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第24話

部員達はハードワークが当たり前となった練習と、拓郎のマッサージで行われる筋肉の超回復により身体能力とバスケの技術が大幅に向上していった。

さらに誰も気付いていないが、拓郎の手から出る精霊力は彼女達の身体の細胞を活性化させていたのだ。

部員も優奈も毎日体調が悪い日が無いし、充実した毎日を送っている。

ストレスを感じることはあっても放課後の練習で全て解消してしまう。

ストレスが無ければ大概の事はうまくいくものだ。


優奈は運動が苦手だったこともあり、まったく身体を鍛えることなどしてこなかったが、ここのところ頑張っている。

拓郎の役に立ちたい、マッサージを受けたいという気持ちがモチベーションを上げており挫けないようだ。

いまでは身体を動かす事が楽しくて仕方が無い。夜は適度な疲れでぐっすり眠れるし、朝もすっきりと起きられる。

生活にメリハリが出来て、今まで運動してこなかったことを悔やむほどだ。

さらに身体の細胞が活性化してきて、見事なまでに髪が艶々だし、肌も若返ってピカピカになってきた。

おかげで3~4歳は若く見えるし、女性ホルモンの増加により女性らしい体つきで、スタイルも見違えるように良くなり、おしゃれにも気を使っているから校内でも優奈の評判はうなぎのぼりだ。

だがそれは優奈に限ったことではなく、多少の差はあるが部員全員に言える事だった。

もともと偏差値が高く都内でも有数の進学校である松涛学園の生徒は理知的な顔をしているものが多く、特にスポーツをしている生徒は引き締まった体と整った顔立ちをしている生徒が多かった。

特に里奈、詩織、裕子は見る見るうちに学園でも有数の美少女になっていた。

もちろん奈々美たち4人も美少女だが、もともと美少女だった里奈は内面から輝くような近寄りがたい美少女になっていた。

写真部の売り上げでは、里奈は拓郎に次いでナンバー2の座を得ていた。

ちなみに3位は奈々美である。


松涛学園女子バスケ部は順調に勝ち進んで行った。

前半拮抗した展開であっても、後半になると圧倒的な運動量で大きく突き放してしまう。

まるで後半からエンジンが掛かってきたかのようだ。

拓郎は15人のベンチ入りメンバー全員を起用する方針のため、控えのメンバーも試合開始からずっとアップをして身体を温めている。いつ「行け」と言われるかわからないからだ。

