無人島へ
俺は病院を出ることにした。
いちいちドクターや看護師に話をする理由や意味を見いだせなかったので、何も言わず何も持たず病院を出た。
そしてひたすら海を目指して走った。
ジョギングの感覚で100m世界記録のスピードを超えていた。
舗装された道路を走る理由もなかったので、まっすぐ最短ルートで海に向かうために山を通り抜けた。
俺は、丘や谷を一歩で飛び越えた。
海には1時間ほどで到着した。
そこから沖のほうを見ながら海岸線沿いをひたすら走った。
しばらく走ったところで俺は異常に良くなった視力と感覚をもとに、過ごしやすそうな無人島を数百キロ先に見つけた。
すぐにそのまま海に入って泳ぎ始めた。
数キロ泳いだところで、目的の無人島方向に流れる波に乗ることができたので仰向けにぷかぷか浮いて到着を待った。
2日ほど流されただろうか?
ついに目的地に到着した。
地図には載っていない。
また、普段は霧が濃いエリアで島すらほとんど周りからは見えない。
俺が病院を出て無人島に来た理由は、次の睡眠が何となくかなり長くなる気がしたからだ。
もし病院で睡眠期に入れば数年は面倒を見てくれるだろう。
だが俺が数百年の眠りに入ったらどうか?
担当者が次々と変わったらどうか?
どこかのタイミングで死体として扱われることを懸念した。
なので数百年安心して眠る場所としてこの島を選んだ。
この島を選んだ理由としては、
この島は数千年大きな自然災害に見舞われていない。
地盤もかなりしっかりしている。
生えてる木のどれもが樹齢1000年を軽く超えていた。
何より島全体の気がとても心地よかった。
まるで、ここに来れば安心して寝かせてやると言われているような感じがした。
ちょうど島の中心部あたりにとんでもなく大きなクスノキがあった。
樹齢は優に3000年を超えている。
俺はその大クスの根元に手を当て対話を試みた。
大クスは俺を受け入れてくれた。
そして、大クスは自身の根本の入り組んだくぼみのところを寝床にしろと言ってくれた。
俺も数百年の睡眠期を過ごすにはそこしかないと思ったのでありがたく使わせてもらうことにした。




