章を渡されたポーチ姫が目の前に立ち、胸に勲章をつけてくれた。


 ただそれだけでは終わらず、彼女が俺の頬にそっとキスをすると民衆に向かって笑顔で手を振ったのだ。


 その瞬間、割れんばかりの大歓声が起こり、民衆からは先ほどまでの殺気とは程遠い「生暖かい祝福ムード」が広場を埋め尽くした。


 だがその次の瞬間、俺の背後に恐ろしいほどの殺気と、強大な魔力が忽然と現れた。





 ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!





「ごくりっ・・・」


 恐る恐る後ろを振り返ると、そこには頬をパンパンに膨らませてすねているアリスレーゼの姿があった。


「ひーっ!」


 だがそれも一瞬のことで、すぐにいつものプリンセススマイルに戻った彼女。


 だが間近にいたハウル王とポーチ姫には、僅か一瞬の表情の変化をバッチリ見られてしまった。


 すぐさまハウル王が、


「皆に残念な報告をしなければならない。国を救った英雄は王女と結婚して幸せに暮らすというのがおとぎ話のハッピーエンドなのだが、我々の英雄にはどうやら別の王女様との結婚話が既に決まっていたようだ。我が娘ポーチにはドルマン王家の血を絶やさぬよう、婿探しを頑張ってもらわなければならないな」


 するとプリンセススマイルが一瞬で消え去り、真っ赤な顔をしたアリスレーゼが慌てて、


「ちちちち、違いますっ! 瑞貴とはまだそんな関係ではございませんっ!」


「そそそそ、そうなんだよ! アリスレーゼはただのクラスメイトで俺の義理の姉だから、断じてやましい関係ではないんだ!」


 これだけの数の民衆に誤解を与えては大変なので、俺たちは必死にハウル王の発言を否定する。


 するとポーチ姫がクスクス笑いながら、


「聞きましてお父様? どうやらミズキはアリスレーゼ王女殿下の王配ではないそうです。でしたら是非、わたくしの夫になっていただこうかしら」


「ほう! それは朗報だ。強大な魔力を持つ魔族の血を我が王家に取りこめれば、ドルマン王国は1000年の繁栄が約束されるぞ!」


 だがそれを聞いたアリスレーゼが俺の腕を掴むと、


「絶対にダメっ! 瑞貴は誰にも渡しませんっ!」


 そんな必死のアリスレーゼに、ハウル王とポーチ姫、ドルマン王国の幹部や広場に集まった民衆みんなが、腹を抱えて笑った。



            ◇



 勲章の授与式が終わり、俺たちはポーチ姫を連れて先に広場を後にした。


 亜人解放戦争は既に始まっており、司令官であるポーチ姫を迎えて自衛隊司令部のある仮設基地に戻り、今後の作戦を話し合わなければならないからだ。


 そこには拉致女性救出作戦を見事成功させた藤間警部や敦史たち、司令部で見事に参謀役を果たしたさやかが俺たちの帰還を待っていることだろう。

 次回もお楽しみに。


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