それでコートに出たらエンジン全開である。


11月中旬、4回戦も圧勝し、いよいよ準々決勝と言う時になると松涛学園女子バスケ部はダークホースと評判になってきた。

對馬拓郎と言う名前を覚えていた者も多く、それも評判を生んだが、一番の原因は美女アシスタントコーチと言われる優奈や美少女揃いと評判の部員達の存在であった。

松涛学園女子バスケ部の試合はビデオに撮られYouT○beなどの動画投稿サイトに投稿され、それが大評判になっていた。

松涛学園と大きく書かれたジャージや試合用のユニフォームを着ている拓郎や選手達は、だんだん有名になってきた。


「いやあ、まいったね、妖精軍団だって」


「ねっ、コートの妖精だって。照れるなあ」


と今日も教室でスマホで動画を見ながら談笑する部員達を男子生徒達は眩しそうに見ている。

特に里奈と奈々美は相当数の動画に登場していて、中には特集なんかもあった。


「肖像権がどうのこうの言うつもりは無いけど、ちょっとアップで撮りすぎじゃない」


「なんかえっちなアングルで撮られたのもあるし。胸とかお尻とか」


部員達は口を尖らせて文句を言っているが、心の中では嬉しさが勝っている。

職員室では優奈は男性職員に囲まれていた。


「中沢先生、YouT○beの動画見ましたよ。美女アシスタントコーチと評判ですね。アクセス数もすごかったですし」


「恥ずかしいです。アシスタントコーチなんていっても何も出来ず、ただ座っているだけですし」


「こうして実際に中沢先生を見ると動画で見るよりずっとお綺麗ですよ」


「そんな、やめてください。恥ずかしいです」


まんざらでもない様子だ。



拓郎は今までの試合のことを思い返していた。


―――うちの部員達は他校の選手とは動きが全然違う。

あんなに簡単にデフェンスを抜けるなんて思わなかった。

紀香や奈々美達の動きは相手は見えてないように思える。

ジャンプ力も女子としては高いと思う。あれでもう少し上背があればなあ。

ガードフォワードでもパワーフォワードとしても一流に慣れると思うんだがなあ。


だが、奈々美達は身長が伸びてきていた。

まだ17歳である。実際これから彼女達はどんどん身長が伸びていくことになる。

これも拓郎との交わりで身体が活性化しているせいで、急に身長が伸びることで起こる骨や関節への負担も無かったのである。


―――とにかく俺が見た限りでは今回の東東京の予選は問題なくクリアーできると思う。

ウィンターカップは東京体育館で行われるから、遠征と言うわけじゃないが費用は考えないとな。

費用か…中沢先生には世話になるなあ。今度飯でも奢ってやらなきゃな。


学園にもマスコミから取材依頼が来ていた。

決勝まで勝ち進んだら受けますと拓郎は回答した。


だが準々決勝では会場の松涛学園第2体育館は観客であふれていた。

松涛学園の生徒は遠慮してくださいと学園で放送するほどだった。

マスコミも大挙して押し寄せ普通の地区予選では考えられないことになっていた。

この試合はAチームが担当したが、マネージャーの席には奈々美が座っている。

この第2体育館ではいつも地区予選の準決勝、決勝が行われていた。

里奈たちバスケ部はいつも2回戦で敗退していたため悔しい思いで試合を見ていた経験がある。

だがこんなにもマスコミが集まったのを見たのは初めてだった。

観客についてはこの間の拓郎対男子バスケ部の試合も同じくらい観客がいた。


「すごいね。こんなに大勢のマスコミの前で試合するのは初めてだよ」


と、いうかマスコミの前で試合などしたことは無かった。

一年生部員達に限らず部員全員が緊張していた。

だが相手チームの選手達はマスコミだけではなく観客の多さにも緊張していたようだ。

いきなりジャンプボールでジャンパーバイオレーションを犯してしまう。


試合は最初から圧倒的にAチームがリードしていた。

里奈がシュートを決めるたびに大きな歓声が沸いている。

それだけじゃなく多くのカメラのフラッシュがマスコミ席からたかれる。

里奈だけじゃなく純や紀香、さらにマネージャー席の奈々美にもフラッシュがたかれていた

拓郎の方針は全員参加が基本である。

一年生部員も試合に出て経験を積んでいく。

その中で進藤結衣は格段の進歩を遂げていた。

身長も165cmを超える長身だか瞬発力が他の部員より格段に優れていた。

里奈と同じポジションでセンターを担当しているが、リバウンドを取った数は里奈より多かった。

向上心に溢れ、誰より熱心に練習する結衣に拓郎も熱心に指導していた。

結衣は心から尊敬する拓郎の教えを実直に反復練習していたが、それが早くも実になってきたのだ。

容姿にも優れ、実力も高い結衣は一年生にも関わらずチームの中心選手になってきている。


試合は松涛学園女子バスケ部の圧勝で終わった。

拓郎は勝った事より、部員達が試合毎にバスケの技術が向上していることを喜んでいた。

初戦を戦った頃より格段に強くなったし、最後まで全力を尽くす彼女達を誇らしく思っていた。


「お前達は本当に強くなった。俺はお前達を誇りに思う」


自分達には雲の上の人と思っている拓郎から試合後に言われた言葉は部員達を感激させていた。

