序章・勇者の僕、あらゆる方面から死にかけてます
「――アスクレピオス! アスクレピオスさぁ~~~~~ん!?
回復、
回復!
まず回復してください!」
「まずいですね、これは、連中どんどん囲んでますよ。
魔物にも知性と連携をとれる知能がある。
私が聖教区経由で研究棟へ提出したモンスターだって会心の一撃だしてみたい!――この論文は間違っていませんでしたね」
「そんなのどうでもいいから回復!
今回復が優先される事態だから!
アスさんの独壇場で回復できる事態だから!」
「しかしこれはいけません、私の論文が正しいのなら、ここは彼らの獲物を誘って殺す――キルゾーン――の可能性がでてきました。
これは少し、いや、かなり覚悟をきめませんと」
「聞け、おぃ、回ふ――」
「ふん、まんまと連中の罠のド真ン中、というわけだ。
だがしかし!
むしろ、ここを突破すれば奴らの生存戦略は、俺たちには効かない! 逆に連携という概念が失われる事を意味しているのではないか?
それは総力戦に挑んだ奴らの末路!
ゆえに、これは連中の落ち度!
まさに諸刃の陣形よ!
ならば力で踏み込み瓦解させることこそ死中に活を求めて殲滅させる事!」
「かい――」
誰も話を聞いてない。
……情けない。
だから僕はいつもこんな扱いなのだろうか……
僕らは冒険者PT――
しかもつよつよになれる世代のレベル!
つまり仲間の声を聞きながら、
まるで他人事のように動けない体に鞭うって、
皆でモンスターに熱心に戦闘続行。
いや、それは良い事なんだけどさ。
代わりに戦ってくれるならさ。
ただ、みんながそれぞれの分担をこなして戦っているのに、ただぼけっと空を眺めている奴がいるがここにいる。
そして回復魔法を僧侶アスクレピオスに必死にアピールしてる奴がいる。
――つまり、僕。
そして僕は、この世界唯一無二の――勇者だった。
ちゃ~らら・ら・ら・ら・ら、ららら、らら、らら、ら~らら~・らっらっら――
ああ、脳内のどこかでオープ二ングのテーマ曲が流れた、
――いま、勇者の、果てしない旅が始まった!
的な!
なのに、何故か僕は弱い。
というのは比較対象――仲間!
同じレベル1なのに、ぜんっぜん彼らに追いつけない。
同じレベル1出発で、
同じ食い物を食べて、
なのに……何故だろう。
動きも、攻撃も、防御も、流し方も、知識さえ、全部劣っている。
基本ステータスが尋常じゃない。
普通なら。
「うふふ、スライム3匹相手に必死だしちゃったね」
「そうだね、これも神の思し召しだったんだよ」
「でもまさか全滅くらって教会に戻されてるなんてね。
誰がこの死肉で腐った体を棺桶にいれてくれてもってきてくれたんだろう」
「さぁ、旅の行商人?
J・ウィッグ的なクリーナー?
まぁ、永劫なる謎でいいんじゃね?」
「うふふふふ?」
そう、こんな感じで皆一緒に全滅する。
それが普通だ。
こんなに敵強いんだから!
なのに全滅はあり得ない。
僕は死ぬかもだが、彼らは死なない。
彼らはまさに国唯一の最強戦士たち。
ならば国も死なない。
何故なら国は永遠で、彼らもまた永遠になるのだから。
彼らは昔からの三人フレンドときいた。
だから息が合う、とも聞いている。
けど、本当にそれだけ?
何か違くない?
唯一僕の想定を外すなら、彼らの出自。
彼らは基本全員つるっぱげ。
マッチョ、ワセリンなるもので、テッカテカ。
海パン一丁で、たまに薄茶色のマントをはおって、各々の武器を構える。
変えのパンツがあるわけもなく、腰に薬草かゴールドの入ったきんちゃく袋のみ。
――で、レベル1。
なのに、知識も攻撃力も半端ない。
皆、おじさんだから?
