初めまして?って
お茶会は侯爵家の庭に魔法で大きなひさしを浮かべて木陰が作られていてその下で行われた。
テーブルには令嬢が好みそうな菓子が並び五人ほどの令嬢が参加していた。
「本日はお招きいただいてありがとう、ジョエル」
ナナエルが言うと「来てくれて嬉しいわ。ここには見る目の無い馬鹿はいないから安心して楽しんで」とジョエルは返した。
「皆さま、私のお友達のナナエルよ」
そう言うと五人の令嬢たちは皆挨拶をしてくれた。
あの日、ジョエルに付き添っている令嬢もいた。
侯爵家の派閥の伯爵家の令嬢だった。
ジョエルと懇意にしている令嬢のため皆魔法にたけているとナナエルは思っていたけれどそんなことは無かった。
刺繍が得意だという令嬢からハンカチをお近づきの印としてプレゼントされてナナエルは感嘆とともにそれを眺めた。
皆で席について、紅茶を飲む。
用意されたお菓子もとても美味しくて、ナナエルは自然と笑みを浮かべていた。
ナナエルは今日はここに来てよかったと思えた。
もう少し頑張ってみようと思えた。
そんな中ウィリアムが庭園にあらわれた。
きょろきょろとした後、お茶会のテーブルに向かって歩いてきた。
そして、ジョエルに軽くあいさつした後、ナナエルを見た。
氷の花のお礼をナナエルは言いたかった。
ナナエルが口を開く前にウィリアムが口を開いた。
「ああ、君は初めまして?だね」
あの人、ウィリアムにそう言われて、ナナエルはショックだった。
あの日のことも何もかもこの人には無かったことなるのかとナナエルは思った。
全部全部無かったことになってしまうのか。
ここは社交の場だという言うのにポロリと涙がこぼれた。
「何してるのよ馬鹿!!
今日ここで出会った”こと”にしましょうという話だったでしょ?
本当に今日ここで出会ったフリをしないといけない訳ないじゃない。
兄さんはホント魔法以外はぼんくらね!!」
ジョエルが叫んでようやく我に返った。
目の前には慌ててオロオロとするウィリアムがいた。