奈々美や紀香達は思っていた。


―――先生は本当に偶にだけど泣かせること言ってくれるんだよね


「おそらく、俺が思うに東東京の予選は問題なくクリアーできると思う。自信を持って良いぞ。

だが全国には想像もつかない程の実力を持つ高校もあるはずだ。

各自、自信は持って良いが慢心だけはするな、これからも研鑽を怠ることなく練習に励むようにな。

だが今日は各自ゆっくりと身体を休めるように。みんな良く頑張った、では解散」


拓郎がこんなことを言ったのは、試合後の無意味なマッサージをここで止めたかったのだ。


「先生、精神論はいいからさ、マッサージはどうなったの。ねー。ねー、約束のマッサージは」


あいかわらず和葉がマッサージを要求してくる。

この高橋和葉は目上の者に対する礼儀がなっていない。

これは直させなければならないなと拓郎は思った。


「そうだよ、先生、マッサージッ」


マッサージッ、マッサージッ、とDVD!!  DVD!!  みたいに騒ぎだした部員達に拓郎は呆れる。


「静かにしろっ、大体お前達はなんで筋肉痛にもならないのにマッサージを受けたいんだ。

ただ撫でるだけなんて何の意味も無いだろ。お前達は頭を撫でられて嬉しがる保育園児か」


確かに1試合しただけでは部員達が筋肉痛になるはずも無い。

だが、この撫でるだけのマッサージは彼女達のモチベーションを保持するための重要なファクターだった。

拓郎はそれに気付かなかったし、それによって彼女達の身体能力が上がっていくことも知らなかった。


「えっ、いや、保育園児じゃないけど……」


「だったらいいだろう。お前達だって2時間近く早く帰れるんだ」


「……じゃあ、私は筋肉痛になるまでこれから練習します。いくら遅くなってもいいです。マッサージをお願いします」


私も、私もと次々と立ち上がる部員達を見て拓郎も里奈も呆然としてしまう。

だが優奈は部員達の気持ちが痛いほど分かっていた。

試合の無い日は毎日のように拓郎のマッサージを受けている優奈は、トレーニングに慣れてきて筋肉疲労を起こしていない時にもマッサージを受けていた。そのときは天にも昇る気持ち良さだった。

もう拓郎のマッサージの中毒患者と言っていいほど依存している。


―――ここは部員達の信頼を確保するチャンスだわ。


「對馬先生、子供じゃなくても誰でも頑張った時には褒められたいものです。

先生の負荷があまりに大きいのでしたら無理にとは言えませんが、いつも先生は特に負担に感じられて無い様に思います。

それに先生はみんなと約束してらっしゃったじゃないですか。

私からもお願いします。部員達にマッサージを施してあげてください」


拓郎は部員たちが引かないことに困り果てていたが、優奈の言葉で助けられた。

確かに撫でるだけでは負担になるはずもないし、こんなことで部員達とギクシャクしたくは無い。


「そうですね……約束したことは確かですし、負担と言うほどの事でもないのですが…中沢先生が言われる事ももっともです。

分かりました。じゃあ、みんな順番にな」


「やったぁ、じゃあ、これからも試合に勝ったらマッサージしてね。先生」


「約束だよ、先生。じゃあ、みんないくよ、せーの、バンザ~イ! バンザ~イ…」


「いや…ちょっと待て……」


「「「「バンザ~イ! バンザ~イ! バンザ~イ! バンザ~イ」」」」


だがその拓郎の言葉は部員全員の万歳三唱の繰り返しによってかき消された。

傍から見れば試合に勝って喜んでいるように見えるだろうが、そうではない。

どれだけ嬉しいのか、もう止まらないとばかりに部員達のテンションはどんどん上がっていく。

こうして今後ずっと拓郎のマッサージは続けられることになった。

優奈は大喜びする部員達に囲まれ感謝されていた。

またしても優奈は拓郎と部員達の信頼を得ることに成功したのである。

一部の部員を除いてだが。


だが良く考えてみよう。

複数の下着姿のアスリート系美少女JK達の身体を撫で回し感じさせ悶えさせて何が不満なのだろうか。

謎である。


試合があった夜の拓郎のマンションでのことである。


「せんせいっ、もういい加減にしてください。あんなことは止めるべきですと言ったじゃないですか」


「そうですっ、15・6歳の女の子の身体を撫で回すなんて。そりゃ、先生は嬉しいでしょうけど」


「先生へのご褒美は、こうやっていつも私達がしてあげてるじゃないですか」


と、ハーレムメンバーから責め立てられる拓郎の姿があった。




次の日のスポーツ新聞には、写真と記事が載っていた。

見出しには美少女という言葉が多く書かれていた。

『松涛学園女子バスケット部、大会の優勝候補トップに躍り出る』

『妖精軍団 圧勝で準決勝へ』

さらに動画投稿サイトでも多くの動画が投稿されヒートアップしていった。


そして放課後、学園の周辺に他校の男子高校生や大学生が多く集まるようになってきた。

女子バスケ部員達が目当てなのは明白だが、一般の生徒達も少なくない影響を受けているようだ。

男性体育教師や職員が生徒達の下校を邪魔しないように注意しているが、学園としてはそれでも安心できないため警察のパトカーに学園の周辺を巡回してもらえるように依頼した。

