20.お嬢様の妄想最強都市計画!
暴走したヘルメス様を何とか沈静化し、一週間は俺の存在を秘匿することを約束。作り終わっていたポーションを持たせて一旦お引き取り頂いた。
なお、飯はまだの模様。
お女様はペットを飼ってはいけないタイプのようだ。
急ぎの仕事が無くなったので部屋にあるものを物色していると置き時計を発見。今はもう夜の8時っぽい。
翌日の朝、ヘルメス様が浪漫コンクリートの粉を入れるための魔法の袋を持ってやって来た。無限収納と思いきや、街の倉庫に繋がってる袋だそうだ。一方通行なので取り出すことは出来ない不親切設計。
なお、飯は(略)
浪漫コンクリートの粉はどれくらいの量が必要なのか聞くと、大体の再建計画を教えてくれた。まずは現在の壁を補修した後、改めて今回起こったモンスターの氾濫を防ぎきれる新しい壁を外側に作るらしい。
そしてお嬢様が計画している都市の劇的ビフォーアフターはこんな感じだ!
現在の壁の規模
・1.5km*2kmの長方形。
・高さ3m、幅3m。
・堀無し。
・門は木製
建設予定の壁の規模
・7km*9kmの長方形。
・高さ10m、幅8m。
・堀の深さ5m、幅10m。
・四隅と門の両側に側防塔。
・城門は金属製で東西南北に一つずつ。
・橋は鎖とウィンチによる跳ね橋
なんだこれ、ここの街を首都にして独立戦争でも仕掛けるのか?
「ヘルメス様、この計画は認められるのですか?」
「昨日の夜お父様に相談したら、予算の範囲内なら好きにして良いと許可をもらいました。」
「予算はあるのですか?」
「余ったエリクサーを100個売り飛ばしたら、余裕でまかなえる金額になりました。エリクサー1個で王都にある大貴族の豪邸1つと等価の価値なので、当面資金には困りません。あと、材料費が無料なのが大きいですね。ただ、これ以上エリクサーを売ると、値崩れするからやめてくれと商人には言われてます。」
辺境伯様はエリクサーの売却益と材料費無料を知らないんじゃないか?
「辺境伯領の領都の規模ってどれくらいですか?」
「我らが大パクチニスト王国で2番目に大きい都市で、人口8万人もいます。壁は壊れる前のこの街のものと大差ないですね。」
「この国の王都の規模ってどれくらいですか?」
「人口15万人の大都市です。建設予定の壁は王都の真似をしました。」
うむ、余裕で王都超え。ヘルメス様の妄想都市は規模的には50万人の人口を収納できる規模。人口68万人の足立区と同じくらいの広さと言えば、どれだけの規模か理解して頂けるだろうか。
「モンスターだけでなく、隣接する大コリアンダー帝国に対抗するためにも必要なんです!国力で10倍の差があるんですよ!これでも足りないくらいです!」
力説するヘルメス様。謎の国力差10倍の大コリアンダー帝国のことは取り敢えず無視するとして、領都どころか王都より立派なもん作ったら駄目だろ。大コリアンダー帝国に攻め込まれる前に、謀反の疑いで自国に攻め込まれるぞ。そもそもフンデルは人口2万人しかいない街なんだから、維持管理出来るわけがない。
そんな訳で、領都とほぼ同規模なギリギリの範囲まで無理やり計画を縮小。人口問題を強く押し出してヘルメス様にも妥協して頂いた。名付けて100年安心壁プラン!
建設予定の壁の規模(改訂版)
・2.5km*3kmの長方形。
・高さ8m、幅6m。
・基礎の深さ6m、幅10m。
・堀の深さ3m、幅4m。
・街道沿いの正門の両側に側防塔。
・正門以外は小規模な金属製の通用門。
・橋は固定で金属製。
壁が斜めったら意味がないので基礎を豪華に。堀は基礎と一体化させて、普段は空堀、有事の際は川から水を引く構造に。
なんかヘルメス様が私の王国が…とか危険なことを呟いているが、聞かなかったことにしよう。
取り敢えず魔法の袋を受け取り、明日は外を散歩したいとヘルメス様に伝えると、金貨100枚のお小遣い付きであっさりと了承された。とりあえず今日は浪漫コンクリートの量産に励もう。
翌朝、まだ寝てるのにヘルメス様が部屋へ走り込んできた。
「イチロウ様!腕輪の宝石が光りました!新しいスキル下さい!」
少しは遠慮しろよ!




