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メイドだって戦闘職です  作者: カエデ
二章
73/111

男の友情とは一体

(ラムネ視点)


 うーわ、どいつもこいつもめっちゃピリピリしてんなぁ……。

 確かに募集した時に個人参加でのバトルロワイヤルとは言ったがな、どうしてこんなにも協調性の欠けらも無い様な連中が集まったんだか……。


「へ!俺が全員ぶっ潰す!そして俺がこのギルドで暴れてやる」


 確かにバトルロワイヤルのルールはそれでいいが、それをしてもお前以外からも何人か採用するから、やるだけ無駄なんだかな。


「うるさいですよ脳筋、今回は午前午後の2回行われる予定の様ですし、仮にそれを両方でやったところで2人しか受からないなんて、そんな馬鹿な話あるわけないでしょう」

「ああん?んだとゴラァ!?」

「時間の無駄なんですよ」


 なんだこの漫画やアニメのテンプレをそのまま持ってきたようなプレイヤー共は、片方リーゼントに金属バット、あとボンタンだっけか?確かそんな名前のズボン着てるし。もう片っぽはまぁ、眼鏡のないカイザーみたいな奴だな。


 プレイヤー一人一人のやり方に対して一々口を出す気はないからほっときたいんだが、そろそろ始めないと行けないしな、2人には一旦静かにしててもらおう。


「悪いが静かにしてくれないか?そろそろ始めたいんで」

「はあ?誰だテメェ、誰に物言ッ…!?」


 流石にこれ以上このままな状態だと、進行にも問題が出そうだしな。ここに来ている腕自慢共を少し黙らせるために、俺は不良の首に刀の刃を当てる。


「誰にか……今に限ってはお前ら2人だが、場合によっては周りの奴らも同じだ」


 そう言って押し当てていた刀をゆっくりと離す。


「はぁッ……」


 息を吐いて膝を付く不良は気にせずに、そのまま説明を始める。


「今回は募集で言ったように、個人参加でのバトルロワイヤルだ。レベルや職業、スキルなんかに制限を設けるつもりは無い、今現状の全力を持って戦え、ただそれだけがこの戦いのルールだ」


 ルールなんてないが、そもそも俺達が見たいものは個々の個性と協調性だ、必要はないだろ。氷菓が結界を発動した所で早速始めようか。


「それじゃあ、始めてもらおうか」


「ヘッ、先ずはテメェからやってやるよ!」

「全く暑苦しいですよ」


 始まる前から睨み合ってたあいつらは予想通り、他もいい具合に別れたな。


「上手く徒党を組んでるようで良かったな」

「だな、まぁ暫くしてら犬でも放すか」


 しばらく見てれば、それぞれが現状を乗り切るために数人で固まり協力する姿勢をとっている者も多いな。

 そうしてのんびりと戦闘を見ていたんだがな、まぁ馬鹿な奴は何処にでも居るもんだな。


「おい、こんな奴らじゃつまんねぇぞ?なあおめぇ!降りてきて俺と戦おうぜ!」


 はぁ、こういう奴も居るからな、考えておいて良かったよ。


「なんだ?ビビってんのか?ああそぉか、イベントじゃチート使ってたんだから、本当ならまともに戦えるわけねぇか!ははははっ!!」


「チート?」

「どういう事だ?」


 ただの挑、どう言うつもりじゃ無さそうだが、それでも訂正はしておかないと後が面倒になるだろうしな。


「チートなんて使った覚えはないぞ。それとそう焦るなよ、そんな事言われなくても一人乱入させてやるよ」


 俺が直接殺りに行けないのは少し、いや結構残念な事だが、まぁ俺よかある意味酷いからいいか。


「さあ!出番だぞ!」


 そう俺が言うと、地下闘技場の北側の扉が開き、そこから飛び出して来る黒い人影。


「はっはっはっ!呼ばれて参上ビルド様だ!世界に蔓延る悪意どもに!この鋼の拳で鉄拳制裁だ!」


 なぁビルド、お前の鋼の拳はマジでシャレにならんから、比喩的な意味じゃなくマジでやばいからな。


「………」

「………」


 なかなかに滑っているんだかどうするんだ?それはそうと、あの装備本当に着てきたんだな。


 今のビルドの格好は、ざっくり言ってしまえば日曜特撮の仮面ヒーローみたいな格好だな。

 世代的にあれは、確か平成最初の作品のやっだったか?本格的に似せにいってる訳じゃないがあれって著作権大丈夫だろうか。

 まぁコートっぽくした装備で、カラーと後はそれっぽく仕上げただけでデザイン自体はもはやオリジナルだから問題は無いことを祈ってるが、それでも世代が分かるのはかなり工夫したんだろうな。

 主にミューがだろうがな。


「ふざけやがって、まぁいい。コイツをぶっ殺して次はテメェに出てもらうぜ」


「ああ、いいぜ?倒せればな」


 倒せればいいさ、倒せれば。普段は制限を付けてはいるが、それでも本来の攻撃能力が失われた訳じゃないからな。

 油断したり、舐めたりしてかかれば即効であの世行きだ。

 それでもいいんだが、それじゃあ面白みに欠けるからな、俺なりにビルドに少し攻撃の仕方を指示してみた。


「ふっふっふ、この私を倒すか、出来るものならやってみるんだな!」

「言われなくてもやってやらぁ!おーらッ!?」

「ふっふっふ」


 今回俺がビルドに指示した事、それは……。


「はっはっは!正義の拳に砕けぬ物なし!貴様のその奢った心ごと粉砕してくれるわ!」

「チッ!舐めるなよヒーロー気取りが!」


 あいつは健闘した。ただそれでもビルドに比べれば圧倒的に劣っている。

 結果だけを言えば悲惨の一言だったな。取り出した予備の武器も即効で壊されて、残る装備品もすぐに消えて、最後に突撃していくがそれも悲しくも無意味に終わった。


「逆に可哀想になって来るな」

「まぁ、仕方ないな。それよりも他のやつも見とかないとな」


 戦闘が始まってから暫くするが、氷菓の方の結界も大丈夫そうだな。

 今回のこの闘技場の結界は氷菓が設計して動かしてる。原理はオリジナルの魔法陣を使って、氷菓とフィロを魔術的な回路で繋いで、フィロが物理面、氷菓が魔法面の結界と、その他にも今言った回路の維持と発動している結界の座標の指定、その他にも幾つかやってるらしいけど、これ以上は特に聞かなくても問題はないだろうし、要は面倒そうな話ってことだ。


「ビルドー!自分から戦うのは禁止だからなー」

「おー!」


 さっきの戦闘を見ていた奴らは明らかに胸を撫で下ろしてるが、一撃一撃が即死の相手なんて確かに戦いたくはないな。


 それから案の定ビルドに仕掛けに行く奴なんていないわけで、初めのやつ以外でこれといって協調性皆無の奴はいなかったし、午後も問題なく終わった。

 そう言えばヤンキーとクールぶってた奴ら、あいつら途中からお互いの事認め合って二人で一緒に戦ってたな。

 前衛と後衛でバランスはいいだろうし、結局最後まで残ってたしな。

 午後も特に問題もなかったし、今回のイベントは多分殆どのやつが採用決定だろうな。

 部屋もある程度埋まって来て、今回で暫くは様子見だな。

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