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29話:白い狼と私と
意味がわからない。
突然起きた出来事を
私は処理出来ずに、呆然とするしかない。
白い大きい狼は
ゆっくりと矢の飛んできた方を振りむく。
背中からお腹に刺さっている矢から
血が出ている。
その光景を見て
初めて私の周りに、大きい狼の血臭が
充満していることに気付いた。
私はその光景から目を離せず
ただ、腰が足が震えるのに
座ることも出来ずに、
大きい狼の前にいた。
薄暗かった丘は、今では暗くなり
月の照らす光だけが頼りだ。
その時、大きい狼の後ろが
少し光った。
大きい狼が、後ろを振り向く。
瞬きもせずに
私は見ていたのに
次の瞬間には私の目の前に、
大きい狼の後ろに、
青年がいた。




