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亡き妹のための綺想曲  作者: 雪斗
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デビュタント 再確認

デビュタント編がなかなか終わらない……

オーランド・ルト・メイヴィス

フェニカ・ルト・メイヴィスの兄で私を……シオンを口封じの為に殺した下衆。


オーランドはセリーナの姿だけは認識出来たようだが、まだ距離があり顔は見えていないようだ。


王宮の庭は光魔法によって明るくなっている為、夜でも明るく何の問題もない。


オーランドが徐々に此方に近づいてくる。

セリーナは今にもオーランドを斬り殺したい衝動をグッと堪えると顔を伏せた。

オーランドがついに目の前で止まった。


「此処で、何をしている。」


その言葉にセリーナは顔を上げた。

セリーナの顔を見てオーランドは目を見開き、言葉を失う。


「ア、アナスタシア……」


青褪めるその姿はなかなかに滑稽だ。

セリーナは笑いたい衝動を堪えて、オーランドを見据えた。


「あの、私こういう場に慣れていなくて……だから此処で休んでいましたの。」


そう話してもまだ、オーランドは茫然としたままだ。

セリーナは立ち上がると蠱惑的に微笑み、オーランドの胸に手を当てた。


「どうかしました?何か……」


そう言い終わらぬうちに、オーランドはセリーナを無理やり地面に押し倒した。


「うっ……」


背中やお尻が地面に叩きつけられて痛い。

痛みを堪えながらもセリーナはこの状況を冷静に分析し、余裕な微笑みを浮かべていた。


押し倒されたことに対する恐怖など一切ない。

こんな奴には臆さない。


オーランドは血走った目でセリーナを見つめた。

碧の瞳が酷く不快である。


「貴様!何者だ!アナスタシアと同じ姿で何をしようとしている!」


その焦った態度が面白い。


「あの?何を勘違いされているのですか?私はシェルヴィ伯爵家のセリーナです……アナスタシアとは誰の事ですか?」


そう話すセリーナにオーランドはやっと我に返ったようだ。

急いで、セリーナから離れるとオーランドは深く頭を下げた。


「すまない!君が……ある人とあまりにも似ていて……それで……」

「いいですよ……私は大丈夫です……それに……」


『何をしようとしている!』


その言葉とあの尋常ではない動揺っぷりでオーランドがアナスタシアを苦しめた一人であることを再確認する事ができたからな。


憎い、お前が。

憎い、お前みたいのと親友になってしまった自分が。


オーランドは申し訳なさそうな表情でセリーナを見ていたが、暫くすると笑顔になった。


「こんな偶然ってあるんだな……少し話さないか?セリーナ……」


その提案にセリーナは頷いた。

















セリーナとオーランドは王宮の薔薇園に来ていた。

そういえば、アナスタシアも薔薇が好きだったなと、セリーナは思い出して思わず頬が緩んだ。


「薔薇が好きなのか?」

「……いえ、私の友人が好きな花なんです。」


お前が死に追いやった私の妹が好きな花だった。


オーランドも何か思い出したのか頬を緩めるとセリーナを見つめた。


「君を見ていると思い出す……私の親友だった男の妹も薔薇が好きだった……」


その言葉を聞いて頬を殴りたい衝動を必死に抑えた。

そんなセリーナには未だ気付かずオーランドは話し続ける。


「その妹は本当に美しい人で……よく君に似ていた……」


耳を塞ぎたい、もう聞きたくない。

仮面の笑顔が剥がれていく音がする。

どうして、そんな風に笑って語れる……

私は……私は……


「叶うならば、その人とその兄に……」


オーランドの言葉が言い終わらないうちにパンと乾いた音が辺りに響く。

セリーナが思いっきりオーランドの頬を叩いたのだ。



次回も読んでくれると嬉しいです。

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