魔魚と魔兎を伴って陣地を開拓?
「ようしこれでいい」
「ありがとうございますご旦那様~♡」
魔魚がノリノリでお礼。
いつのまにやら魔魚の呼び方が旦那様に代わっているが、まあいいだろう。
魔魚的には卵にぶっかけ=SEXみたいなもんで、すっかり俺と結ばれた気でいるんである。
喜んでくれて俺も嬉しい。
若返った体では出さなきゃ夢精まちがいなしってところだったからな。
ついでだ。
魔魚のお礼の理由だが、ぶっかけの済んだ卵のあるイケスに防御障壁を張ったのである。
付与魔法だ。
レベルが3になってこんなことも出来るようになった。
水なら何でもとはいかないが、俺の出した精液の余りになら魔法を付与できたんである。
どんどん水魔法がエロ方面に派生していく。
「旦那様何か~?」
「うんにゃ。何でもない」
とりあえず卵の安全は確保。
稚魚がかえるまで森側に陣地を作ろうと思う。
5m置きに水たまりを作っていく。
レベルも上がり射程は伸びている、もっと遠くまで飛ばせそうだが、あえて。
このくらいの感覚にため池を作っておけば、すぐに水路が作れるからだ。
地面の下の水分を操作し地盤を崩したら、一気に水路の出来上がりである。
そうなんだけど。
いきなり上流から水路をつなげるのはマズい。
でっかいお魚が水路を通って襲ってきては本末転倒。
雨で川の水量が増えたら氾濫しかねない。
今のところ土を崩すことはできても埋めたてが出来ない。それじゃ土魔法だしな。
俺に使えるのは水魔法ONLY。現状は水たまりを作れるが埋め立ては不可。
なので、
×:水路
〇:水たまり(ため池)を点々
にしたわけなんである。
今のところはあくまで水路作りの準備。
まずは計画。
下見である。
ばしゃん!
魔魚が転移しながら進む。
川
川
川 〇 ↑ 進行方向
〇
滝 〇
〇
川 〇 水たまり
川 〇
川 陣地〇〇〇
川
川
上流へ。
滝を超えると森ばかりだった景色が変わった。
魔兎に話は聞いていたが実際、目にすると驚くばかりの絶景である。
「なるほど。これが果樹園か?」
野生なんだけど色とりどりの果実が生えている。
山
川
川 果樹園 原っぱ
川 〇
〇
滝 〇
〇
川 〇 森
川 〇
川 陣地〇〇〇
川
川
山
下界?
こんな地形だ。
滝周辺が盆地になっている。
陣地のあたりは山の中腹。
下界まではかなりありそうだ。
魔兎に森周辺の状況を尋ねる。
「基本、魔物がいっぱいですね。人間の姿はみたことがないです。ご主人様がはじめて?」
なるほど。
人間が訪れる地形ではないんだろう。
水場もあり、食料も豊富だ。
原っぱの方には岩塩もあるとか。自給自足できる資源も豊富。
至れり尽くせりだな。
思うに神様の方で、この世界の植生が豊富に揃った土地に転移させてくれたんじゃないだろうか?
またしてもの、ありがとうございます神様、である。
照れてるのか声は聞こえないが……そのうちまた遊びに来るだろう。
それまで俺も自力で頑張らないとな。
神様にたよってばかりではいけない。
魔魚と魔兎に今後の開拓計画について話す。
山
川→→→水路→→→畑→→→
川 ↓
盆地 川 果樹園 原っぱ ↓
川 〇 ↓
〇 水路
滝 〇 ↓
〇 ↓
森 川 〇 森 ↓ 森
川 〇 ↓
川 陣地〇〇〇 ↓
川 イケス ↓
川 ↓
川 ↓
川←←←水路←←←←←←←
山
下界
陣地のイケスを中心にグルっと水路で囲む。
原っぱには野菜が群生しているが、整地して畑としたい。
となれば水路は必要だ。
保留にしていた計画を実行したいが、今、水路を作っては下流にある陣地が水没する。
いったん戻って陣地の下流側から森を通る水路を用意していくべきだろう。
ゆくゆくは川の反対側へ領地を広げたいが、とりあえず当面はここまで。
安全確保と生活向上の両取りである。
「素晴らしいです、旦那様」
「ご主人様さすがです」
二人に褒められてうれしい。
二人といっても魚と兎の魔物なんだがもはや人間と変わらん。
空のバケツに果物を詰め込んできた道を戻る。
バケツは魔物撃退用である。
いざとなったらスピードに優れた魔兎がバケツを抱えて走る。中から魔魚が射撃という算段だったのだが……使わずに済んだようだ。
道なりに魔魚が転移できるよう水たまりを作っていく。
当初の計画より水路が外側になるので、間隔を広げる。
今の魔魚なら5mと言わずもっと長距離も飛べるからな。
しかし魔魚の魔力がどんどん上がっていくのがわかる。何故?
