王子の婚約発表
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王子の婚約発表がされた。
相手はルクサンドラ王国のカサンドラ公爵令嬢だった。
ルクサンドラ王国の王妹は侯爵家に嫁いでいたが今回の婚約の前に爵位が上がったそうだ。
王位継承権ははく奪されずそのまま嫁ぐ。
もし二人の間に子供が生まれたら二つの国の王位継承権を持つことになる。
友好国であったり、どちらかの国の国力が他の追随を許さないという事であれば祝われる婚約だった。
宰相は病気療養中として、代理の侯爵が御触れをだした。
宰相の抜けた穴は大きく、政務はナナエルが抜けた直後より更に滞りがちとなっているらしい。
国の機能が緩やかに停止しようとしている様にナナエルは思えた。
「あれは、思い付きでやっているのでしょうか?」
学園でまで婚約披露パーティをしている王子達を棟から眺めながらナナエルは言った。
「あの、王子とお姫様はそうだろうね。
でも……」
「でも?」
ナナエルは聞き返した。
「王妃がね……」
ナナエルは婚約者候補だった時の王妃陛下を思い出す。
王子を猫かわいがりするように溺愛していた事。
そして自分への美貌に何よりも自信があった事。
を思い出した。政務に対して強い興味があるとは思えなかった。
ナナエルが不思議そうな顔をしていたのだろう。
「正確には王妃とグルになった御用商人兼占い師なんだけどね」
と正解を教えてくれた。
占い師は魔法使いの少ない国では不確実な未来を予想する仕事だが、魔法使いのいる国では意味が違う。
魔法の力によって様々な事柄を予知・予測する仕事が占い師だ。
鉱脈などを探したり、麦に付く病原菌の広がりを予測したり、重用される仕事の一つとされている。
本当に当たるため、それに依存してしまう人もいると聞く。
「宮殿に潜り込める魔法使いとなると相当な使い手という事ですか?」
「うーん。それがどうにもつかみどころが無くてね」
魔法使いが単独で動いているなら、権力欲でもあるのか逆に王家に恨みがあるかだろう。
そうでなければ占い師は実働部隊で裏で手引きをする人間がいるはずだ。
それが、まだわかっていないので、ナナエルも注意して欲しいと言われた。
注意? とナナエルは思ったけれど、どうやら宰相が病気療養中のため政務を行う人がたりないらしく、何らかの理由をつけてナナエルを宮殿で働かせたいらしい。
「そんなにお忙しいのなら、わざわざ学園でまで婚約披露パーティなんてしなければいいのに」
今回は参加者は指定の者たちばかりで、歴史研究科は全員参加者から外されていた。
ただ、そもそも婚約式やそのお披露目はナナエルたちの様にしない場合もあるし、してもその家として行う。
学園の行事の様に学園で行うということ自体が異例中の異例だ。
忙しいのは仕方が無いのかもしれないけれど、明らかに無駄なことをした帳尻をナナエルに押し付けようとするのはありえない。
しかもかなり酷い噂が流れるに決まっている状態で切り捨てておいてだ。
「護衛を増やそうかしら」
兄も義姉も喜んで公爵家の私兵を回してくれそうだ。
「では、俺からも」
ウィリアムは笑顔で言った。
それが冗談なのか本気なのか分からず、ナナエルは何度も「じょうだんよね!??!」と聞いた。
魔法部隊には隠密行動が得意なものも多いという。
結局ナナエルはウィリアム経由の護衛が増えたのかそうではないのか分からなかった。




