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クラスメイトは異世界王女  作者: くまひこ
最終章 侵略者グランディア帝国と日本防衛の最終決断

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第52話 神々の帰還②

エピソードを少し分割し、公開頻度を上げます。



 俺たちの包囲を固めていた自衛隊は、今度はグランディア帝国騎士団に対し攻撃を開始した。


 その様子はここから直接は見えないが、小高い山の向こう側からは多数の砲弾が炸裂する音が鳴り響き、爆煙が山の稜線を越えて空高く上っていく。


 そんな中、父さんは俺とチームメイト全員を集めると、今行われている作戦についてのブリーフィングを始めた。


「今回の作戦はいたってシンプルだが、そこだけ説明しても多分理解できないだろう。一応順を追って説明するが、質問があれば話の途中でもどんどん割り込んでくれて構わん。その方が話しやすい」


「わかったよ父さん。早く説明を始めてくれ」


「まずこの作戦の前提として、グランディア帝国について現時点で分かっていることを君たちに話しておこうと思う。彼らはティアローズ王国の地下に眠る古代魔術具の起動に成功し、この日本へ騎士団を転移させることを可能とした訳だが、侵攻目的は2つある」


「ちょっと待て・・・いきなりとんでもない事実をサラっと言ってくれたけど、目的の1つはアリスレーゼだよな?」


「そうだ瑞貴。だがそれは2つ目の目的であり、京都への襲撃の際にヴェイン伯爵が偶然彼女を見つけて、後から目的に加わったに過ぎない。本来の目的はかつて彼らの世界からこちらの世界に渡った3柱の神々を取り戻すことにある」


「3柱の神々って・・・グランディア帝国はこの日本に神様がいると本気で思っているのか?」


「瑞貴、世の中には様々な宗教があって、それを理由に聖戦が始まることはよくあることだ。それが理解できないのが日本人の特徴ではあるが・・・そうだな、その昔「神の如く膨大な魔力を持った3人の異能者」が彼らの世界からこちらの世界に転移して、そのままこちらの世界で輪廻転生を繰り返していると言えば、お前でも理解できるか?」


「お、それならなんとなく理解できる。ひょっとするとグランディア帝国はその3人の転生者を使って彼らの世界の世界征服を進めたいということかな」


「お前中々理解が速いな。そして帝国は3人の異能者たちを取り戻すために、これまで以上に日本への侵攻を加速している」


「・・・加速しているって、情報が現在進行形だけどそれってこの前俺たちが捕縛した騎士団の事情聴取をして分かったのか?」


「それもあるが、実はグランディア帝国内にスパイを送り込むことに成功し、彼女からの報告で分かった。帝国は先日、古代魔術具の真の力を解放する方法を解明したが、さやか嬢との戦闘で重傷を負ったヴェイン伯爵が戦線を離脱したため、彼の弟子たちを総動員して今回の襲撃を仕掛けた。どうやらアレクシス皇帝は先の敗戦に怒り心頭のようで、帝国の威信にかけても日本への侵攻を最優先事項としたようだ」


「ちょっと待ってくれよ父さん。またサラっと言ってくれたけど、帝国にスパイを送り込んだって・・・」


「何だ信用してないのか? 彼女は信頼できるエージェントで、情報の正確さは折り紙つきだぞ」


「いやそこじゃなくて、異世界に日本人を送り込んだことに驚いたのと、しかも女性エージェントって」


「いや彼女は・・・おっと母さんが恐い顔で俺を睨んでるから、女の話はそれぐらいにして本題に戻ろう。つまり帝国からの侵攻を防ぐためには、さっきの進藤幹事長の話の通り抑止力を高めて皇帝の判断を変える必要がある。日本への侵攻は割に合わないと」


「抑止力・・・それがこの作戦の前提なんだな」


「そういうことだ。では皇帝陛下の判断を覆すためにはどうすればいいか。答えは簡単で、グランディア帝国騎士団を完膚なきまでに叩くことだ。そのためには日本に送り込んだ騎士団は二度と帝国の地を踏めないという事実を作り、皇帝の臣下たちに絶対的な恐怖心を植え付けてやる」


「なるほど。もしまともな為政者なら、3人の異能者を得るために臣下たちの屍の山を築くことは割に合わないと理解できるから、日本への侵攻を諦めてくれるはず。だが皇帝は絶対君主だし、臣下の意見なんか無視して戦いを止めない可能性もあるんじゃないのか」


