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十一話

三国志知識がある徐庶=原作知識あり

「報告します。止水関に敵影ありません」


ひたすら守り、一切の攻勢を見せない董卓軍とそれを攻め立てる連合軍という構図で戦況が変わらずに一週間。


朝一番で開かれた軍議に来た報告だった。


明らかに不審である。


未だに止水間は落ちる気配も見えず、むしろ時間制限のあるこちらが不利な状況で董卓軍が後退する理由なぞ無い。


あるいは洛陽や虎牢関で異変があったのかもしれないが、それよりも何らかの計略の一環だと考えた方がしっくりくる。


ここまでこちらは一切の計略に成功していない。


仕込んだ間者は華雄に一掃され、敵方の策を逆手に取ろうにも徐庶が一切の策を仕掛けてこなかったからだ。


つまりこちらは徐庶の腕前を知らない。


もちろん、ここまでの防戦から見て戦闘に関しては一流であることは分かっている。


しかし、戦場で強い軍師が策謀にも優れているとは限らない。


これが徐庶による計略ならば逆手にとってこちらの策を仕掛けるいい機会であり、そこまでいかずとも徐庶の策謀の実力を測る良い試金石となるのだ。


そしてそんな報告に対し。


「それは本当ですか?」


いの一番に歓声を上げるのは劉備。


慌てて配下に指示を出そうとしている軍師の諸葛亮とはうらはらに相変わらず危機感の欠片もない。


「華琳様?」


「ええ。秋蘭に行かせなさい」


互いにほとんどを視線を合わせるだけで理解し、配下を確認に向かわせる曹操。


そして我が愛すべき主の孫策殿はと言えば。


「ねえねえ冥琳。私が行ってきていい?」


軍議とは名ばかりの袁紹と袁術が退屈にかまけて騒ぐだけの場からの脱出を願っていた。


「駄目に決まっているだろう。それに明命が見てきてくれるはずだ」


彼女は本来は集った諸侯からの情報収集のために来てもらっていたのだが、いろいろと思うところがありずっと止水関に潜ませていた。


彼女の報告を待ってからも動くのは遅くない。



戦争が始まってから一週間。


未だに呂布さんが謀反なさらないでござる。


それによく考えたら戦争が始まってすぐに謀反するかは分からないのだ。


私が覚えているのはあくまでも『呂布が董卓をざっくりとずんばらりん』だけだ。


もしかしたら止水関戦の後に張遼さんが敗走して虎牢関に行き、呂布が敗色濃厚と考えてそれから裏切り。そして張遼さん投降だったのかもしれない。


だとしたら今の時間稼いで董卓さんざっくばらん作戦は無意味だ。


というか華雄さんがかなりイライラしてて恐い。


彼女いわく『暇だから警邏していたら間者は斬った。だが私は将と戦いたいのだ』らしい。


張遼さんも前は象棋なり盤上演習なりでフルボッコにしてれば大人しくなったけれど、最近は教えてないのに定石に気付き始めてるからそろそろ勝てなくなる気もする。


あんまり長引くと私が言うこと無視して出撃される可能性があり、それが恐い。


乱戦になれば私の武力では一般兵士にすら殺される。


そこで一つの手を打つことにした。


『張遼さん、華雄さん。空城の計を行います。既に仕込みは済みましたので今晩のうちにこっそり全軍を下げます』


こう張遼さん達に言ったのだ。


もちろん仕込みなんてない。


空城の計?ゲームに出てきたそれっぽい計略の名前でどんな計略か知りませんけど何か?


本来の目的は、ただ連合軍に止水関を明け渡すだけ。


いかにDQNな董卓様も『孔明の罠です』と言えば許してくれるはず。


孔明でなくても連合軍にも名のある軍師はいるはずだし。


……少しはやまった気もするけど張遼さん達にはもう言っちゃったしね。



孫家の天幕。


中では後退した董卓軍の追跡から帰還した周泰が孫策と周喩に報告をしていた。


「空城の計……か」


「知ってるの、冥淋?」


「いや。だが名前通りに城を空にする策と思われる。徐庶の仕込みとやらで中の人員を無差別に殲滅する代物かなにかだろう。ひとまずは傍観が最善だろうな」


「ふーん。なら袁術ちゃんでも焚き付けて突っ込んでもらう?」


「いや、現段階では連合軍内で二番目の兵力を持つ袁術が死ぬのは拙い。もちろん最大兵力の袁紹もだ」


「ちぇ―、詰まんないわね。結局、シャオがバレた理由もわかってないんでしょ」


「ああ。まあもともとすぐに分かるとは思っていない。何とか捕らえて吐かせるつもりだ」


「きゃーめーりん恐―い」


「全く、すぐにふざけるのは雪蓮の悪い癖だぞ」


「あはは、ごめんごめん」


かくして孫家はしばしの傍観を選択した。



劉備軍の天幕。


中では軍議が催されていた。


「罠?」


「はい。敵軍の軍師を務める徐庶は私や雛里ちゃんと同じ水鏡女学院出身で私達も彼女の実力はよく知っています」


「私と朱里ちゃんでさっき話し合いましたが、あまりにもあからさまに誘っています。本来ならば罠がないのに私達を警戒させて時間稼ぎの策と見ますが、徐庶さんの場合は更に策を積み上げているかと」


「つまり私達が油断して入場したら罠に掛かると?」


「はい。愛紗さんの言うとおりです。」


「うーん、危ないならしばらく様子見かなご主人様?」


「うん。朱里と雛里がここまで警戒しているなら止水関に入るのは止めたほうがいいな」


劉備軍もまたしばしの傍観を決定した。



孫家、劉備軍と来たら当然ここな曹操軍の天幕。


中には三人の女性がいる。


「桂花はどう見る?」


「はい。私見では止水関に罠が仕掛けてあるのであればあまりにもあからさますぎます。故に逆に警戒させて時間を稼ぎ、我らの士気を下げる策かと思いましたが、連合内で最高の諜報能力を誇る孫家が静観を貫いていることから何かが仕込まれているかと」


「何か……とは?」


「わかりません。ですが関の中には何も無かったんでしょ秋蘭?」


「あぁ。下手に入って止水関一番乗りとなると後が面倒なので他の勢力の斥候ともども開け放たれた門扉の外側から見た限りでだがな」


「ならば桂花は静観を最善とするのかしら?」


「はい。口惜しいですが、華琳様がこの戦で徐庶とやらを捕らえるのを最優先となさるのであれば無駄な戦力の消耗を避けるためにもそうするのが最善かと」


「嫉妬しているのかしら?」


「……はい。ですが、華琳様が徐庶を必要となさるのであれば必ず捕らえてみせます」


「ふふ。大丈夫。あなたもまた我が子房なのだから」


「華琳様ぁ」


(どうにも作者が軍師偏重で私が空気だな……ん?私は何を考えている?)


曹操軍の方針はいうまでもなく、かくして董卓軍に味方する時はだんだんと過ぎていく。

√アンケを活報に掲載(今から書くから0:15くらいには上がってるはず)


更新が遅い?内容が短い?


……うん自覚はしている。


駄菓子菓子、亀更新は事前に通達済みだ(`・ω・´)


うんすまない。次回こそはもっと早いように善処するかも知れない。

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