デビュタント 対面
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
馬車に揺られながら、セリーナは考えていた。
復讐相手の事を。
復讐する相手は三人。
元王太子で現国王のヴィンセント・エル・オルティエン
この国の王妃となったが、子が出来ず次第に精神を病んで、今や冷宮にいるフェニカ・ルト・メイヴィス
そして、近衛騎士団長のオーランド・ルト・メイヴィス
まずは、ヴィンセントとオーランドに思い知らせてやろう。
罪は消えないと。
王宮に着いた為、馬車から降りた。
まだ、中には入っていないが、何人かの年頃の少女が兄や婚約者と会話している姿が見えた。
因みに、セリーナには兄も婚約者もいない。
その為、セリーナはアレクシスと最初に踊る事になっている。
アレクシスはうきうきしているがセリーナは別だ。
悪目立ちしそうで怖い。
そんな事を考えながら王宮の中に入って行ったのだが、自分に痛いほど視線が集まっているのがわかる。
羨望と嫉妬の眼差しがセリーナに突き刺さるが、気にしない。
因みに、非公式でも舞踏会に行けない事はないから、ここに居る殆どの人達は行ったことのある人達だろう。
だから、一度も行ったことの無いセリーナは余計に目立つのだ。
そんな視線を浴びること暫し……
「王様と王太子様の御成ー」
その言葉と共に、国王と王太子が入ってきた。
確か今年で、王太子は十六歳だ。
そして、まだ婚約者はいない。
国王と王太子は一際高い段に設置されている椅子に座った。
そして国王、ヴィンセントが話し出す。
「デビュタントを迎えた娘達よ、今宵は楽しむが良い。」
その言葉を皮切りにして、娘達のデビュタントが始まった。
「セリーナ。まだ、踊らないのかい?」
その言葉にセリーナは頬を膨らませた。
「父様!もうすぐ、王様と王太子様に拝謁する順番が回ってくるのですよ!何を言っているのですか!踊るのはその後です!」
その言葉を聞いてアレクシスは萎れた。
その様子を見て、セリーナはふふっと笑った。
今では、セリーナはアレクシスの事を実の父親として尊敬しているし、家族として愛してる。
そんな事を考えていたセリーナだったが、遂に国王と王太子に拝謁する順番が回ってきた。
殺してしまいたい程の憎悪を抑える。
そして、完璧な笑顔の仮面をつける。
頭を下げている状態のセリーナとアレクシス。
「面を上げよ。」
その言葉に二人は顔を上げた。
アナスタシアと瓜二つの顔が国王、ヴィンセントの前に晒される。
ヴィンセントは大きく目を見開くとセリーナを見つめた。
「……アナスタシア」
その言葉にセリーナは内心腸が煮えくりかえりそうだった。
気安く、その名を呼ぶな。
だが、そんな気持ちを抑えてセリーナはにっこり笑った。
「シェルヴィ伯爵家のセリーナと申します、王様。」
忘れるな、罪は消えない。
次回も読んでくれると嬉しいです。




