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24.新たなる美少女(になる予定の少女)

 門の外に出ると、そこには数百人規模の難民キャンプになっていた。


「フンデルではすごいポーションを配ってるって!」


 すぐ近くで叫び声が聞こえたのでそちらを見ると、ボサボサの髪に粗末でボロボロな服。しかもそれなりに臭う少女っぽい子が見回りの兵に詰め寄っている。


 もう一人兵隊さんがいたのでちょっと話を聞いてみると、なんでも重傷を負った母親の為にポーションを欲しがってるとか。


 この街では死者は出なかったし、負傷者はポーションでほぼ全快した。しかし、近隣の村では少なからず被害がでたらしい。その生き残りが助けを求めてフンデルの街へ移動してきたのだ。


 だが、フンデルの街にはもうエリクサーは無い。ヘルメスの馬鹿が売っ払ったからな!


『ヘルメス様、聞こえますか?』


『はい!ヘルメスです!イチロウ様!』


 ヘルメスのキャラが変わってきてる。まぁ、今はそれを気にしないとして、正門の外でも通じるってことは、どうやら街の中であれば伝心の範囲内と考えて良さそうだ。


『正門を出た所に結構な数の怪我人がいます。彼らは助けなくていいのですか?』


『それは…。』


『瀕死の方もいるようです。今ならまだ間に合います。私が重症な方の分のエリクサーを今準備するので、助けてあげて下さい。』


 でないと、モンスターの氾濫原因作った俺の心が痛みに耐えきれません。


『イチロウ様…。わかりました、すぐにそちらに向かいます。』


 俺は正体を隠したままエリクサーをヘルメスに渡す為に、マジックポーチを使うことにした。まず、銀貨をマジックポーチからインベントリへ移動させる。インベントリの半分が銀貨で埋まったが仕方がない。そしてマジックポーチにはヘルメスに渡す為のエリクサーを詰める。


 門の付近でハイドしながら待っていると、ヘルメスがお供を連れて歩いてくるのが見えた。


『ヘルメス様、これからエリクサーの入ったマジックポーチを渡す為に、気配を消して近づきます。突然私が現れても驚かないでください。』


『わかりました。』


 ステルスで姿を消しながら近づく。体のどこかに触れた相手には存在がわかるようになるのだが、どこを触れるべきか迷う。迷った末にヘルメスの頭に手を置く。なんかヘルメスの眉毛がピクピクッと動いたが、触る場所を間違えただろうか?


 とりあえず、マジックポーチを手渡し、その場を離れ様子を見ることにする。ヘルメスからの視線は一旦切れたため、俺がどこにいるかはもう分からないはずだ。


 笑顔で重症患者にエリクサーを渡し、明日には他の怪我人にもポーションを届けると約束するヘルメス。安堵の空気が広がっていく。しかし、エリクサーを飲んだ重症患者の一人の容態が改善されない。横には門番に叫んでいたボロボロの服を着た臭い少女がいる。多分あれが母親なんだろう。


 そして、ヘルメスのお供の一人が発言したことで、場の空気が一変する。


「お嬢様、その方の症状を見たことがあります。遅効性の猛毒で、残念ながら解毒剤は領都に戻らないと手に入りません。」


 やばい、毒と聞いてあからさまにヘルメスが狼狽(うろたえ)えやがった。今ヘルメスが高品質の解毒ポーションを出すのは不自然だ。どうする?


 今俺が出て行けば旅の賢者とバレる可能性がある。ヘルメスには帰ってもらって、改めて俺一人で偶然を装って解毒ポーションを渡すしかない。


『ヘルメス様、残念ですが今助けるのは無理です。ここは引いてください。その人は私が何とかします。あと、マジックポーチを使いたいので回収させてください。』


『わかりました。この方のことをお任せします。』


 微妙な空気の中、ヘルメス様御一行が帰っていく。


 俺はステルスを維持したままヘルメスに近づき、マジックポーチを回収。中に銀貨を400枚詰め込んでおく。



 ボロボロの服を着た臭い少女っぽい子、略してボロクサ少女が母親の横で泣いている。湿っぽい空気を嫌ったのか、幸いにも近くには人がいない。



「こんにちは。さっきの話を立ち聞きしていたんですが、偶然効き目の強い解毒ポーションを持ってるんです。試しにお母さんに飲ませてみてもいいですか?」


 そう言って俺は最上級解毒ポーション(高品質)を作成し、少女の前に差し出す。


「良いんですか?」


 ボロクサ少女が不安そうに聞いてくる。


「私も最近旅の方からもらった物なので、どの程度効くかわかりませんが、このまま放置してても…ね?あ、あと、これもあげます。」


 銀貨を詰めたマジックポーチも渡す。解毒出来ても弱ったままだと衰弱死するかも知れないからね。


「あ、ありがとうございます。」


 ボロクサ少女は解毒ポーションとマジックポーチを受け取り、解毒ポーションを母親に飲ませようとしている。


 これでもう大丈夫だろう。そう判断した俺は、目立たないようにステルスを発動してその場を離れた。



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