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第0巻・第1話「東蘆(とうろ)戦争の火蓋」

初めて小説投稿ですので誤字脱字またストーリーについての疑問点など教えてくれると幸いです。

仕事の合間に投稿するので不定期ですがどうぞお付き合い頂いくれると嬉しいです。

ネオンの毒々しい光が、降り始めた冷たい雨に滲んでいた。

 新宿・歌舞伎町。欲望と血の臭いが染みついたこの街の、とある雑居ビルの3階に、広域暴力団『東義会(とうぎかい)』の直系事務所はある。

 煙草の煙が立ち込める薄暗い室内で、幹部たちが青筋を立てて怒号をあげていた。

「蘆名組(あしなぐみ)のクソどもが手打ちを反故にしやがった! ウチのシマの闇カジノにイチャモンつけて、若い衆を拉致りやがったんだ!」

「東北の武闘派気取りが、関東をナメてんのかコラ! おい、ケジメつけに行くぞ! チャカとドスを用意しろ!」

 怒り狂う兄貴分たちの喧騒の中、部屋の最奥、パイプ椅子に深く腰掛けた一人の若者がいた。

 稲川翔(いながわ しょう)。組に入門してまだ数ヶ月の、出処の分からない不気味な若造だ。彼はポケットに手を突っ込んだまま、くわえ煙草の紫煙を気だるげに吐き出した。その目には、一切の感情の揺らぎがない。

「兄貴、チャカなんか要りませんよ。……ドス一本ありゃあ、十分だ」

 ドスの利いた、静かすぎる翔の声に、事務所が一瞬で静まり返る。翔は肩にかけていた黒い上着をルーズに羽織り直した。その上着の隙間から、まだ彫りかけの、しかし圧倒的な覇気を放つ『武蔵坊弁慶』の刺青が不気味に覗いていた。

「翔……お前、一人で行く気か!?」

「ナメられたままじゃ、極道(ヤクザ)はビジネス(シノギ)ができませんからね。ちょっと、東北の犬どもを躾けに行ってきます」

 それが、関東と東北の極道社会を真っ二つに引き裂くことになる、狂気の巨大抗争――「東蘆戦争」の静かな引き金だった。

 * * *

 深夜2時。東北の雪が舞い始める直前の、不穏な平原の街道沿い。

 蘆名組が関東進出の拠点にしている地方の秘密賭場(事務所)の前に、ヘッドライトを消した一台の巨大な【10トンダンプカー】が、闇に紛れて静かに停車した。

 運転席に座り、ニヤリと冷酷に口元を歪めているのは、稲川翔だ。

「お、おい翔! 本当にやるのか!? 蘆名組の事務所に正面からカチ込んだら、本当に引き返せねえぞ!」

 助手席でガタガタと震える兄貴分を完全に無視し、翔は煙草の火を灰皿でもみ消すと、不敵に言い放った。

「ヤクザのケンカはな……最初の一撃で、相手のド頭をハメ殺した方が勝ちなんですよ」

 翔の右足が、アクセルペダルを底まで力任せに踏み込んだ。

 ブオオオオオオオオオオオオッ!!!!

 10トンの鉄塊が、猛獣のような爆音を響かせて急加速する。深夜の静寂を切り裂き、ダンプカーは蘆名組の事務所の正面玄関へと一直線に突き進む。

 ズガァァァァァンッ!!!!

 凄まじい衝撃音とともに、事務所の頑丈な鉄扉とコンクリートの壁が、まるで紙細工のように粉々に破砕された。ダンプの鼻先が建物の中心まで突き刺さり、白煙と土煙が室内に立ち込める。

「な、なんだァッ!?」「敵襲だッ!」という蘆名組の組員たちの悲鳴と怒号が響き渡った。

 ダンプのドアが勢いよく蹴り開けられ、煙の中から最初に飛び降りたのは、一本の長ドスを逆手に握った翔だった。

「東義会の稲川だ。お前らの仕組んだ不条理なシノギ、ここでまとめてケジメつけさせてもらうぜ」

「このガキィッ!!」

 蘆名組の武闘派たちが、ギラつく刃物を手に一斉に翔へと襲いかかる。深夜の崩壊した室内で、容赦のないドスの刺し合いが始まった。

 キィィン! ガガッ!!

 激しい金属音が響く。左右から迫る刃に対し、翔はミリ単位の身のこなしで最小限にかわすと、流れるような動作で前衛の男の腕を深く斬り裂いた。鮮血が崩れた壁に飛び散る。

「ひ、ハジけ(狂って)やがる、この若造……!」

 奥にいた蘆名組の幹部が、懐からチャカを引き抜こうとしたその刹那。翔は一歩で間合いを詰めると、ドスの柄頭で男の顎を強打し、脳震盪を起こして白目を剥いた男の首筋を、振り返りざまに一文字に切り裂いた。

 ドサリ、ドサリと肉塊が転がる。わずか数分の出来事だった。

 ダンプでの常識外れの奇襲と、翔の圧倒的な武闘派の剣技の前に、蘆名組の拠点は一瞬で血の海と化し、壊滅した。

 翔は拉致されていた東義会の若い衆を縛っていた太い鎖を、ドスの一撃でブチ切ると、死体の服で刀の血を無造作に拭い、静かに鞘に収めた。

 新しい煙草に火をつけ、暗闇の中で赤い火を灯す。背中の弁慶の刺青が、無数の死体を見下ろして蠢いているようだった。

「……さて。関東の極道の格って奴を、これからじっくり教えてやるよ」

 この夜、一人の若き狂犬が引き金を引いた凄まじいカチコミこそが、のちに何百人もの鉄砲玉が飛び交うことになる、血みどろの「東北戦争」の開幕の狼煙だった。

 そして、この現代の修羅場で翔が磨き上げた「暴力と知略のロジック」が、のちに異世界を震撼させる『裏の帝国』の絶対的な礎となるのである。

0巻1話についてですか最初は主人公稲川翔の日本での活躍を描きました。結構擬音などが多いと感じました。まだまだ続くのでこれからよろしくお願いします。

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