二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 26 - 配信終了
二章 魔王さまによる勇者解説『勇者の真実と闇』 - 26 - 配信終了
魔王バランは横に座っているリュールに感想を尋ねる。
「あっ、はい。色々と有難うございます」
そう言って頭を下げるリュールに対して。
「で、楽しかった? それともつまんなかった?」
さらに畳み掛ける感じで聞いていく。
「もちろん楽しかったです。色々話せて、すっきりしました」
リュールが話したとたん、またコメントがたくさんくる。
「おっ? いわせた、いわてんじゃねぇぞ……別に俺が言わせたわけじゃないよ? ねぇ、リュールちゃん?」
コメントに反応して、魔王バランがリュール確認を取る。
「もちろん、はいです」
リュールは即答する。
「それが言わせてるってことじゃね?……君ねぇ、魔王をあんまり追い込むと泣いちゃうよ? おっさん魔王が泣いちゃったら、死ぬほど気持ち悪いけど、その覚悟あるの?」
魔王バランがコメントに苦情を申し立てると。
また、一斉にコメントが流れてきた。
「なくな、ヤバイぞ、うえぇぇっ、なんじゃそりゃ、だめ想像しただけで吐きそう、キモハラ……君ら相変わらず魔王に容赦ないねぇ。おっ? 笑ってた?」
魔王バランの横で、口元を隠してはいたが、明らかにリュールの肩が揺れている。微かに笑い声まで漏れていた。
「い、いえ……すみません、笑ってました」
一度否定しかけたリュールだったが、さすがに無理があると思い言い換えて謝罪する。
「謝ることないよ。これがいつもの魔王チャンネル配信だからさ。っていうか、ガチで楽しんでくれたようで嬉しいよ。それでじゃ、もし次の機会があったら、また来てくれるかな?」
魔王バランは締めのコメントをリュールに求める。
「もちろん。ぜひ呼んでください」
笑顔を浮かべた美女は、どことなく艶っぽい感じで魔王バランの顔を見上げながら答えた。
「美女と魔王、ひゅーひゅー、おあついね、襲うんじゃないぞ、タバスコ食いてぇ……悪いこと言わんから控え目にしとけよ。
ってことで、次回だね。次は『魔法ってなんだろう?』でいこうと思う。今回はあまりに生々しくなりすぎたからね。次は学術的に深掘りしていくつもりだよ。それじゃ、アンケ行ける?」
魔王バランがスタッフに話しかけると、すぐに返事が帰ってきたようだ。
「それじゃアンケ内容なんだけど、面白かった、つまらなかった、リュールかわえぇ、の三択でいこう。それじゃアンケ出してくれ」
魔王バランが最後の一言を言い終わる前に、アンケートは食い気味に表示されていた。
「なんか、今日はえらくレスポンスいいね。毎回こんなだったらいいのにね」
そんなことを魔王バランが話しているうちに、アンケート結果が表示された。
「さすがにアンケを取る前にみんなわかっていたようだね。99パーセントが、リュールかわえぇになったね。ということで、リュールかわえぇ配信でした」
リュールが楽しそうに笑っている姿がアップになり、すこしの間スチール写真っぽくなった後、配信が終了した。
< 二章 了 >




