復讐の始まり
今回も楽しんでくれると嬉しいです。
正式に王太子の婚約者がセリーナ・フォン・シェルヴィに決まったと王国全土に噂が流れた。
それを知ったある令嬢は、顔を歪めて叫んでいた。
「何故、殿下は顔だけの伯爵家の女なんかを選ばれたの!」
此処はその令嬢の屋敷。
そう言って机に拳を叩きつける令嬢の名は、ユティア・エン・ラディエル。
ユティアはデビュタントの時の事を思い出して、唇を痛いほど噛み締めた。
殿下と踊る顔だけの女。
殿下の婚約者なんかにはとてもじゃないが釣り合わない。
「殿下……私ずっと貴方の事をお慕いしておりますのに……どうして……」
そう悲しげに呟き目を伏せたユティアは痛いほど手を握りしめると、憎悪の声を上げた。
「あの女、殺してやる……許さないわ……ベティカ!此処へ!」
その声と共に闇からスッと一人の女が現れた。
ユティアはその女を見ると邪悪な笑みを浮かべた。
「もうすぐ、魔法学園の入学式ですわね……そう言えばあの女、魔法も天才だとか何だとか言われていましたわね……という事はあの女は必ず魔法学園に入学する……だって、義務ですもの……ベティカ!入学式に向かう道中でセリーナ・フォン・シェルヴィを魔獣に襲わせ、殺しなさい!よいかしら?惨たらしく殺すのよ?」
「承知致しました、ユティア様。」
その言葉と共に、女は再び闇に溶けていった。
「セリーナ嬢、貴女が悪いのよ?」
そうして部屋には高らかに笑うユティアだけが残されていた。
「父様……私、どうしても魔法学園には行きたくありませんの……」
現在セリーナはアレクシスの前で、もじもじしていた。
アレクシスはそんなセリーナに微笑みかける。
「……どうしてだい?」
「……父様と一緒に居たいからです。」
その言葉にアレクシスはトロトロに溶けた。
……本当は復讐がし辛くなるからだが。
アレクシスはセリーナを抱きしめると苦しそうに話し出した。
「私も、可愛い可愛いセリーナが学園に行ってしまうなんて悲しくて堪らないけど、これだけはどうしようも無いんだ。魔法学園に通うのは魔法を使えるものにとっての義務だから……」
その言葉にセリーナは目にわかる様に落胆した。
復讐がし辛くなってしまう、だがしょうがない。
魔法学園からでも復讐する方法はある。
セリーナは微笑むとアレクシスを抱きしめ返した。
「分かりましたわ、父様。」
まずはあの女……フェニカからだ。
あの女を薬で弱らせた後、側室殺害未遂の罪を被せ平民に堕としてやろう。
その後、私が直々に嬲り殺してやる。
その場面を想像して、セリーナは嗤った。
セリーナは黒いフードを深く被り、誰にも知られない様にして、ある場所に着ていた。
その場所には一人の青年がいた。
青年はセリーナに傅くと首を垂れた。
「セリーナ様、お待ちしておりました。薬の用意も、それを冷宮にいる王妃に飲ませる手筈も整っております。」
その言葉にセリーナは微笑んだ。
「ありがとう、シャル。」
その言葉にシャルと呼ばれた青年は微笑んだ。
「貴女の為なら、何でも致しましょう。我が女神よ。」
「……貴方の命は私のものよ、シャル。私の為に生きて、私の為に死になさい。」
「心得ております。」
セリーナはそんなシャルを満足そうに見ると口角を上げた。
「さあ、復讐の始まりだ。」
もう少しで魔法学園編始まります。




