第9話 久しぶりの学校
「とりあえず、教室に戻りましょうか。風も強くなってきたし、白澤さん、薄着ですものね」
遠野先生はふんわりとシフォンケーキみたいに笑うと、素早く立ち上がった。
それにつられて私も立ち上がる。
二人で北館3階にある2-Bの教室に行った。
私が落ちたところの階段を上っていく。
なんだか、あの生活が懐かしい。
すごく長い時間いた気がするけど、一日もいなかっただろう。
ミオウは戻っているのか、突然心配になった。でも、今さら何も出来ない。
私はただ黙って遠野先生の後をついて行くことしかできなかった。
教室に着くと、遠野先生はドアをゆっくりと開けると、私に先に入るように促した。
私は言われるがまま教室に入った。そこには懐かしいクラスメイト達の姿があった。
「みんな、久しぶり……」
私はついそうつぶやいた。
クラスメイト達は頭がおかしくなったんじゃないかと言いたげな顔をしていたけど、私は気にしなかった。会えたことがとても嬉しかったから。
私は感動してその場に立ち尽くした。
でも、遠野先生の声でそんな思いは途切れる。
「白澤さん、早く席について。授業を始めます」
走って自分の席につくと急いで教科書とノートを出した。
それを確認した遠野先生が黒板に今日習う事の題名を書き始めるのと同時に、チャイムが鳴った。
すごくぴったりなのがおかしくて、私はつい笑ってしまった。
隣の男子にちらっと見られる。
なんだか恥ずかしくなって、教科書で顔を隠すと、そのまま机に突っ伏した。
これからまた授業があるのかと思うと、あの生活がどんなに幸せだったかを思い出した。
一日もいなかったけど。
でも、お見合いは楽しかったなぁ。
絶対この一生で二度と体験できない経験だ。
それに、このクラスにいる人の中でお見合いなんてした人いるはずないんだ。
そう思うと、私の心は優越感に包まれた。
「よーし、頑張るっ!」
私は小声で自分の言い聞かせると、起き上がってノートと教科書をちゃんと開いて黒板に書いてあることをみんなから少し遅れながら書いた。
ミオウだってきっと、頑張ってるはず。
って、まずミオウって、どんな子なんだろう?
あ、私に似てるんだっけ。
やっぱり似た顔の人はいるんだなぁ。
それに、ミオウと親しい人まで私をミオウと勘違いするくらいだもん。
かなり似てるってことだよね。
うーん、考えれば考えるほど頭がこんがらがっちゃう!
もういいや、今は授業に専念専念!
私は黒板に向き直って、真剣に授業を聞くことにした。




