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博多錯綜 一

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



 五木補佐に先導され、私達は早川家の母屋の玄関へ向かった。

 屋敷の玄関前には、二人の男女が我々を出迎えた。おそらく早川家の人間だろう。


「お待ちしておりました。私、当主無岸の長男の早川無海と申します。こちらは妻の実花です。遠路はるばるご足労頂きありがとうございます。無岸がお待ちです。こちらへどうぞ」


 当主の長男を名乗る男性の案内で、私達は屋内へ入った。

 案内を引き継いだ五木は、すぐさま警護の指揮に戻っていった。

 無海に連れ立って廊下を進む。ある部屋の前で立ち止まると、彼は部屋に声を掛けた。


「父さん、統括鬼霊対策室の栄神静夜統括室長殿がお越しになりましたよ。開けますね」

「ああ……お通ししてくれ」


 中からの返事を確認してから、彼は戸を引いた。

 部屋っは一般的な居間で、床の間には骨董品が並べられている。

 中央の卓には、和室用のハイチェアに腰を預けている男性がいた。


「栄神殿、直接出迎えできぬことご容赦ください。早川家当主、無岸でございます」

「栄神静夜です。本日はお忙しいところ、お時間をご用意いただきありがとうございます」


 私は、部屋に入ると、敬礼し謝意を示した。


「いえ、謝意を示すべきは我々でございます。大社の宇野大納言浄階から伺っておりますが、木花咲耶姫命様自ら、太宰府天満宮の結界の状況を直接ご確認いただけると聞きました。栄神の御神力に心からの感謝を。どうぞお掛けください」


 無岸にすすめられ、私と功徳室長はハイチェアに腰を下ろした。

 燐と霞は、私の後ろに並んで立っている。

 先ほど出迎えてくれた女性が、お茶とお茶菓子を用意してくれる。


「早速なのですが、太宰府天満宮の羅刹の結界について聞かせてください。宇野浄階から最低限のことは聞いてはいますが、詳しくは、実際に管理をしている早川家と久井家から聞くように言われています。現在どういった管理方法をとっているのですか?」


 私の質問に、無岸は頷くと現在の結界の管理方法を説明してくれた。

 結界には、計六本の柱が太宰府天満宮を囲うように設置されている。


 結界の維持には、小室、早川、久井の各氏家から二名、「守柱司」と「権守柱司」が選出される。

 選ばれた者が、それぞれが一つの柱を守護する。

 それぞれの柱には、各々により術式を施され、地中深くに埋められているとのこだった。


 氏家内で役目を交代する場合、対象の柱を地中から取り出し、再度術式を施し埋め直す。

 それを秘祭として取り仕切り、結界の全体管理を行なっているのが、結界師の一族である久井家らしい。


 今回襲撃にあった小室家は、当主の正道とその父である道元が守護を担っていた。

 だが、高齢である道元の年齢の問題もあり、近々正道の長男である道永に引き継ぐ予定だったそうだ。


「守護を担っていた者が交代する前に逝去した場合、柱の術式はどうなりますか?」


 もし死んでしまった直後に、術式が解除されるというのであれば、確実に結界は弱まっているだろう。

 私の言葉に、無岸は頷いて答える。


「すぐに柱の術式が消失することはありません。ですが、霊相の供給源がなくなり、確実に日に日に弱まってまいります。効果を維持できるのは約二週間といったところでしょうか。ですので、いち早く結界の補強と、新たな守護を担う氏家を選出する必要があります。選出に関しては、現在久井家と大社が協議を行なっております」


 その後、早川家での守柱司の交代の判断基準や、交代時の祭事について聞いていった。

 大体は理解できた。目下まずはやはり結界の状況確認が最優先に考えるべきだろう。


 新たな氏家の選出は、大社にまかせておけばいい。

 後で久井家とも会食を予定しているし、その時に進捗を聞いてみてもいいだろう。


「柱を掘り出して、術式を施して再度柱を埋め直すのってすぐにできるものなんですか?」

「いえ、地方自治体の土木局への許可申請や、祭事の準備、術式の施工、工機の手配など色々手間が掛かります。最低でも一週間は必要だと思います」


 ──うわぁ、リアルにかなりの大作業になるんやな。


「わかりました。貴重な情報をご提供頂きありがとうございます。私からは以上です。功徳室長はなにかありますか?」


 私の言葉に、功徳室長は髭を撫でながら、とんでもない事を口にした。



「無岸殿、気を悪くせんでほしいのじゃが、久井家は心から信用していいのかのぉ? 今回の小室家の襲撃。三氏家の中に、顕一学舎との内通者がいなければ、どうにも説明がつかんのでな」




この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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