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異界巡行の世界 箱舟天使は異界を旅して帰還する  作者: 七夜月 文
1章 --永久を繰り返すアルカアンヘル--
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情報 煉獄腐肉

煉獄腐肉の世界を支配しているのは微弱な電気を帯びた肉食の粘菌の様です。


ドローンによっての回収による怪物の解剖結果、怪物の体中に菌糸のようなものが見つかりました。

箱舟内のデータに菌糸の近親種となるものの情報はなく明らかな新種とみられます。


この菌糸は捕獲した標準個体、特異個体ともにどの個体も脳へと侵食していくことが分かりました。

火と乾燥に弱いようで、火を近づけると逃げようとする動きを見せます。


弱い電流を受けると活性化し勢いよく増殖することがわかり、成長後栄養がないとそのまま干からびるように死滅し強い電流を浴びると炭化しました。

菌糸自体が行動の際に熱を持ち、動く量が大きくなるほど熱量は大きくなり星を覆った菌糸は星の温度すら上げてしまったようです。

低温にある程度の耐性があるようで、0度下での活動停止までに2時間ほどかかり解凍後に改めて活動を開始しました。

その際、解凍出来た部分から独自に行動を開始する様で、体の一部が凍結していようとお構いなしに行動するようです。


形状は不定形の半固定物質で温度により粘度は変わりますが常温では餅に近い硬さを持っています。

移動は菌糸の塊が四方に広がり木の根や血管を思わせるように伸びると、湿度の高い方向へ、または餌となるものへと付着した根の一本に集まっていくように移動します。

柔らかい土壌、スポンジ、小麦粉などには潜ることはできず、あくまで宿主の存在が必要なようです。


宿主の生前の記憶の一部を模倣し活動することができるようで、助けを求める言葉、痛みを訴える言葉などを発していました。

表情に変化がないため記憶から引き出しているものだと思われます。


怪物には不安定ではあるが意識があり宿主の本来の力以上の力を発揮し、また軟骨ではなく骨の基準で関節を動かすようで、関節可動域外の方向への稼働も確認されめした。

また、行動後関節は自動で元の位置に戻る様子で問題ない活動を見せています。


怪物は食事や排せつの行動は見せないが水分だけは一定の間隔で摂取る様子を見せました。

食性、おそらくは宿主の体内にいるあらゆる菌を食しているとみられ、その際に血管内に侵入し神経や脳に達するとみられます。


菌糸に脳を寄生されると宿主はある程度の不死性を得て活動をすることが確認されました。

脳はすでに溶かされその機能は菌糸が補っているようです。

宿主を支配しより広範囲へと自身を運ぶためのキャリアーとし、その道中に襲って来た捕食者も宿主とするためと思われます。


体の欠損率が大きくなるとゆっくりと宿主の肉体を捨て、暗く湿気の多い場所へと移動する動きを見せます。

逆に破損個所が小さいと傷口付近の菌糸が乾燥から逃れようとし、宿主の回復能力を使って傷口を修復しようとする動きを見せました。


宿主の知性に若干の影響を受けるのか、扉の開閉、水分の取り方、移動方法に変化がみられます。


特異個体

他の個体より大きく縦にも横にも膨らんだ個体。

解剖の結果、側と骨格を残しそのほとんどが菌糸へと変わっていました。

菌糸の大規模なキャリアーとみられる、この頃になると体内の細菌だけでは食料を賄えないのか皮膚下の細胞を食料にしていると思われます。

宿主の体の内側で大量に増え、この成長固体になると骨に寄り添う形で菌糸の間で筋肉の代わりとなるものを模造し、内臓のほとんどは解けて消滅し代わりに大量の菌糸が溜め込まれていました。


この固体も変異の途中とみられ更なる進化を遂げた個体がいるとみられます。


動物個体

調査中に一匹犬に寄生した個体を見つけました。

全身に傷を修復した跡があり体はやや歪ですが本来の動物と遜色のない動きを見せています。

他の個体と同じように水を求め火を嫌う反応を見せました。


天敵として菌糸を食す蠅が確認されており、ほとんど菌糸に置き換わった個体に群がる様子が確認されております。

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