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亡き妹のための綺想曲  作者: 雪斗
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最後の想い

レヴィン視点です。

楽しんでくれると嬉しいです。

目を覚まして最初に見たのは知らない天井だった。

此処は何処なんだろう……そんな事を考えていたレヴィンだったが、誰かに手を握られている事に気づきそちらの方向を見た。


そこに居たのは天使のように美しい少女。


「セリーナ……」


その少女……セリーナはレヴィンの手を握ったまま眠っていた。

レヴィンは握られている手はそのままに、痛む体を堪えて起き上がった。


部屋を見回しても此処が何処かは分からないが、セリーナがいるだけで不思議と大丈夫と思えた。


そんな事を思いレヴィンはセリーナの頭を優しく撫でた。

そうして暫く撫で続けていたのだが、レヴィンはふとセリーナの頬に涙のあとがある事に気付いた。


……また泣いていたのだろうか。

そう思うと不思議なくらい胸が苦しくなった。


レヴィンはセリーナの頬に唇を寄せると涙のあとにキスをした。

泣かないで欲しい……そんな想いを込めて。

そうしてセリーナの頬から唇を離した時だった。


「んっ……」


セリーナは呻くと、ゆっくり目を開けていった。

レヴィンはそんなセリーナを愛おしげに見つめ、その名を呼んだ。


「セリーナ……」


その声にセリーナはハッとして、目を覚ましているレヴィンに気付くと破顔した。


「レヴィン!良かった……本当に良かった!何日も眠っていたからもう起きないんじゃないかと心配して……」


その言葉にレヴィンは驚いた。


「僕はそんなに眠っていたのか……もしかして……その間セリーナがつきっきりで僕の看病をしてくれていたの?」

「ええ、そうよ……」

「本当にありがとう、セリーナ。」


お礼を言うと何故かセリーナの顔が曇った。


「私は貴方にお礼を言われる筋合いなんてない……だって……」


レヴィンはだっての後の言葉を待っていたのだが、セリーナは悲しげに目を伏せると口を閉ざしてしまった。

何か言いにくい事情でもあるのだろうか……レヴィンはそんなことを思ったのだが聞かなかった。


「ところでセリーナ……此処は何処なんだ?」


話題を変えようとレヴィンはずっと思っていた疑問を口に出した。

その言葉にセリーナは儚げに微笑んだ。

今にも消えてしまいそうなその笑みがレヴィンには何故かとても美しく見えた。


「此処は私の家……シェルヴィ伯爵家よ……レヴィン……貴方はこの家の養子になるの……」


突然すぎるその言葉にレヴィンは限界まで目を見開いた。

……訳がわからなかった。


「セリーナ?何を言っているんだ?僕は確かにメイヴィス公爵家に捨てられた……法律的にも完全に家族の縁を切られて……でもだからってどうしてシェルヴィ伯爵が僕を養子にするんだ!」

「私が父様に頼んだの……レヴィンを我が家の養子にして欲しいと……」

「どうして……そんな事を!分かっているのか、僕がどんな汚名を着ているのか!そんな僕を引き取れば家名に傷がつくし、セリーナだってみんなから奇異の目で見られる!なのにどうして僕なんかを養子に!」


そう混乱しているレヴィンの目をセリーナは力強く見つめた。


「そんなの関係ないわ……どうでも良いのよ!貴方に安心出来る居場所が出来て、貴方が幸せになってくれればそれで良いのよ!」

「……どうしてそこまでしてくれるんだ?」


レヴィンには分からなかった。

セリーナがどうして自分の為にそこまでしてくれるのか……


セリーナは握っている手を離すと床に正座し、両手を前に添えた。

いきなりのその行動にレヴィンは面食らった。


「セリーナ!何しているんだ!立って……」

「レヴィン様……」


突然の敬語にレヴィンは再び面食らった。


「どうかそのまま聞いて下さい。」


その切なる想いが込められた声にレヴィンは再び開けようとしていた口を閉ざした。

セリーナはそれを見て微笑むと話し始めた。


「心の底からお慕い申し上げておりました……レヴィン様。」


その言葉にレヴィンは絶句した。

そんなレヴィンを他所にセリーナは話を続ける。


「初めてお会いした時からずっと貴方の事を想うておりました……けれど貴方は私の兄となられるお方……お慕いしてはならぬ故、貴方を養子にして欲しいと父に申し上げたあの日に私はこの想いを捨てました。けれど、どうしてもお伝えしたかったのです……貴方を想うていたと……」


そう言うとセリーナは頭を下げた。


「心の底から……貴方の事を……お慕い申し上げておりました……」


そんな切ない響きを持つ声に、レヴィンは泣きそうになるのを堪えてベッドから立ち上がるとセリーナに近づき屈んだ。


「顔を上げて……」


その声で顔を上げたセリーナの頬に、レヴィンは手を添えた。

そして言った。


「セリーナ、愛している」


その言葉とともにレヴィンはセリーナの唇に自分の唇を重ねた。

セリーナは突然の事に驚いたが抵抗せず、ゆっくりと目を閉じた。


二人は愛する恋人同士のように深い深いキスをした。

想い合っているのにむすばれない……そんな悲しみと切なさを抱いて。







次回も読んでくれると嬉しいです。

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