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道真之祠廟 三

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



「水、そんなことが可能なんか? 要は人柱じゃなく虎柱を立てるってことやろ?」


 私は、呆然とする皆を代表して水に尋ねた。

 水の従者である水虎を、柱として据えると言い出した水の顔は、至って真剣だった。

 本来の主である咲耶を傷つけた顕一学舎に対して、水は明らかに怒っているようだった。


「できるわ。難しいことじゃない。要は霊相を定期的に供給できる媒体さえあれば良い訳でしょ? 結界師さん違うかしら?」


 水のその言葉に、壬子が慌てた様子で応える。


「は……はい、理屈はおっしゃるとおりなのですが、あの……あなた様は?」


 巨大な白虎の姿で現れた水を、燐を除く皆が、怯えた目で彼女を見ていた。


「ああ、こいつは咲耶のお付きの天女の水です。式神として契約しています。正式な式名は水天白虎です。午前中に説明した、霊相の管理に長けた式ですね。結界の再構築後の小室家の柱の霊相は、彼女に吸い取ってもらうつもりです」


 こいつとは失礼ねと、私の後頭部を小突く水。壬子が続けて口を開いた。


「貴方様が水様でございますね。私、久井流結界術師範の久井壬子と申します。水様が柱と同等の霊相を納めた媒体を、次期氏家が決まり、新たな柱と交換するまでの間、一時的にご提供いただけるということで間違いございませんでしょうか?」


 壬子の言葉に、水は頷いた。


「ええ、私の従者である水虎の二体を、一時的な土地神として、あなたが指定した場所に配置しましょう。霊相は定期的に私が送ります」


 こいつは、そんなことまできんのか。でも、柱の交換って結構先の話になるんやないのか?

 いつ京都に戻るかはまだわからんけど、帰るとなった時に、その水虎は放置していくんか?

 それか、水が定期的に様子を見に行くって感じなんかな?


「承知致しました。多大なご助力に心より感謝致します。水様のおかげで六芒結界を編むことができます」


 改めて、壬子と砂陣、そして霞が膝をついて頭を垂れた。なんで霞もと思ったが、結界師としての矜持か。

 まぁそれで問題がないのであれば、私がどうこう言えることではない。あとのことは水と結界師に任せておこう。

 咲耶を見ると、彼女は黙って祠廟のある方向を見つめていた。


「咲耶、もう体は大丈夫か? 辛いならおんぶしたろか?」

「馬鹿にするのはほどほどにしておきなさい。用は済みました。帰りますよ」


 そう言うと咲耶は姿を消した。水は壬子と砂陣、そして霞と何やら話し込んでいる。

 私の隣に宮司である須能が立ち、穏やかな口調で口を開いた。


「栄神静夜様、あなたは本当に人間なのですか? 豊穣の神と契約し、そして伝説の白虎を使役する。人間のなせる業ではございません。栄神流の始祖は、どのように神と契約したのでしょう」


 そう言う須能に対して、私は苦笑しながら答えた。


「賭け事で負けたかららしいですよ。本人は詳しく語りたがりませんけど」

「ほぅ……賭け事ですか。神も勝負事を好むと聞きますし、意外と納得できる理由なのかもしれませんね」


 水が話を終えたのか、一度こちらを見て手を振ってから姿を消した。

 私達は、本殿の向拝で再度頭を下げてから、桜門へ向かい歩き出した。


 ──その時だった。私達は桜門の中程で立ち止まる。


「ここは神前やぞ。ふざけてんのか」


 桜門の向こう、鳥居の下に一体の人影が立っている。だがあれは人ではない。

 鬼だ。それも低級の鬼ではない。夜叉と同等の霊相を持ち合わせている。


「宮司と巫女は別の出入り口から出てください。砂陣さんと壬子さんは社務所まで三人の警護を。霞さんは周囲に人払いを。燐、あなたはこいつを抑えてください。私はこいつを操っている者を探します。夜叉並の強敵だと思います。決して油断はしないように」


 私の言葉に、燐は一歩前に踏み出して、腕輪から輝刀[明翠燐光(めいすいりんこう)]を出現させた。



「はいっ!! おまかせくださいっ!!」




この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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