答えは陣地のイケスに戻って分かった。
卵がもうかえっている。
結構な数だ。
早くね?
「「「「父上、母上。なんなりとお申し付けください」」」」
お、おうって感じである。
魔魚に比べたら稚魚だが、普通にしゃべっている。
魔魚がさっそく命令。
「あなたたちは下流に下り偵察するのです。いずれ旦那様が征服する下界の様子を余さず」
「おいおいwwww」
怖いことを言う魔魚だった。
忘れてたがこいつはヤンデレなのだ。
愛されて悪い気はしないが、加減というものをしらない。
でもまあ。こいつはこういうキャラなのだ。
俺がブレーキ役になればいいだろう。
「おおむね賛成だが、もう少し力を蓄えてからだ。今のお前らはまだまだ魔力も弱いからな」
せめて攻撃魔法、転移魔法は習得して欲しい。
それと全員とは言わないが、治癒魔法。
偵察にいくにしても全員、無事に帰還してもらわないと。
神様の予言通リに全員オスだったがオスだから死んでいいというものでもない。
もっともメスなら可愛くて旅になど出させられなかったろうが、俺は俺でけっこうドライみたいだった。
「お優しい旦那様に感謝するのですよ」
「「「「ハッ!」」」」
規律正しすぎる。
まるで軍隊だwwww
お昼を食べた後は、この子らを連れて水路作りというのがいいだろう。
俺、魔魚、魔兎が取れたての果実で昼食をとる中、息子たちは狩りの特訓である。
もう攻撃魔法のウォーターカッターは使えるらしい。
バシュ!
近場の生物たちが続々と獲物になっていく。
大物の魚も。
滝から降りたと思ったら、いきなり一糸乱れぬ軍隊の攻撃、魔物たちになすすべはなかった。
う~む。
魔法が使えるのもあるが、それ以上にこの連携、それを実現する知性がシャレにならん。
俺はとんでもない厄災をこの世界にもたらしてしまったのかも。
ま。
神様公認なんでいいんですけどwwww
「ううむ。ウラヤマシイデス」
魔兎が嫉妬交じりだ。
まあ。
子供(ある意味俺との間の)を持った魔魚と比べたら、思うところもあるのかもしれない。
つーか兎だけどな、おまえ。
普通に人語を喋っているので忘れそうになってしまうわ。
魔魚がとんでもないことを言い出した。
「ふむ。旦那様のお情けが欲しければ、働くことですね」
「わかりました奥様!」
魔兎もやる気まんまんである。
というか魔魚は嫉妬心とかないんだろうか。
普通にハーレムを否定していない。
いや。それもハーレムの正妻として得難い資質なのだが、それが発揮されるのは二人が進化し、人間女性の姿に至った時である。
卵へのぶっかけは朝立ち処理のついでだったからいいが、さすがに兎に獣姦はね~わ~、と俺は苦笑いである。
そんな俺の気も知らずノリノリの魔兎が午後の仕事にやる気満々だったが。
まあアレだ。頑張ってくださいwwww
それと……
『水魔法レベル4!』
息子たち(?)という眷属が増え、俺のレベルがまた上がったようだ。
進化は順調。
こりゃスローライフとは言えないかも。まるで最初からクライマックスなのだった。