魔法学園 劇の内容
楽しんでくれると嬉しいです。
アナスタシアの悲劇を基にセリーナが考えた、劇で使用する物語。
ある所に麗しい貴族の令嬢でソルティアーナという名の少女がおりました。
彼女は大変美しく歌が得意で、よく婚約者であった王子に歌を歌ってあげていました。
二人は側から見れば、本当に深く愛し合っているように見えたのです。
ですが、ある日ソルティアーナは見てしまったのです。
王子が他の貴族の令嬢と愛を交わしている所を。
それを見たソルティアーナは悲しくて堪りませんでした。
そして遂に、全てを捧げて愛した王子にソルティアーナは無残に裏切られ、捨てられてしまいました。
悲しくて苦しくて堪らないソルティアーナをさらなる悲劇が襲います。
なんと王子ではない人との子を身篭ったという、根も葉もない噂が流れ始めたのです。
ソルティアーナは必死に否定しますが、誰も信じてくれません。
遂に、ソルティアーナの家はお取り潰しにされてしまいました。
両親は自殺してしまい、一人取り残され平民に堕とされたソルティアーナ。
しかも屈辱的な事に、王子を取った令嬢はソルティアーナに自分たちの結婚式で歌を歌うように命令したのです。
結婚式の当日、ソルティアーナはボロボロの服を着て煌びやかな貴族たちの前に引っ張り出されました。
皆が、ソルティアーナを嘲ります。
そんな視線をひしひしと感じながらもソルティアーナは毅然と前を向き、歌い始めました。
ソルティアーナの美しい歌声に皆が聞き惚れる中、突然王宮に火が付けられました。
民衆による反乱が起こったのです。
一気に混沌と化す結婚式の広間。
炎に包まれ皆が逃げ惑う中、ソルティアーナはその美しい声を響かせ、いつまでも歌い続けました。
そして、歌い続けたソルティアーナは炎の中へと消えていきました。
(終)
「……そ、そんなに重い話をするのか?」
静寂を破り、そう最初に言葉を発したのは学級委員だった。
その言葉にセリーナは笑顔で頷いた。
「多分、先輩たちはハッピーエンドの物語で来るから、あえて悲恋で攻めようと思ったの。それに、私たち最後に劇をするでしょう?だから、インパクトが強い方が評価高くなるかなって……」
テヘッとでも言いそうな表情をしたセリーナに学級委員は頬を染めた。
まぁ、単に劇はヴィンセントも見に来るからアナスタシアの事を少しでも思い出して、苦しむ様な話にしたいと思っただけだが。
「まぁ、重いけど、なかなか演じがいのある物語で……俺は良いと思うけど……」
その言葉にクラスのみんなが頷いている。
その様子を見て、セリーナは微笑んだ。
「ただ、この物語の主人公ソルティアーナはセリーナがやれよ!」
その突然の学級委員の言葉に、セリーナは目を見開いた。
「私が?」
「この話を考えたのはセリーナだろ!それに美貌もあって歌も上手だし、適任じゃないか!」
皆がそれに頷いている。
その様子にセリーナは戸惑った。
主人公なんて本当はやりたくないと思ったが、よくよく考えてセリーナは思った。
セリーナは今、アナスタシアと瓜二つだ。
という事は、ヴィンセントによりアナスタシアの事を思い出させる事が出来るのでは?
セリーナは微笑むとその提案を受け入れた。
「有り難くやらせて頂くわ!」
その言葉を皮切りにクラス中で拍手が巻き起こった。
夜、セリーナの寮の自室をこっそりと訪ねて来る青年がいた。
銀髪が美しい美青年、シャルである。
シャルはベッドに座るセリーナの目の前に傅いた。
「……シャル、準備は出来ているのかしら?」
「勿論で御座います、我が女神よ。王妃は薬で弱っておりますし、文化祭でセリーナ様のクラスが劇を演じられる時に、王の傍にいる側室メレイアを襲わせる刺客の用意も出来ております。」
その言葉にセリーナは満足げに頷いた。
「……メレイアを殺してはいけないよ、アナスタシアの親友だったからね……ねぇ、その刺客は捕まった時にちゃんと王妃フェニカの名を言うでしょうね?」
「はい。子供を人質にとり、言わなければ殺すと脅してあります。それに万が一言わなくてもセリーナ様の企みだとバレる事は決して御座いません。」
その言葉にセリーナは本当に嬉しそうに微笑んだ。
「子でも、何でも利用しなさい。アナスタシアが死んだあの日から私は鬼になったのだから。」
セリーナは愛おしげにシャルの頭を撫でると、近づいて頬にキスをした。
「シャル……貴方は私のものよ。」
「我が女神……貴女に永遠の忠誠を。」
セリーナは何処までも昏く嗤った。
遂に漆黒の闇が動き出す。
劇の内容重っ!と思った方ごめんなさい。
次回も読んでくれると嬉しいです。




