六柱結界 五
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。
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「あの……壬子さん? もしかしてこの博物館内に柱埋めてるんですか?」
九州国立博物館──日本で四番目に建設された国立博物館だ。
たしか二〇〇五年に建てられた記憶がある。ニュースで話題になっていた。
屋根が全面湾曲した青いガラス張りで、すごく近代的な建物だ。
だが、内部は全てではないと思うが、木造建設になっている。
九州には大きな博物館が数多く存在するが、その中でも最大の博物館。
呆然とまばゆい建物を見上げながら、壬子にに尋ねる。
ここの床を掘るの? いや、あらかじめ掘れるようにスペースを作っているのか?
「いえ、館外の散策路の近くにある林の中ですね。こちらです」
──あ……違うのね。そりゃそうか。
壬子の案内で、第二駐車場から現場へ向かい歩いていると、前方に立派な茶室が見えてくる。
博物館の敷地内になぜ茶室が建てられているのだろうか? 九州って茶道の歴史に造詣が深いのかな?
茶道といえば大阪堺の千利休ぐらいしか知らんけど。茶室の前を通り、里山散策路への階段を降りる。
散策路をしばらく歩いていると、左手に池が見えてくる。池というよりは沼か?
ほとりには、休憩用の木製のテーブルとベンチが設置されている。
散策路を外れ、そこに壬子が近づき立ち止まった。どうやらここに柱が埋められているようだ。
いわばこのテーブルは、柱の位置を確認する目印になっているのかもしれないな。
壬子が私を見て頷いた。私もそれに対して頷いて応えた。
壬子と霞が、先程同じように、人払いと視覚阻害の結界を張る。
まだ少し時間が早いこともあり、散策路に人は見られない。三人が私から距離を取る。
私は霊相を開放し、白と紅に先ほどと同じく、地中に埋まる柱の確認を指示する。
「静夜様、先程に比べれば軽度ですが、やはりこちらもひび割れが確認できます。補強致しますか?」
一分ほどで白からの報告の声が頭に響いた。軽度とはいえ、このまま放置しておくわけにはいかない。
私は、龍姉妹に補強を指示し、三人に状況を説明した。壬子が深く頭を下げる。
補強が完了したことを確認し、人払いの結界を解除して皆で一度ベンチに腰を下ろした。
「さて、とりあえず窮地は去った訳ですけど、これからどうするかですね。結界の一時的な再構築って時間かかるんですか?」
「いえ、これは柱を掘り出す必要はありません。結界も紋結界になりますので、久井家の結界師が総出であたれば、数時間で処置が完了できると思います。何も問題が発生しなければですけどね」
そう答える壬子の顔は、少し憔悴しているようだった。無理もない話だ。
当家が管理する結界が爆発して、一般市民に被害が出てしまえば、久井家の存続すら危ぶまれる。
いくら事故とはいえ、さすがの大社も全てを擁護することはできないだろう。
「まぁ兎にも角にも、夜に咲耶に祠を実際に確認してからって話でしたもんね。まだお昼まで時間もありますし、九州最大の博物館を見ていきましょうか。このあたりの歴史を知るにも良い機会ですしね」
私がそう言うと、皆がそれに頷いた。立ち上がり私達は、再び散策路を進んだ。
散策路を抜けると、ちょうど博物館の入口がある方面に出たようだった。
受付で入場券を購入し、館内に入った。中は驚くほど広かった。
どうやら国立博物館の中でも、九州国立博物館は最大の延面積らしい。
これ一つ一つじっくり見てたら、全然時間が足らへんな。
各々のペースで見た方がいいと思い、二時間後にここに集合することにして一度解散した。
私はパンフレットを片手に常設展示エリアへ向かった。とりあえずパンフレットの案内通りに進むことにする。
それぞれの展示エリアでは、古代から近代までの歴史的な出土品や、副葬品などの国宝や重要文化財。
九州が、どのように歴史を築き、海外と交流してきたのかなどの、歴史資料などが数多く展示されていた。
私は、軽く一通り回ったあとに、太宰府周辺の歴史を中心に、展示物やパネルなどに目を通していった。
どうやら皆も同じ事を考えているようで、同じ場所に集まってしまった。まぁそうなるか。
結局四人で見て回ることになり、私達は太宰府天満宮の歴史についての展示エリアで足を止めた。
「さて、現場訪問の前に予習しておきましょうか」
この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。
当作品は、初めての執筆作品となります。
当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。
ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。
これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。
ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。