違う――
直感が、何故かそう告げる。
だけど、彼らと、例えば素質が違うのだとしても、いつまでも負けていられない。
頑張らないと何もなしえない。
それが判ってるから立ち上がるんだ。
それに気づいた仲間が叱咤!
「しっかりしなさい勇者たん、すぐ行きます!
すぐ傷口をふさぐ回復魔法――回復の魔技を今行使してあげますからね!」
「――あの、その前に教えてください神父。
なんかみんなと、僕って、違う気がしませんか?
戦闘力や、知識とか漠然としたものだけではなく、
肉体的にも――レベル1なのに!
みんなレベル1なのに!」
「今、そんな事を語り合う場面ではありません、私の回復の壱の魔技で回復して戦線復帰してください!
勇者たんの力が今こそ必要なのです!
早く伝説の光魔法雷撃系を覚えて私たちを楽させてください(にか)」
と、歯を光らす僧侶アス神父。
「……あの、ちょっと、なにもかも整理したいので。
そだ、一度にげません?
それに僕、理数系だから肉弾戦はちょっと……
なんか、おうちかえりたくなってきたんですけど……
てか、一度王国に戻りましょうよ」
「阿保ですか!
あれほどみんなに応援されて、祝福されて、ファンファーレが鳴り花びら巻かれて出発したではありませんか!」
「え、そ、そうだったっけ?
記憶違いかな、僕はもっと殺伐な逃走劇の記憶しか覚えていないんだけど」
「しっかりして!
全王国民の期待がかかっているのですよ!
なのにバトルフィールドに出陣して、一日もせずに、フィールドから逃げ帰ったとなれば、まさに恥をさらすようなもの――
王女様も、
【将来は勇者様のお嫁様なのね!】
とかおもってるはずなのに、ここで逃げ帰ってしまったら!
【え~マジ雑魚、勇者マジ雑魚、超ガッカリした。
私のワクテカタイム返して~】といわれてしまいますよ!
すぐ侍女を中心に世界に広まって大騒ぎですよ!」
「……」
「あ、いえ、言い過ぎました。
忘れてください。
というか黙って!
勇者ぼくねんたん、治癒できないでしょ」
そこで僧侶のアスクレピオスは、他、前衛マッチョの二人に大声で叫んだ。
「みなさん!
ここは一気に囲まれてしまいました、もう相手を皆殺しにしてでも生きなければ脱出なんて土台無理な話です!
ゆえに神はこれから行う大量虐殺を御許しになるでしょう。
気力を振り絞って、全部潰しましょう!
とりあえず勇者たん、貴女は大怪我してるのですから静かに寝ていてください! 他の数々の女性が夜のお布団で誰かといちゃこらするとき、
初めての、
こういう時は、
天井の染みか、
星の数でも数えてるほうがいい時もあるのです!」
「い一体、何の話、ですかぁ……」
訳分からない!
――でも、
何故か、ホモい!
――とか一瞬思ったが。
男の子と女の子のお話だよね?
えっと林間学校か修学旅行的な?
でもなぜだろう、女の子は女の子じゃなく【男の娘】のような扱いだと思う。
それはいずれ解ることだから。割愛。
でも、
何故?
こんな感覚に?
というか、
ああ、何故僕たちは……こんなところまで……来てしまったんだろう……
宇宙を漂うゴミ気分で、大空を見上げたとしても、
目に映る大銀河は、きっとこの地球でも、火星でも、宇宙でも、見上げた光景の星空は、きっとどこでも同じに違いない。
濃紺の世界に散りばめられた砕けた星の衛星だった物の残骸が織りなす陽光弾く小さな輝きの川。
さらに美しくも遠い星々。
まさに幻想的だ。
そして、こんな自然破壊の足跡を残した大馬鹿過去人間の所業すら、今では何もかもが美しい自然と勝手に受け入れられてる現代において、
彼岸に片足つっこんだ大馬鹿野郎の最後には、このゴミ糞先祖の所業の後始末は、なんで俺らがやんなきゃなんないの?。
そう、思えた。
何故なら、
僕たちは……
――勇者パーティ――
なのだから。
きっと、ここでくたばったら、
街の皆が、
今まで出会った人々が、
きっと笑顔は消えて、
悲しんで、
弔いの最後「勇者様に早く竿loveの魔法か竿イクの魔法をかけて、蘇生してあげて!