特に女子バスケ部員は集団で下校することとし、里奈と奈々美は家も近いので拓郎が送ることになった。


松涛学園は私立であり、今回の女子バスケ部の活躍は喜ばしいことであった。

ここまで世間の注目を集めるとは学園も予想だにしていなかった。

準決勝も快勝し、マスコミの取材を受けることになり、学園としては優奈を窓口として担当させた。

もちろん監督の拓郎も、キャプテンの里奈と奈々美も同席する。


『松涛学園女子バスケット部はかつては名門と言われていましたが、ここ数年は二回戦で敗退していました。

それで今回の躍進の原因はどこにあるとお考えですか』


「はい、やはり監督が對馬先生に替わったことにより指導方法が大きく変わったので、部員達の意識も変わったことが要因だと思われます」


『具体的にはどう変わったのでしょうか』


「はい、まず部員達のやる気を……」


『松涛学園は2チームに分かれて予選を勝ち抜いてきました。なぜ2チームに分けたのでしょうか』


「はい、對馬先生は部活も教育の一環だと言うのが基本方針です。勝つことだけではなく力を尽くしてやり遂げると言う精神を育てる事を目的としています。ですから部員全員の参加が基本方針なんです」


『ベストメンバーで試合に挑むのが普通ではないですか』


「ですから部活も教育の一環である以上、勝つ事だけ考えて本来の目的を忘れることは出来ません。

全員が同じように頑張っている以上、試合に出さないということはありません。全員参加が基本なのです」


『なるほど分かりました。ではキャプテンの佐々木選手にお聞きします。

佐々木さん達選手の方は對馬先生の方針について、どうお考えですか』


「はい、私達はあくまで学生です。普通の高校生でありプロではありません。對馬先生の方針には全員が賛同しています」


『なるほど、では選手の皆さんも勝つことが全てとは考えていないのですね』


「はい、もちろん勝つことも大事ですし、負けたくはありませんが、それだけじゃないと思います」


『では次の質問ですが、對馬先生は高校時代、何度もMVPを……』


質問は拓郎の過去の話にまで及んだ。

拓郎は目を悪くして現役を引退したこと、これからは生徒の育成に力を入れていくと話した。

雑誌社の記者は部員全員の写真を取ったり、部員にバスケには関係ない質問をしていたりするが部員達は嬉しそうに答えていた。


新聞やテレビのニュースにもなったことで松涛学園の名は全国でも有名になってきた。

特に里奈や奈々美には芸能事務所から問い合わせがあったほどだった。

雑誌でもまるでアイドルのように写真や記事が書かれている。

だが当の本人達はまるで気にしていない。


「こんなの一時的なものだよ。ちょっとしたブームみたいな、そう一発芸の芸人みたいなものだよ」


と言っていたのだが決勝戦ではとんでもないことになっていた。

思ったよりも高校生や大学生のあいだでは評判になっていて、ネットでは松涛学園と検索するとびっくりするほどの検索数だ。

拓郎や部員たちが思っていたよりはるかに世間は彼女達に注目していたのだ。

それになんとこの試合はテレビ中継されることになったのだ。

観客も溢れかえるほどで、マスコミの数も多い。

相手校の選手は気の毒なほど緊張していたし、流石に部員達も緊張していた。

こんな経験は両校の選手とも初めてだ。


「先生、先生もインターハイの決勝ではこんな感じだったの」


「いや、ここまでマスコミの数は多くなかったとおもう」


「ただの地区予選の決勝なのに、どうしたらいいの」


「いつもどおりやればいいのさ、気負うこともないし気取らなくていい。

かっこ悪くても何も問題ないだろ」


だが松涛学園の部員達がコートに登場した途端、大歓声が起こった。


「「「「里奈ちゃーん」」」」


「「「奈々美ちゃーん」」」


それ以外にも多くの部員の名前が呼ばれていた。



ブックマーク100件超え、有難う御座います。

しばらくの間、頑張って更新したいと思います。

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