悲しき愛
楽しんでくれると嬉しいです。
人が此方に来る気配を感じて、セリーナはレヴィンから離れた。
セリーナはレヴィンを軽く睨んだ後、急いでその場から離れ、校舎に入った。
未だ溢れる涙を拭いながら、誰もいない廊下をセリーナは歩く。
「私は……愛したりなんかしない……」
小さなその呟きはすぐに虚空に消えてしまう。
自分に言い聞かせるようにその呟きを繰り返すセリーナは苦しげに胸を押さえ、その場に蹲った。
「レヴィン……」
分からない。
何故、こんなにも彼に惹かれてしまうの?
……仇の息子なのに。
どうして?
私は復讐する為に前世の記憶を取り戻し、憎しみに心を委ね生きてきたのに……
それなのにその対象である仇の息子を愛するなど、アナスタシアへの裏切りではないか……
それに私には婚約者がいる。
どの道、この恋は許されないのだ。
「もう、わからない……」
誰もいない廊下でセリーナの泣く声だけが悲しく響いた。
此処は王城のとある一室。
その部屋で王妃フェニカは、ベッドに横になっていた。
「最近、体調が良くない……頭が痛く、体が重い….…」
そう言って頭を押さえるフェニカに、クレアは微笑んだ。
「王妃様、きっと疲れが出たのです。だから、どうかぐっすりとお休み下さい。」
その言葉にフェニカは頷くと目を閉じた、その時だった。
「王妃様、王様がいらっしゃっております。」
クレアとは別のメイドの言葉にフェニカは痛む体を抑えて起き上がると、弾んだ声で言った。
「通すが良い。」
その言葉と共に部屋に入ってきた王……ヴィンセントにフェニカはメイド達を部屋の外へ下がらせた後、微笑んだ。
「王様、ご機嫌麗しゅう……」
「そのような言葉は言わずとも良い……そなた、調子はどうなのだ?」
その言葉にフェニカは目を輝かせた。
「王様が、私を心配して下さるなんて……」
ヴィンセントはその言葉を鼻で笑った。
その冷たい態度に思わずフェニカの目が丸くなる。
「私がそなたを心配する?笑わせるな、私は苦しんでいるそなたの姿を見ようと思って部屋を訪ねただけだ……」
その余りにも冷たい言葉にフェニカは目を見開いた後、悲しげに表情を歪めた。
「王様……ヴィンセント、私は貴方を心からお慕いして……」
「私が、そなたを愛することは決してない。」
そうヴィンセントは冷たくフェニカに言い放つと部屋を後にした。
フェニカは暫し茫然としていたが、我に返ると涙を流し始めた。
「あぁぁぁぁぁぁぁ」
一人取り残された部屋に、フェニカの悲しい絶叫だけが虚しく響いた。
もうそろそろ、文化祭編始まります。
次回も読んでくれると嬉しいです。




