魔法学園 実行委員
楽しんでくれると嬉しいです。
此処は王宮のとある薔薇園。
そこで、一人の美しい女が優雅に紅茶を飲みながら、薔薇を眺めていた。
薔薇で思い出されるのは懐かしい親友の顔。
美しい女……メレイアは親友の悲劇を思い出し、悲しみに顔を歪めた。
「……アナスタシア」
美しい黒髪に紫の瞳を持つ美少女で、才媛でもあった彼女はメレイアにとって憧れの存在であった。
「……アナスタシアもシオン様も、もうこの世にはいないのよね。」
二人が死んで既にかなりの年月が経っているのに、未だ忘れることなど出来はしない。
「シオン様……」
そんな切なげな響きを持つ声が薔薇園に響き、メレイアは悲しげに微笑んだ。
王様の子を生したが、心は未だ亡きシオンを想っている。
シオンの事を忘れる事など出来はしない。
本当に苦しいくらいにシオンの事を想っているのに……
彼はもう、この世にはいない。
「願いが叶うのならば、どうかシオン様に会わせて欲しい……神様、私は……」
そんなメレイアの言葉は誰にも聞こえる事無く、虚空に消えた。
季節は少し流れ、秋になった。
テストでも相変わらずの主席を維持するセリーナだったが、未だレヴィンの事について悩んでいた。
それ故に話を聞いていなかったのだが、それが悪かった。
「では、文化祭の実行委員はロベルトとセリーナで良いな!」
突然自分の名前が出されて、セリーナは顔を上げた。
そして首を傾げる。
「はい?」
「だから、セリーナは文化祭の実行委員な?」
「え!どうして私なんですか!」
セリーナは突然の事に戸惑い食ってかかるが、学級委員はそんなの決まっている、とでも言いたげに眉を顰めた。
「だって、このクラスで一番しっかりしているから文化祭を成功に導いてくれそうだし、やるからには一番を取りたいじゃないか。」
その言葉にセリーナはため息を吐いた。
因みにクラスは成績順で、このクラスは学年の中でも特に賢い者たちが集められたSクラスだ。
それ故か文化祭の催しも何もかも、ほかのクラスに負けたくないという熱意が凄い。
「満場一致でセリーナは決まったし……頼むよ、セリーナ……」
その学級委員の必死さにセリーナは根負けした。
文化祭の時は個人的に忙しく、本当は実行委員なんてやる余裕はないのだが、仕方がない。
「……分かりました。」
その言葉に学級委員は満面の笑みを浮かべた。
「では、今から実行委員の二人に進行を任せる!」
その言葉の終わりと同時にセリーナは立ち上がり、前に向かった。
因みに文化祭は対抗式である。
何でもかんでも競わせようとするのだ。
セリーナのSクラスは、学級対抗の催しと、一年の全クラス代表として二年・三年のSクラスと競う劇の二つを考えなければならない。
取り敢えず、学級対抗の催しは何故か男女逆転メイド喫茶に決まった。
それが決まった時の女子の歓喜の声が凄かった。
「劇は何にする?」
そのロベルトの言葉に、セリーナは待っていましたと言わんばかりに微笑んだ。
「みんな、劇の内容は私に任せてくれない?他学年のSクラスにも決して負けない、良い話を作るから!」
その言葉にクラスのみんなは、セリーナならと頷いた。
セリーナはその様子に表面上だけは綺麗に微笑んで、心の中では昏く昏く嗤っていた。
次回も読んでくれると嬉しいです。




