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クラスメイトは異世界王女  作者: くまひこ
第2章 オーク騎士団の来襲と時空間戦争の足音

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第30話 反撃①

「・・・み・・・ず・・・き・・・」


「・・・瑞貴・・・しっかりして・・・」


「瑞貴っ!」






 ふと気が付くと、目の前に葵さんが立っていた。


「・・・葵さんか。ていうか顔が近いよ」


「正気を取り戻したのね、瑞貴!」


「・・・あれ? 俺は今まで何をしてたんだ」


 ホッとした表情の葵さんは、俺の質問に答える前に周りを見るよう促す。


 そこには戦闘員らしき人たちがオーク数体と戦闘を繰り広げており、周りにはそれ以上の数のオークたちが無残な死骸をさらしていた。


 そして俺たちの上空では多くのヘリが飛び交い、電車の後方では警察の誘導で乗客が線路上を大阪方面に向けて歩いている。


「・・・そうか俺たちはオークと戦ってたんだっけ。救援が到着したところを見ると俺たちが勝ったのか」


 頭がまだハッキリしない俺に、葵さんは微妙な表情で答える。


「いいえ、戦いはまだ終わっていないわ。電車に攻撃を仕掛けていたオークは瑞貴のおかげで何とか排除できたけど、オーク騎士団は兵力をさらに増強して京都市内への侵攻を狙っているようなの」


 その葵さんの後ろには私服の男が立っていて、インカムで誰かと通話をしながら、何か指示を受けているようだ。


「オークが兵力を増強・・・そうだ、アリスレーゼたちはどうなったんだ!」


「ウチの戦闘員と合流して戦闘を継続中よ。私たちもここを機動隊に引き継いだら前線に向かうわよ」


「分かった。見たところここは大丈夫そうだし・・・あれ? さっき俺のおかげでって言わなかったか」


 俺が首をかしげると、葵さんはため息をついた。


「やっぱり何も覚えてないのね」


「ああ・・・すまん」


「じゃあ私が見たままを説明するね。私が最後尾付近でオークとの戦闘をしている時、電車中央付近にいた瑞貴が突然思念波を暴走させると、周りを取り囲んでいたオークを片っ端から殺していったのよ」


「俺がオークを片っ端から? どうやって・・・」


「よくは見えなかったけど、敵のバリアーを無視して致命傷を与えたみたい。瑞貴の手が触れた瞬間、その部分が炸裂して手足がバラバラに吹き飛ばされていったの。こんな死に方、敵ながら同情するわね」