そう呼んで……
……。
……くれるわけないか。
だって、ここはまだ序盤だ。
序盤の冒険出発地点から約1キーロ未満。
島国アリアサンのど真ん中の草原地帯。
まさにこの島国らしい王国の王様のおひざ元。
そこに王城がある。
囲むように小さな城下町――帝宿――があり、
僕らは今、その周辺での戦いの真っ最中、初めてのPT組んでの戦いなのだから。
ちなみに他にも勇者はいたらしい。
『お前ごときを勇者などと認める訳にいかんな!
と、謎の剣士たちが勇者を名乗って旅立った。
王様未認可の闇勇者たちだ。
それらが先にぞろぞろ、【俺こそ勇者、俺こそ勇者、】と、旅だった。
そう。僕らよりつよつよ冒険者は、さっさとどっかに行ってしまった。
この島国のどこかにあるという、
海底トンネル。
【じゃぱんしんこうしんりゃくアリアサンの良質佳樹苗木50ひんもくりゃくだつしてもおうさまもおんなばばあしゅしょうももくにんでかんたんぬすめるわWWWおまけでごうかんよろしくしてやんよ――ちょんにだにだの洞窟――】
があるらしいから。
そこを通って皆、別の大陸に渡ってしまったのだろう。
帰ってこないので皆誰も知らない。
そして、もしも僕らがここの敵を突破できるなら、
きっときっとさらにつよつよになって、
突貫!
いよいよ腐った大地――暗黒大陸に突っ込めるかもしれないのだ。
まだまだ冒険は続くはず!
だから頑張る!
だけど問題もある。
僕らは四人の冒険者パーティ。
酒場に暇人の職業のワッペンを張ったぼんくら無職どもが朝から酒浸りで、
『ワタシ、アリアゴ、ワカリマセーン』
と、叫んで無銭飲食で喰って遊んで、
金がほしければ城の受付で申請。
毎月一人一回の余所者支援金25万以上、
ペニスの大きさ、アリアサン人より1ミリリン大きければ1万ゴールド。
そんな感じで増えていって、
使い切れば、魔法の言葉
「オカワリ!」
で、幾らでも貰えるらしい。
だから酒場で野郎らが遊んでいる。
女の子はコワがって近寄らない。
きゃっきゃ、私たち仲良しJKPTデース!
なんて、きゃららじゃんぷ雑誌くらいが関の山。
現実ではありはしない。まさに夢見勝ち男どもの辿り着く場所・難民キャンプ。
ひゃっはあああああああああ、黒に染めてやるぜええええ!
ほら、連中も女欲しさに海を渡ってきた。
無制限のお金がもらえるアリアサンに。
ちなみに自営業が嘘申告したら、
皆の前で黒袋被ったおっさんらによってシャミシール円月刀という丸い円を描く刃で、
サク――
首を切り取られる。
そんな世界が嫌で、王様を殺すには、もっとやばい魔王を倒して、民意を得て、他国介入させずに革命を起こす!
王だろうが女王だろうが、カイザーインサイントだろうが。
11歳の女の子をPTに招いて。
「おじちゃん、あのおばさん、あの年でお姫様になりたかったの?」
と、真顔でいわせちゃる。
それで心臓一撃のダメージ会心の一撃完成だ!
だから僕らは希望を胸に魔王退治の旅に出た。
美幼女従者ヒロインを探して――
そして魔王倒して民意を背に、この腐れ切ったゴミダメミタイな国の王を破壊する為に!
さらには、
この国に入った侵略者、
そいつらが雌に襲ってできるご●姦でできた雑種ども。
え、愛?
あるわけねーだろ、そんなもん。
汚ペニス燐の大きさで雌奴隷になるアホ雌豚はいるかもしれんが。
それらも僕が王を倒して断頭台にひきづりだして、
まりいいいいいいいいいいいあんとぅっわねっとおおおおおおおおおお!
と、叫ばせてからいずれ死刑にしてやる!
