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再構築 一

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



「はい、私が柿本ですが、私宛に手紙ですか? どなたからですか?」


 手紙を受取り、差出人を確認するが、手紙には書かれていなかった。

 だが見覚えのある封筒だ。屋台街で渡されたものと同一のものだ。


「顕一学舎の者とお伝えすれば、相手は理解できるとのことでした。若い男性の方でした」


 フロントの従業員がそう答えた。燐と霞の顔が、一気に警戒心を含んだ表情へ変化する。

 男性? 今回は蘭鬼じゃないのか? まさか李範鬼本人が、直接手紙を届けたのだろうか?

 いや、それはないか。手紙を書いたのは本人だろうが、届けたのは部下だろう。


 私は、近くにあったラウンジのソファに腰を下ろして手紙を開いた。同じく燐と霞も席に腰をかける。

 手紙には、今回の三体の鬼混殭屍を、瞬時に屠ったことに対する称賛の言葉が綴られていた。


「彼女の剣筋と動きは見事でした。ぜひとも今後の検証実験にご協力頂きたいです」


 その後も長々と、己の実験に対する成果や意気込みが、つらつらと綴られていた。

 だが、とても読めるような内容ではなかった。彼は人を殺めすぎている。

 本人が直接手をかけた数は、少ないのかもしれない。


 しかし、彼が作成した鬼混殭屍や、それを操る術式の為に、何人の人命が犠牲になったのか計り知れない。

 こいつは、研究の成果のためなら、人の命を本当になんとも思っていない。


 そもそも、なぜこんな手紙を送ってきたんだろうか? 素直に称賛と成果の自慢がしたかったのか?

 やはり、李範鬼という人物は、一般常識では理解ができない人物のようだ。

 屋台街での手紙も、ただ純粋に研究の邪魔をするなと、伝えたかっただけだったのかと気づく。


 彼からしたら、人の命を研究上の一変数としか捉えていない。

 研究のバグとなる変数は排除し、研究の為に必要な変数には、容赦なく命を要求する。

 李範鬼からの手紙の最後には、このように綴られていた。


「最後に、改めて伝えておく。蘭からも聞いていると思うが、私は研究の成果の為であれば、多額の金銭や人の生死も一切を厭わない。君はそれと対立することを選択した。それが何を意味しているのか、それだけは理解しておいてくれ 李範鬼」


 大きく息を吐いてから、手紙を閉じ上着の懐へしまう。燐と霞が心配そうにこちらを見つめている。


「静夜様、どういった内容だったのですか?」

「要は、李範鬼からの宣戦布告と脅迫ですね。ですが、素直に燐の事は称賛していましたよ。検証実験に協力してほしいそうですよ。多分こいつ、本気で言ってます。これが生粋のマッドサイエンティストってやつなんでしょうね。考えていることが一切理解できません」


 あまりにも馬鹿馬鹿しい文章に、怒る気にもなれなかった。私は立ち上がり、二人に声をかけた。


「ひとまず今日は解散しましょう」


 私は、自室に戻ると一息ついてからシャワーへ向かう。今から湯を張る気にはなれなかった。

 汗を流してパンイチで部屋へ戻ると、咲耶と水が再び晩酌を始めていた。よう飲むなぁ。


 ホテルに用意されている部屋着に着替えてから、私は冷蔵庫から缶チューハイを取り出して栓を開けた。

 ベットに腰掛け、枕を背に置いてゆっくりとくつろぐ。テレビには深夜のバラエティ番組が放送されていた。

 バラエティ番組なんて全く見ないから、出演者を見ても、誰が誰なのかさっぱりわからない。


 一時間半ほどのんびりしてから、私はベットに入り消灯して就寝する。

 咲耶達もある程度満足したのか、テレビを消して姿が見えなくなる。


 翌朝、昨日と同じく三人で朝食を済ませてから、身支度を整えてからロビーへ降りた。


この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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