「つまりこの死屍累々の山は、俺が築いたのか。でもこんなのどうやってやったんだ?」


「それはこっちが聞きたいぐらいよ! でもここはあなたのおかげで制圧できたし、戦闘員の大半はもう前線に向かっているわよ」


「そうか、じゃあ俺たちも急ごう」


「待って。その前に水島さんを救護班に渡しなさい」


「水島さん? ・・・そ、そうだ! 水島さんが!」


 俺をかばって、オークたちの集中攻撃を受けてしまった水島さん。俺の油断から彼女を危険にさらしたことを思い出して、慌てて彼女の姿を探した。


 だが、


「はあ・・・。どうやらまだ頭がボーッとしているようね。瑞貴、その腕に抱えている水島さんをこちらに渡しなさいと言っているのよ」


 葵さんはつまらなそうに、俺の胸元を指さした。


 見ると俺は左腕で水島さんを抱えていて、彼女の腕も俺の首筋をしっかりと掴んでいた。


 制服が破損して出血も酷かったが、肌にはちゃんと温もりがあり呼吸も聞こえる。


「よかった・・・水島さんは無事だったんだ」


 そんな水島さんの身体からは緑色の気が発せられ、思念波補助デバイスがうっすら輝いている。


「彼女は神宮路さんと同じ「癒し」の能力者で、自己修復力に長けていたから助かったみたい。それでもかなりの重傷を負っているから、すぐに診てもらった方がいいと思う」


「そ、そうだな!」


 すぐ近くに控えていた救護班の担架に水島さんをそっと乗せると、彼女は一瞬目を開けてすぐに閉じた。


「意識を取り戻していたんだな。よかった・・・」


 ホッとした俺だが、彼女は顔を真っ赤にして向こうを向いてしまうと、言葉も交わせぬままヘリに搬送されてしまった。


 そんな彼女を見送りながら、俺は記憶を失う直前に聞いた彼女の言葉を突然思い出した。


『・・・好きです前園くん・・・だから私の命に替えても、愛するあなたを守ってみせる』


「うわあ・・・マジかよ」



 梅田の地下街の昔ながらの喫茶店で、アリスレーゼとお互いの気持ちを確認しあった同じ日に、水島さんからも告白されてしまった。


 呆然と彼女を見送る俺にイラッと来た葵さんは、


「もうっ、早く行くわよ」


「痛あっ!」


 憮然とした表情で俺の足を思いっきり踏みつけると、葵さんは車両前方へと走り出した。






 先頭車両に戻ると、戦闘員たちは既にオーク騎士団と壮絶な撃ち合いを始めていた。


 車両のさらに前方に可動式のバリケードを設置して陣形を整え、10数名の戦闘員に混じってアリスレーゼたちもオーク騎士団に対して攻撃を加えている。


 そこに俺の姿を見つけた3人が、攻撃の手を休めて駆け寄ってくる。


「ミズキ無事だったのね!」


「よかったお兄が無事で・・・」


「おい瑞貴、水島はどうしたんだよ」


 みんなは俺たちの帰還に安堵しつつも、そこに水島さんがいないことに不安の色を覗かせた。


「水島さんは負傷して救護班に保護されたが、命に別状はないそうだ。それよりアリスレーゼ、現在の状況を教えてくれないか」


 ホッとした表情を一瞬見せるものの、直ぐに表情を引き締めたアリスレーゼが、


「オークの召喚速度が速く、前方の集団が3倍以上に膨れ上がったわ。今はまだ50体に満たないけれど、敵の数はまだまだ増えていきそう」


「本当だ。さっきよりも増えてる・・・」


「召還士を倒せばいいのだけれど、オーク騎士団の守りが強固でなかなか牙城を崩せないし、今は彼らを封じ込めるために京都側にも戦闘員を配置しているの。でも敵の勢いが増す一方だし、ここを突破されるのも時間の問題だと思うわ」


「それはマズいんじゃないのか。オークが街中に侵入したらそれこそ大惨事になってしまう」


 陣地内には緊迫したムードが漂っており、指揮官らしき人が戦闘員たちに指示を出し、その隣では副官が刻々と変化する戦況をインカムで誰かに伝えている。


 葵さんと私服の男もその指揮官に後方車両の状況を報告しているようで、その後指揮官から何かの指示を受けると、敬礼してこちらに戻って来た。


 そして私服の男が俺たちに話を始めた。


「俺は葵菖蒲の上官にあたる主任の藤間だ。状況はかなり厳しく、オークの一部が我々の包囲網を突破して市内に侵入した模様だ。そこで我々に新たな命令が下った。ここを制圧したのち直ちに京都市内に戻って、オークの残党を全て始末せよとのことだ。キミたちは全員俺の指揮下に入り、討伐隊に加わってほしい」


 突然の話に俺たちが当惑していると、アリスレーゼが代表して彼に質問する。


「ここから見える限りですが、この高架下にも多数の警察官が配備されており、オークは完全に包囲されているように見えますが」


「実は、我々が到着する前にオークの一部が市街地に侵入しており、既に一般人にも被害が出ている。機動隊も展開を始めたのだが、奴らに警察の武器は通用しないので我々UMA室戦闘員が対処するしかない」


「それは分かりましたが「ここを制圧した後」とおっしゃられたのが疑問です。現在の戦況は我が方が不利であり、制圧の可能性が低い段階で市街地のオークにも対処せよと言われましても」


「それについては気にしなくていい。すでに自衛隊が展開していて治安出動命令が発令され次第、目の前のオーク騎士団に攻撃を開始する手筈だ。だから我々はそれまでここを守りきればいいだけだからな」


「自衛隊とは?」


「・・・そうか、キミは日本に来たばかりで我が国のことについてはまだ詳しくないんだったな。自衛隊とは我が国の軍隊で、我々警察では治安を維持できない場合に限って、我々と協力して脅威の排除を行うことになっている」


「なるほど。既に軍隊が展開しているのであれば安心しましたが、その軍隊はどちらに?」


「我々の上空で待機しているあの対戦車ヘリ部隊だ。命令が発令されれば彼らが一斉に攻撃を開始する」


 上空を見ると様々なヘリコプターが飛んでおり、その一角には戦闘ヘリらしき一団が待機している。


 他にも戦闘員たちを運んで来た警察のヘリや、おそらくマスコミだろうか、少し離れたところからこちらにカメラを向けている。


 俺たちが納得すると、藤間主任が早速指示を出す。


「他に質問がなければ、自衛隊が攻撃を開始するまでオーク騎士団にできる限りの打撃を与えろ!」


「「「了解っ!」」」

次回もお楽しみに


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