二人の結婚式1
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ナナエルは長いトレーンのついたドレスを着て窓から外を眺めた。
公国は多くの魔法使いの助けを借り、安定した治世をしている。
王国は逆に徐々に徐々に治安が悪化し、国が衰え始めていた。
けれど、このおめでたい日にそんなことを考えるべきではないとナナエルは首を振ってから鏡に映った自分を見た。
地味な色を持つナナエルだけれど、それでも今日のために磨きに磨き上げた肌も髪も光り輝く様だった。
「お嬢様、本当にお美しいです」
年かさの使用人が目に涙を浮かべ言ってくれた。
昨日は公爵家の家族と皆で食事をした。
父も母も涙ぐみながら「幸せになるのよ」と言っていた。
そうだ。
ナナエルは幸せになる。
美しい刺繍と、レースで縁取られたウェディングドレスは兄の結婚式で見た義姉のものよりかわいらしい物だった。
デザイン選びの時母も義姉も張り切って、ああでもない、こうでもないと仕立て屋に話をしていた。
「お時間になります。
新郎がお待ちかねですよ」
髪の毛のセットと化粧をもう一度確認していたところでそう言われた。
控室を出ると、ウィリアムが花婿姿で待っていた。
ナナエルと同じ、白い色のいでたちだった。
白のタキシードにグレーのベストが差し色になっていて美しい。
「ナナエル、世界一綺麗だ!!」
ナナエルがウィリアムに何か言う前に、ウィリアムは蕩ける様な笑顔を見せてそう言った。
それから手を差し出した。
これから共にずっとずっと歩んでいく合図だった。
ナナエルはそっとその手に自分の手を乗せた。
お互いに手袋をしているので肌が触れ合っている訳ではないけれど、ウィリアムの熱が伝わって来て、彼も少しだけ緊張しているのだと気が付いた。
二人で一歩一歩歩んでいくそして、祭壇のある祭場に入る。
淡い光が入るその場所は厳かな雰囲気だった。
結婚の見届け人である祭祀は教会が派遣してくれた。
最初は教皇が行くと言ってきかなかったらしいが、無理でしょうと教会関係者が皆反対していた。
恐らくウィリアムの魔法の力が強い件と関係しているのだろうけれど、ナナエルは何も聞いていない。
聞かない方がいいことも世の中にはある。
祭祀の前に立って、促され、誓いの言葉を述べた。
少しだけ気恥ずかしくて思わず言った後緩い笑顔をナナエルは浮かべてしまった。
※この世界には新婦の父親とバージンロードを歩く風習はありません。




