六柱結界 三
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。
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現場へ到着し、周辺を見渡した。中学校のグラウンドの隅にぽつんと存在する砂場。
この高鉄棒に砂場って組み合わせ、私の母校の小学校や中学校にもあったな。
これって学校への設置義務とかあんのかな? 体育の授業の走り幅跳びで使ったもんな。
問題の砂場に足を踏み入れる。屈み込んで柱の様子を窺う。
たしかに、先程の早川家が管理する柱と比べると、明らかに霊相が弱くなっている。
柱から伸びる陣の帯も、かなり細くなっているように感じる。
「壬子さん霞さん、これあとどれぐらい保ちそうですか? できる限り正確な見解を聞かせてください」
私がそう言うと、二人は真剣な表情で、四方から柱の霊相を確認する。
はじめに口を開いたのは壬子だった。腰に手をあて、ため息まじりに答えた。
「予想より、効力の減退が早いですね。これでは早くて三、四日で効力を喪失する可能性があります。もしかしたら、柱自体になにか問題が発生している恐れがありますね」
その言葉に、霞も頷いた。どうやら霞も壬子の意見に同意のようだ。
「そうですね。私は小室家が襲撃されてからの柱の効力の衰退加減はわかりませんが、霊相が無駄に柱から漏れ出しているように感じました。対処を急ぐべきだと思います」
私は、霞の言葉に頷き、しばらく腕を組んで考えこむ。
効力が弱まっているのは以前から聞いていた事だが、柱自体に問題が発生している可能性がある?
それは柱を掘り出して確認しない限り、原因を調べるのは難しいのではないか?
──いや……方法ならあるか。もしかしたら彼女達なら、柱の状況を直接確認できる可能性は高い。
「壬子さん霞さん。この砂場周辺に、人払いと視覚阻害の結界を張ってもらえますか?」
「人払いと視覚阻害ですか? わかりました。霞さん視覚阻害の方お願いしてもいいですか?」
「はい、わかりました」
私の指示に壬子と霞は素直に応じた。二人は砂場周辺を囲うように陣を引き、術式を展開した。
「静夜殿、双方の結界術式の展開が完了しました。これからどうされるのですか?」
「ありがとうございます。皆さん少し離れてください。私の霊相を大きく開放するので」
その言葉に、状況を理解した燐が、二人に砂場から離れるように誘導する。
結界師の二人は、これから何が始まるのか理解ができず、誘導されるがままに距離をとる。
私は眼鏡を外して懐にしまうと、己の中に呼びかけた。喰龍の姉妹へ。
「白、紅。出番や」
「はい」「はいっ!」
私の眼の前に、二人の着物の少女が姿を現した。同時に私の霊相が開放される。
それにより、少し離れた位置にいた三人の体に、途轍もない痺れと悪寒が走る。
「くっ……すごいですね。これが話に聞いた栄神の霊相と、式神の喰龍ですか……大社が鬼霊対策室の統括室長に据えるのも納得です。次元が違いますね」
壬子が、脂汗を浮かべながら、震える体を抑えるように右手を自分の左肩に当てている。
やはり彼女も高位な霊相を持ち合わせているゆえに、かなりの影響を受けているようだった。
「え!? な、なんですかこれっ!? これが霊相なんですか? 怖いっ怖いですっ!! あっ!? でも少女達はかわいいですっ!! ぎゅってしたいですっ!! う……うぎゃぁぁぁ!!」
私の霊相によって、パニックになり、いつものキャラに戻っている霞。
やはり霞も壬子と同じく、高位の霊相を持ち合わせているせいか、慌てふためいている。
そして何を考えたのか、白達に近づこうとしてより霊相に当てられて叫んでいる。やはり天才か。
「白、紅。この下に埋まってる結界が施された柱の状況を確認してくれ。でも、お前達の霊相やと結界が反応してしまうかもしれへんから、霊相は俺が全てもつ。だからお前達は自分の霊相を使うなよ」
「承知しました。では紅、行きますよ」
「うんっ!!」
そう言うと二人は姿を消した。今頃霊体で柱を直接調査してくれているはずだ。
一分ほど静寂が流れた後、私の頭の中に直接白の声が響いた。
「静夜様、こちらの柱ですが、大きなヒビが入り爆発する寸前になっています。霊相の供給が途絶えた影響だと考えられますが原因は不明です。早急に対処が必要です」
この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。
当作品は、初めての執筆作品となります。
当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。
ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。
これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。
ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。




