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博多夜談 四

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



 私は、ポストカードを封筒に戻してテーブルに置いた。

 要は脅迫だ。これ以上犠牲者を出したくないのであれば、手を出すなと。

 警告のつもりなのだろうが、私達が素直に応じると本気で考えているとは思えない。


「何や? わざわざこんなしょーもない脅迫の手紙を渡すために、俺は呼ばれたんか?」


 少し酔いが回ってきていたこともあり、多少口調が荒くなる。

 しかし、それに対し蘭鬼は一切動じることなく、笑って答える。


「あらあら、統括室長は辛辣だねぇ。まぁそうだね、間違ってないよ。ただ勘違いしないでほしいのは、兄は決して冗談は言わないし、一切の嘘もつかない。その手紙も至って本心で、あなたに送っているのは確かだよ。あの人は、そういう人なの。殺したくて殺しているわけじゃない、己の研究成果を出す過程に、バグの変数が発生したから、それを除去しているだけなのさ」


「…………」


 あまりに馬鹿馬鹿しい論拠に気分が悪くなり、吐き気を催す。

 隣では「じゃあね、たけちゃんごちそうさま」と、蘭鬼が席から立ち上がる。

 暖簾に手を掛けて、店を後にしようとしていた。


「一つだけ聞かせてくれ。君たちの研究グループは、一体何を研究しているんだ? 鬼の使役だけか?」


 暖簾を潜った彼女は立ち止まらずに、ボソリと一言呟いて姿を消した。



 ──「鬼の軍事転用かな……」と……



 ◆◇◆◇



 翌日、朝食を摂るためレストランへ向かう。

 昨夜の屋台での影響か、若干の頭痛はするが、この程度なら飯を食えば治るだろう。

 二日酔いになるなんて若い時以来だ。昨日は最後の最後で悪酔いした。


 鬼の軍事利用? 一体何を言っているのか全く理解できず、固まっている間に蘭鬼は姿を消していた。

 あまりに荒唐無稽な話すぎて、いまだにいくら頭を整理しようとしても、答えが理解に結びつくことはなかった。


 エレベーターでレストランのフロアへ降りると、燐と霞がレストランの入口付近のソファに座っている姿が見えた。

 私を見つけると二人は立ち上がり、こちらへ向けて歩いてきた。どうやら私のことを待っていたようだ。


「静夜様おはようございます。朝食ご一緒させてください」

「統括室長、私もお願いします。き……昨日は酔っ払ってすみません……」


 二人の挨拶に、私は頷いて答えた。


「ええ、もちろんですよ。霞さん? 二日酔いは大丈夫?」


 「はい、大丈夫です」と答える霞と、隣でクスクスと笑う燐を連れて、私達はレストランへ向かった。

 朝食はビュッフェ形式になっていて、各自お盆と自分に合ったプレートを選ぶ。

 メニューはオーソドックスなものから、福岡らしいものまでが揃っているようだった。


「おお、辛子明太子が食べ放題とかさすが福岡って感じがするな。高菜もある。こんなん白飯止まらへんやん」

「ほんとですね。あ、焼きラーメンとかありますよ。どんな味なんでしょう? 塩焼きそばみたいな感じなのかな?」


 霞が、わくわくとした顔で、ずらりと並んだ料理を眺めて答える。

 燐はもくもくと一番大きなプレートに、次々と料理を取って並べて行く。


「焼きラーメン昨日食べたけど美味しかったですよ。まぁあれはできたてでしたけど」

「え? いつ食べたんですか? 昨日のお店ではなかったですよね?」


 ──しまった。つい勢いでしゃべってしまった。


 ちらりと燐を見るが、どうやら聞いていなかったようだ。もくもくと白飯をよそっている。

 燐に外出がばれると、なぜ連絡してくれないのかと怒られそうだから。


「え? いや……夜食にルームサービスで頼んじゃってね。ははは」


 「そうなのですね」と、納得したような霞が自分のプレートに料理をのせてゆく。

 私も、ほっとしながら料理を選んでゆく。どれもおいしそうだ。

 関サバの塩焼きと明太子と高菜をメインに、味噌汁と海苔、そして生卵とご飯を用意した。


 皆が席についたのを確認して。朝食を頂いた。

 さすが有名ホテルの朝食だけあって、どれも美味しかった。

 明太子はさすがと言うべきうまさで、あとでおかわりしてしまった。


 燐と霞も、各々に食事を楽しんでいるようだ。

 燐のプレートには、大量に料理が盛られていたが、あっという間に平らげていた。

 燐ってシェアハウスでは、そんなに食べる印象なかったけど、食べる時は食べるんやな。


 「ごちそうまでした」と皆で手を合わせて朝食を終えた。

 部屋に戻り、身支度を整えてから部屋を出る。


 今日の午前中は、六つの柱の調査が主なタスクになっている。

 その中でも小室家が管理していた柱を中心に見に行く予定だ。


 エレベーターでロビーのラウンジに向かうと、既に皆揃っているようで

 凛と霞、そして久井家の久井壬子が立ち上がる。

 功徳室長と蓮華君は、警護業務に戻っている。


「統括室長おはようございます。本日はよろしくお願いします」


 壬子が、頭を下がた。私も敬礼でそれに応えた。



「こちらこそよろしくお願いします。では、さっそく柱へ向かいましょう」




この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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