「よくわかってるじゃないか瑞貴。今回の場合、ラスボスが絶対君主であること、戦争目的が宗教上の聖戦であること、この2つを踏まえると戦争終結のハードルはかなり高いと見るべきだ。だから皇帝の判断を覆すためには敵の攻撃を待って受け身で迎撃していたのでは限界がある。だからこっちから打って出るのさ」


「打って出るって・・・まさか」


「我々がグランディア帝国に逆侵攻し、彼らと一戦交える!」


「それ絶対ウソだ! 日本がそんなことできるわけがないじゃないか!」


「・・・こんなことでウソなんかつくか。つまりこの作戦は現在ここに展開している自衛隊を異世界に送り込むのが目的で、それを可能にするのが目の前にあるこの装置さ」


「マジかよ・・・信じられん」


 ブーンとかすかに重低音が漏れ出ている謎の機械。これが自衛隊を異世界に送り込む装置なのか。


「・・・これって父さんが作ったのか」


「そうだぞ。もちろん思念波工学の権威である雨宮主幹研究員とそのスタッフたちの助力あればこそだが、オリジナルの発想は俺が考えた。だがこの装置を動かすためにはいくつかの条件をクリアーする必要があって・・・どうやら自衛隊の諸君の頑張りにより、説明する時間がなくなったようだ。ここからは実際に自分の目で確かめてくれ」


「・・・え? どういうことだよ父さん」


「来るぞっ! 全UMA室戦闘員、戦闘準備っ!」




 父さんの号令がかかると、ここにいる全戦闘員つまり俺のチームメイトが足早に配置についた。


 俺は父さんから手渡されたインカムをつけると、そこから聞こえてきたのは病院にいるはずの神宮路さんの声だった。


『ここからはわたくし神宮路さやかが部隊の指揮を執らせていただきます。今回のターゲットは、自衛隊によって騎士団本隊と切り離された敵魔導師部隊です。総勢50名からなる武装集団ですが、ヴェイン伯爵と同じ服装をした3名の召喚師には絶対に攻撃をせず、残り47名は生きて帝国の地を踏まさないよう、捕縛もしくは抹殺してください』


「神宮路さん、俺だ瑞貴だ! キミは絶対安静のはずなのにどうして指揮を執っているんだ!」


『瑞貴君、それは後で説明しますので今は戦いに集中して下さい。まず瑞貴君と葵さん、ヒッグスの3人はいつもの通り最前線を、藤間主任と伊藤君、芹沢君、指名手配犯さんの4人は後方支援と遠隔攻撃を、アリスレーゼ様と愛梨ちゃんは思念波が枯渇しているので戦いには参加せずに藤間主任の後方部隊に入ってください。そして水島さんは全体の中心に立って、バリアーの展開に専念して下さい』


「「「了解っ!」」」


 ほぼ全員が神宮路さんの指示に従いフォーメーションを変える中、


「ちっ、また俺だけ犯罪者扱いかよ。相変わらずいけ好かねえ女だな神宮路さやかめ。藤間主任からもあのクソ女に何とか言ってくれよ」


「文句を言わずとっとと配置につけ! でないと今すぐブタ箱に放り込むぞ」


「ちっ! ふざけんなよ全く・・・」


 相変わらず文句ばかりの鮫島だが、藤間主任に小突かれながらしぶしぶ配置についた。


 だが神宮路さんが鮫島をわざわざ挑発をするような言い方をしていたことに、この時の俺は少し違和感を感じていた。




 ちょうどその時、一機のヘリが俺たちの近くに着陸すると、ヒッグスとウチの爺さん、神宮路会長と共に中から降りてきたのは、移動式の特注ベッドに乗せられて点滴のチューブが痛々しい神宮路さんだった。


「やっぱり彼女もここに来てたんだ・・・」


 彼女の回りには医療スタッフやメイドたちが取り囲み、ベッドごとゆっくり移動を始めると、黒川総理や進藤幹事長たち、そして父さんと合流して強固なバリアーを展開した。


 どうやらそこが今日の司令部になるらしい。


 一方ヒッグスはその巨体に似つかわしくない機敏な動きで俺の元に駆け寄ると、


「どうやらご無事のようで、さすがは我が主殿だ! ここからはこのヒッグスめも参戦いたしますぞ」


「ああ頼むぞヒッグス。俺は思念波をほとんど使い尽くしてしまったから、二人で肉弾戦でもやるか」


「それは面白い! ではどちらが多く敵を倒すか競争ですな、ガーッハッハ!」





 こうして戦闘態勢を固めた俺たちのチームは、だがこの後予想だにしなかった展開が待ち受けていた。

次回もお楽しみに

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