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クラスメイトは異世界王女  作者: くまひこ
最終章 侵略者グランディア帝国と日本防衛の最終決断

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第52話 神々の帰還③

 そして作戦が開始された。


 自衛隊を異世界に送り込むという突拍子もない計画の一部に組み込まれた俺たちの作戦は、敵魔導師部隊の殲滅である。


 だがその敵はまだ姿を見せていない。


 今は作戦の第一段階で、神宮路さんの指示に従って水島さんが辺り一帯にバリアーを迷路のように展開して、自衛隊の砲撃から逃れようとする魔導師部隊をここまで誘導する手筈なのだ。


 そしてしばらくすると爆発音が次第に大きくなり、こちらに逃げてきた魔導師部隊がまんまと俺たちの前に引きずり出されてきた。


 まさに作戦通りの展開に感心していると、インカムから神宮路さんの声が聞こえてきた。


『水島さんと自衛隊のコンビネーションにより、作戦の第一段階は見事成功いたしました。これより作戦の第二段階に移行いたします。遠隔攻撃部隊は正面に展開中の敵魔導師部隊に対し攻撃を開始してください』


「了解した。総員思念波弾発射用意・・・撃てっ!」


 藤間主任の号令が飛び、4人全員が一斉に思念波弾を発射した。


 対する敵魔導師部隊はすぐさまバリアーを展開して防御行動をとったが、敦史たちの思念波弾の強度がそれを上回ったため、バリアーが次々に消滅して魔導師たちが被弾していく。


「すげえ・・・異世界の魔導師より、敦史たちの方が魔力が上ということか」


 だが初弾で倒される魔導師など一人もおらず、詠唱を終えた者から順次魔法攻撃を開始してきた。


 インカムから流れてくる神宮路さんからの情報によると、敵魔導師の詠唱時間は平均30秒程度で50人が発射できる魔法攻撃は一分間に約100発らしい。


 一方、敦史たちの思念波弾の連射速度は、一分間の平均で鮫島の20発を筆頭に敦史の10発、藤間主任と芹沢も6発ずつは撃てる。


 そのためたった4人なのに、敵のおよそ40%の発射回数を誇り、しかも一発の威力が敵よりも強力だ。


 何より防御は全て水島さんのバリアーに任せているため、全ての思念波エネルギーを攻撃に集中させることができ、さらに鮫島が周囲から集めた思念波エネルギーが部隊全体に潤沢に供給されている。


 こうして圧倒的少数である我が遠隔攻撃部隊が数の劣勢を覆し、時間の経過とともにジリジリと敵を押し込んでいく展開となった。


「行け敦史ーっ! あと少しで敵は総崩れだぞ!」


「お、おうよ瑞貴・・・。だが、疲れるーっ!」


「み、瑞貴君・・・この僕も頑張っているのだから、敦史だけじゃなく僕の応援もちゃんと頼むよ」


「そ、そうだな・・・芹沢もやるじゃないか!」


「どうだい、この僕を見直してくれたかな瑞貴君」


 女子から応援されるならともかく、俺みたいな野郎に応援されて何が嬉しいのかさっぱり理解できんが、イケメン芹沢は何故か生き生きとしながら敵への攻勢を一層強めていった。


 だが鮫島だけは不服そうに、


「ちっ・・・こんなガキどもと一緒に、チンタラお遊戯なんかやってられるかっ! おい前園ぉ、こいつが片付いたらお前の女を賭けて俺様と勝負しようぜ。それで俺様が勝ったら、お前の姉妹のどっちか一匹を俺様にくれよ。金髪のネエチャンと一戦交えてみたいと前から思っていたんだよ、ウヒ、ウヒヒヒッ!」


「ふざけるな!」


 さっき神宮路さんに対して思ったことは撤回する。


 やはりコイツとだけは絶対仲良くできない。彼女の言う通りコイツはただの犯罪者だ。


「お前なんかとは絶対に勝負はしないし、くだらないことを言ってる暇があったら目の前の敵に集中しろ」


「前園ぉ、お前もつまんねえ野郎だな。女を抱けないんじゃ刑務所に入ってるのと何も変わらねえじゃねえか。あれ、もしかしてお前ってイケメンのくせにまだなのか? ウヒャヒャヒャッ!」


 そう言って俺を小馬鹿にする鮫島だったが、すぐに藤間主任に頭を小突かれしぶしぶ戦いを再開する。


 コイツが他の戦闘員たちに爪弾きにされ、ことごとくチームを追い出されていた理由が今更ながらよく分かった。


 そんなヤツが未だ刑務所にも入らずこうしてのうのうと憎まれ口を叩いていられるのも、思念波弾の驚異的な連射速度と思念波エネルギーを豊富に供給することができる特殊能力があるからだ。


 コイツはそういう人間だと割り切ってしまえばもしかしたら腹も立たなくなるかも知れないが、俺はそこまで人間ができていないので、できることならチームから追い出したい。




 そんなことを考えている間も敦史たちの猛攻撃は続き、いよいよ敵魔導師たちの魔力が尽きてくると敵の隊列がガタガタと崩れだした。


『これより作戦の第三段階に移行します。遠隔攻撃部隊は攻撃を中止し、瑞貴君たち近接戦闘部隊は3人の召喚師以外の全ての魔導師を戦闘不能にしてください。生死は問いませんので最速でお願いします』


