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38話:ミチシルベ
私がこの世界に生まれた時から
私の周りはメロディで溢れていた。
しかし、この世界ではあまり曲を聴く習慣がない。
私はそのことで、歌う事の意味を否定した。
でも自分の心までは、否定できなかった。
私は歌いたい。
このメロディを紡いで曲を作りたい。
私は誰もいない丘や、家族に歌うことで
その気持ちを昇華していた。
しかし、私は知ることの楽しさを知ってしまった。
始めは異国の双子に会い、違う国に心惹かれた。
白い狼や、黒猫の様な青年と会い、
私が知らない事について知りたいと思った。
本を読むようになり、私は沢山の知識を得た。
その反面、図書館にはない本や
本にも書かれていない事も知りたいと思った。
私は、この世界を自分の目で確かめに行きたい。
自分の目で肌で感じた事を、歌にして伝えたい。
そう自分の思いを確信した瞬間、私は胸が熱くなった。
私は、吟遊詩人になりたい。