なにより魔王をとっ捕まえてここにもってきて、逃げられない様に城門から城壁まで、硬質魔法明日とろんで逃がさない。
無限魔法連打で王の血族、神の使徒とかほざく糞の司祭どもを焼き払う道具に変貌させちゃる。
魔王からは逃げられない!
を、自ら味合わせて、侵略者、売国奴、
ぜーんぶぶっころして、
今後外交は出島で門を閉めて行う!
昔の人は、外人にばっしり、拒絶ができて偉いね。
むさくるしい世界の冒険者。
先にも言ったが、冒険仲間を集める酒場というギルドは、漫画のように美少女たちのPTなんかいやしない。
そもそも女たちに男社会丸出し世界で、勉学の場所もなければ発言権も王国にはありはしない。
下手に話せば【女如きが議場に来るとはなんと恥知らずな、投獄しろ!】 な、わぁぉ、な、世界。
つまり女冒険者はどんな職業だろうと最低レベル。
魔法の言葉すら古女神語で書かれてて、そんなの読めるの神官(男)くらい。 言葉が解らないからお店も看板に自店の販売物の絵が描かれている。
つまり言葉すら判る者も少ないのに女子に魔法の書物なんぞ読ませたら、その師が異端者として、神の理を無視したとして教会に投獄、
散々白濁したねばつく液の何かを体から吐きだして、塗れて、
そのまま火刑実行だ!
問答無用でさるぐつわして、みなに、くせ! といわれて。
神官らは絶対男社会。
ゆえに、これだ。
まさに女は繁殖用としてだけの存在なのだ。
ゆえにこうなった。
マジ野郎しかいないムキムキマッチョPT。
汗でワセリンなんかいらないね!
の、ミスターボディビルダーな仲間たち。
ソードマンはもちろん――強力前衛、大軍勢が来たらヒャッハーで飛び込み大剣ふりまわしてランラン役。
タンク――ヘイトをとって盾で防御役。
そして丁寧な言葉だけど、他二人のように、いつもブーメランパンツの中で巨大なうなぎが――ウツボ化して勃ったっている、禁断の知識ばりばり教会主席という神父様。
そして知識も神の加護も持つ神父様が、普段胸にかけてる黄金としか思えない十字を僕の額にあてて。
「おとすなよ?」
と、真顔でいわれ。
今僕の体を――
……なめて、
唾液で、
舌で……
え、舌?
――ええええええええ????
「し、神父!
いったい何を!」
「だまらっしゃ!」
「――!?」
「治療が必要な程大けがなのです!
今、クロスをきって神の奇跡をおこなっています!
唯一神ヤハウェを信じなさい!」
「いやだ!
カルトな連中は全部嫌だ!
神じゃねぇ、
そいつらは全員遺伝子科学のサラリーマンAだ、宇宙のどっかの星の!
だから宇宙人だ!」
――ばちこーん!
「痛い!」
うそ、
――ひっぱたかれた!
「次に神を冒涜したら神の国からきた神の使徒たる私の行いも言葉も神の意志!逆らうなら家族も親族もペットに至るまで首を刎ねて城門に晒しますよ!
痔・ハード!!!です!
さぁ、畏れなさい!
そして土下座を聖地、私の【股間】イコール、性地に向けてしなさい!
あとで!」
だめだこの神父狂ってる。
いや司祭か?
狂ってる。
ああ、あれ、もしかしたらこの世界がもう狂ってる?
そしてこの男はまた僕の体を舐めまわしてる。
男なのに、僕、男なのに、これはもうゲイだな。
間違いない。
絶妙な妙技で僕の勃苦を追い詰める!
やばい奴をPTの命綱担当――僧侶役に選んでしまったかもしれない……
とか思った時にはもう後の祭り。
僕は仰向けのまま治癒?
痴遊?
魔法?
を受けながら全員をみつめて、
仰向けに倒れた状態で見つめて、
周囲のうっそうと茂る森の中に連れ込まれ、
ああ……下草が背中にチクチク痛い……あれ、これ昔体験してるよ僕。
そう思った。
不定期連載でよろしく(*´ω`)