「了解した。葵さんとヒッグス、突撃開始だ!」


「「おうっ!」」


 俺たち3人が敵の前に飛び出すと、魔力を使い果たしてロクなバリアーも展開できない敵魔導師たちは、慌てて手に持った錫杖を武器として振り回し始める。


「コイツら格闘戦の素人だ。一気に畳み掛けるぞ!」


 騎士としての訓練を受けていなかったのか、ただの雑兵と化した魔導師たちに対し煌流翔波拳の使い手である俺なら思念波を一切使わなくても簡単に制圧することができる。


 今回の作戦は恐らく、思念波エネルギーが枯渇した俺でも戦えるよう、神宮路さんが配慮してくれたものだろう。俺は彼女に感謝しつつ一人でも多くの魔導師を撃破すべく最後の力を振り絞った。


 俺は敵魔導師の両手足の間接を叩き潰して身動きを取れなくしていくと、葵さんは俺の何倍ものスピードで敵のど真ん中に斬り込んで敵をズタズタに切り裂いていき、ヒッグスは持ち前のパワーで魔導師たちをまとめて空高く放り投げている。


 そうやって次々と倒されていく魔導師を見た3人の召喚師は、ヴェイン伯爵がいつもそうするように異世界に帰還するための転移陣を作り始めた。


「神宮路さん! このまま転移陣が完成したら奴らに逃げられてしまう。今すぐ攻撃命令を!」


『いいえ瑞貴君、決して彼らに攻撃をしてはなりません。これは作戦です』


「作戦・・・わかった」


 これが作戦である以上、俺は彼らが異世界に帰還するのを見守るしかないのか・・・。




 魔導師を一人ずつ叩きのめしながら俺は、転移陣の詠唱を続ける召喚師たちを間近で確認する。


 実際に詠唱を行っているのはその中の二人だけで、リーダー格の男は目を赤く光らせながら遠隔攻撃部隊の方をじっと見つめ、そしてニヤリと笑った。


【これはこれは、お初にお目にかかります、アリスレーゼ王女殿下】


 その召喚師が見ていたのは、藤間主任のすぐ後ろに隠れているアリスレーゼだった。


 恐らく彼女を拉致すべく隙を狙っているようだが、コイツとアリスレーゼの間には水島さんの鉄壁のバリアーが守ってくれている。


 そんなことは魔法の専門家であるこの召喚師も分かっているはずだが、今度はアリスレーゼのさらに後方を見ながら話を続ける。


【ほほう、それは実に面白い。では望み通り、あなたには帝国貴族の称号を与えて差し上げましょう。さあアリスレーゼ王女をこちらへ】


「何だ? 誰と話してるんだコイツ・・・」


 だが、召喚師の目線を確認するより先にその赤い目がさらに光ると、濃紫色の暗いオーラがアリスレーゼに向けて放たれ、水島さんのバリアーの前で消え去るといきなりアリスレーゼの周りを取り囲んだ。


 それと同時にアリスレーゼの叫び声が聞こえる。


「やめてっ! 今すぐ離しなさい! 誰か助けて!」


 怪しげなオーラで視界は遮られていたが、それでも俺の目はその凶行をハッキリと捉えていた。


 鮫島の野郎がアリスレーゼを後ろから羽交い締めにすると、オーラとともにその姿を忽然と消したのだ。


「あ・・・あ・・・」


 そしてその次の瞬間、召喚師たちのすく近くに二人が姿を現した。


「あ、アリスレーゼーっ!!」


 ぐったりとしたアリスレーゼを抱えてニンマリと笑う鮫島と、その横で錫杖を天に高々と掲げる召喚師。


「アレクシス皇帝陛下! ついにアリスレーゼ王女を捕らえることに成功しました!」


「これでクソみたいな日本ともオサラバして今日から俺様は帝国貴族だ。高校生戦闘員の諸君はこれからも元気にお遊戯を続けてくれたまえ。ウヒャヒャッ!」





 何だよ・・・何なんだよこれ!


 どうして俺はアリスレーゼを奪われてしまった。


 謎の会話・・・鮫島の裏切り・・・闇のオーラ。





 ・・・そうか!


 この召喚師はアリスレーゼと同じマインドリーディング系統の魔法が使えるのか。そして鮫島の心を読んでテレパシーでアイツをそそのかして、アリスレーゼを拉致させやがったんだ!


 やられた・・・。





「鮫島ぁっ! お前、自分が何をやったのか分かっているのか! アリスレーゼを今すぐ返せっ!」


「ヒャーッハハハハハ!」


 だが鮫島は俺を嗜虐的に笑うだけで、召喚師たちは勝ち誇ったように錫杖を天に掲げている。


 俺は命令を無視して召喚師たちに攻撃を加えようと一気に加速した。だが召喚師たちのバリアーに阻まれ彼らに近づくことができない。


 俺の思念波エネルギーはほとんど尽きていて、この程度のバリアーすら突破できなかったのだ。


 そうしているうちにも異世界への転移陣が完成してしまい、アリスレーゼの姿がゆっくりと消えていく。


「そんなバカな・・・俺のアリスレーゼが帝国に連れていかれてしまう。アリスレーゼーっ!!」


 消えゆくアリスレーゼを見ながら、俺は彼女を奪った鮫島に激しい憎悪を浮かべたが、それと同時に彼女を守りきれなかった自分を呪い、全身から力が抜けて崩れるように地面に座り込んでしまった。


「・・・アリスレーゼ」







 だがその時、父さんの叫び声が聞こえた。


「よし今だ! 行け弥生っ!」


「はい、お義父さまっ!」





「・・・え?」

次回もお楽しみに

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