博多夜談 二
※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。
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「では、明日の予定ですが、まとめると午前中は壬子さんと一緒に小室家の管理していた柱の調査と、天満宮周辺の調査。午後からは、天満宮の境内の調査と、宮司との面会。ホテルに一度戻り、夜間に実際に祠の状態の確認ってスケジュールで問題ないですか?」
「はい、それで問題ありません」
食事も一段落し、私と壬子が明日の予定を話し合っていた。
昼間は、天満宮の内外の調査と宮司との面会。夜間に祠の調査を行う。
結界の一時的な再構築は、咲耶の祠の確認後にどうするか決定することとなった。
「そういえば、今更なんですけど、太宰府天満宮の宮司って羅刹の封印のこと知ってるんですか?」
「いえ、おそらく存じてないと思います。道真公の呪怨に関しては、もちろん承知しています。ですので、結界の用途も道真公の呪怨を抑えるための結界という事になっています」
まじかよ。宮司にすら知らされていないのか。それだけ機密な情報ってことか。
それ、これからも隠し続けるつもりなのだろうか? 不信を抱かれないといいんやけど。
「わかりました。その件に関しては一度大社に確認してみましょう。では、明日はよろしくおねがいします」
久井家との会食を終え、私達はホテルへ戻った。タクシーを降りてホテルのエントランスへ向かう。
霞は一人で歩くことができないのか、燐に支えられながら、ふらふらと千鳥足になっていた。
彼女お酒弱いんやな。その割には結構飲んでたけど。まぁまだ若いし慣れてくるだろう。
明日の朝八時にロビーで集合する事を約束し、解散することとなった。
自分の部屋の前に来た時に、あることに気がついた。
ドアの隙間に一枚の紙が挟まっていた。ホテルや対策室の人間の仕業では無いことは明らかだ。
そうなると、思い当たるのはひとつしかなかった。
「顕一学舎……」
紙をシャツの胸ポケットにしまい、ひとまず部屋に入った。上着を脱いでベットに腰を下ろす。
ポケットから四つに折りたたまれた紙を取り出して、それを開いた。
紙には、ボールペンで書かれたような簡単な地図が描かれている。
地図の一箇所に、店名と黒い丸印が付けられた箇所があった。
どうやら、すぐ近くの屋台街付近の店を指しているようだった。
紙の右下には、「店は狭いから、お一人で」とだけ書かれている。
ここに来いということなのだろうか? なんてあからさまな挑発なんや。
明らかに罠じゃないかと勘ぐってしまうが、人が多い場所にあえて呼び出してきた。
相手の意図が理解できないが、向こうの素性を少しでも知ることができるなら行くべきだろう。
スマホを取り出し、燐に一言連絡を入れようと思ったが。
話を聞いた彼女は、必ず同行しようとするだろう。拒否すれば、力ずくで止められるかもしれない。
「それはそれでめんどくさいな」と、スマホをポケットにしまった。
時計を確認すると、二十一時前を差していた。再び上着を着て、ベットから立ち上がった。
ホテルを出て、指定された店へ向けて歩き出した。肌寒いビル風が頬をかすめてゆく。
指定された屋台はすぐに見つかった。ホテルから歩いて三分ほどの距離しか離れていなかった。
店は、よくある博多ラーメンの屋台のようだった。暖簾越しに席を確認する。
確かに手紙に書いてあったとおり、座席数は少ないようで、五人座れば満席になるだろう。
今はお客さんは入っていないようだ。暖簾をくぐって席についた。
「いらっしゃい。注文が決まったら、そこに置いてある紙にチェック入れて渡してください」
店主に言われるがままに、注文用の紙を取り出し、メニューに目を通す。
どうやらラーメンだけじゃなく、焼きラーメンやおでんなどもあるようだった。
酒の種類も意外と豊富で、すこし驚いてしまう。
焼きラーメンと缶チューハイにチェックを入れて店主に手渡した。
その時、私の隣に一人の女性が腰を下ろした。ちらりと目線を向けた。
女性は、私の視線に気づくと、少し微笑んだ。
「おまたせ。またせちゃったかしら? 顕一学舎の李蘭鬼よ。よろしくね、統括室長さん」
この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。
当作品は、初めての執筆作品となります。
当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。
ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。
これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。
ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。




