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結界師 四

※この物語はフィクションです。実在の人物や団体、寺社仏閣などとは関係ありません。

もし、面白いと感じて頂ければ、ページ下部にある《投票!!》のクリックへのご協力お願いいたします。



「統括室長、確認とは?」


 鬼霊技術研究所の所長である柊栞が、私の問いに反応した。


「天網は結界で覆われた範囲内の、鬼の探索も可能なのでしょうか? 実は──」


 会議に参加している皆に、小室家の襲撃時から鬼が減少している点。

 そして、減少するのみで、大鬼の数に変化が見られないことを伝える。

 私の言葉の意図を理解した皆が、栞の言葉を待った。


 私の質問に、栞と妹の花絵が、顔を寄せてなにやら話し合っている。

 顔を話した栞が、カメラへ視線を戻し、私の質問に回答する。


「統括室長。とても良い目の付けどころだと思います。結論から申し上げますと、結界の仕様によるとしか申し上げることができません。単純な防御障壁結界などであれば、探索に支障はないと思います。ですが、逆に鬼を閉じ込めるといった用途で、結界内からの力に作用するような結界術式に対しては、探索ができなくなる可能性はあると思います。お恥ずかしい話ですが、まだ天網の探索も完全ではありません。検証不足ですね」


 栞は、なんとも言えないような複雑な表情でそう答えた。研究者としては歯痒い思いなのだろう。

 だが、やっぱり可能性はあるのか、まぁそれでないと説明がつかへんからな。

 とりあえず、こっちのルートで一度調べてみてもいいかもしれない。結界のプロも同伴する訳やしな。


「わかりました、ありがとうございます。では、もう一点確認させてください。先日、人の霊相から位置を判別することができましたよね? 人の霊相と鬼の霊相をどのように区別して探索しているのですか?」


 その質問に、栞はすぐに答えた。


「それに関しては、簡単な事です。人間と鬼は、明らかに霊相のパターンが異なります。ラジオでいうと受信できる帯域が全く異なると考えるとわかりやすいと思います。天網を操作し探索する人によって、探索結果が変わってしまう原因がこれにあたります。人によって探索できる帯域やパターンに個人差が発生してしまうのです」


 なるほど、わかりやすい例えやな。周波数帯が違うことによって区別しているって感じなんやろうな。

 私は、消費する霊相も多いが、その分探索できる帯域の幅が広く、パターンも多く拾うことができるってことか。

 納得できる真っ当な回答だ。天網に関してはこれぐらいにしておこう。


「わかりました。栞所長、非常にわかりやすい説明で助かりました。じゃあ、次の話を──」


 私の言葉に、蓮葉がが進行を再開する。


「では、統括室長、明日からの太宰府遠征についての、概要説明をお願い致します」


 蓮葉の言葉に、私は頷いてカメラに向けて説明を始めた。


「今回の遠征は、大社の最高責任者である宇野大納言浄階からの指示であり、極秘機密を多数含んだ案件となるため、ここでご説明することは、あくまで概要までになります。先程も言いましたが、私に同行する者、そして功徳室長と巽補佐には、後ほど別途ブリーフィングを行います。ではまずは概要を──」


 皆に、今回の遠征の概要を説明する。

 今回、小室家が襲撃されたことによって、羅刹が封印されている祠の結界が、弱まっている可能性が高い。

 現在、結界師である久井家が主導して、結界の維持を続けているが、祠自体の詳細は確認できていない。


 その為、結界の現在の状況を確認するために、私自ら確認に出向くことになったこと。

 もし、結界に復旧作業が必要と判断した場合は、優秀な結界師が必要なこと。

 その為、白井家の次期当主と目されている、白井霞を補助の結界師として同行させることを皆に説明した。


 説明を終えて霞を見ると、またプレッシャーを感じ始めたのか、顔を青く染めて震えていた。

 まぁ、大きな初仕事にプレッシャーはつきものだろう。これもいい経験とあとで笑えるといいな。

 私の説明を聞いた睡蓮が口を開いた。


「静夜様、一つお聞かせください。結界の復旧が必要かどうかの判断を彼女に委ねるのでしょうか? 確かに白井家の次期当主と目されている、彼女の実力を疑うつもりはございません。ですが、あまりにも彼女はまだ若く、経験において不足を感じざるを得ません。静夜様はどのようにお考えなのでしょうか?」


 睡蓮の言葉に、霞がさらに震え始める。まぁ睡蓮のいうことも、ご尤もやからしゃーないな。

 実際の判断は、咲耶がするやろうから、霞は補助にするつもりだ。

 これは別に浄階から口止めされている訳じゃないから、説明してもいいだろう。


「申し訳ありません。言葉不足でしたね。結界の復旧の判断は、霞さんではなく咲耶が行う手筈になっています。実際に復旧するにあたっては、霞さんに補助として協力してもらうつもりです。睡蓮、これで回答になりますか?」


 私の言葉に、睡蓮は若干驚いた表情で頭を下げた。


「はい、もちろんでございます。栄神の御神力に感謝いたします」

「霞さんもそこまで気張る必要はありませんよ。肩の力を抜いてください」


 震える霞に声をかけると、半泣きの霞が直接私のほうを向いてぎごちなく笑った。

 その後、改めて顕一学舎、その中でも西ノ六言を優先的に調査するよう皆に告げて、今回の会議は終了した。


 だが、その後の私の同行者と功徳室長、巽補佐との大宰府遠征のブリーフィングで、私が明かした羅刹が封印された祠の場所や、封印するまでの経緯、咲耶の正体を知り、彼女は泡を吹いて気絶することになった。




この度は、当作品をお読み頂きありがとうございます。花月夜と申します。

当作品は、初めての執筆作品となります。

当方執筆に関して、完全な素人な為、至らない点が数多くあると思います。

ですが、書き始めたからには、皆様に読んでよかったと思って頂けるような作品にして行きたいです。

これからも、随時更新して参りますので応援いただけると幸いです。

ありがとうございました。今後とも応援よろしくお願い致します。


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