“友達”からのお茶会のお誘い
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ナナエルはまだ学園に復帰していなかった。
兄の結婚が早まると聞いた。
義姉になる人は公爵邸を訪ねてきた際、わが事のように悲しんで怒ってくれた。
そして、ナナエルを抱きしめると「大丈夫。私たちはあなたの味方よ」と言ってくれた。
出来損ないと言われたも同然のナナエルが家族でもいいのだと、何も気にしないで嫁ぐつもりよと義姉になる人は言ってくれた。
だって、あなたは色々できる人だってちゃんと知っているから。と義姉に言われて少し泣きそうになった。
そうして過ごしている中、お茶会へのお誘いがあった。
ごく親しい令嬢だけを呼ぶらしいお茶会は侯爵令嬢であるジョエルからのものだった。
あの時の猫の様な目はよく覚えている。
親しい友人のみを呼ぶという事は多分、針の筵にはならないだろう。
ナナエルは承諾する返事をして、久しぶりに新しいドレスを作った。
淑女としてふさわしいドレスか王子が気に入りそうなドレスばかり着ていたので自分が着たいと思えるものを作るのは楽しかった。
淡いグリーンのドレスはとても気に入っている。
絹の織が特殊で模様がつやつやと淡く光るのもガーデンパーティ風に外で行うという茶会で美しく映えるだろう。
王子との義務での茶会はあんなに憂鬱だったというのにナナエルは茶会がとても楽しみだった。
それから、今までできなかった友達との時間というものがこれからは作れるかもしれないと思った。
お茶会の前日にも氷の花が届いた。
ただ、その日その氷は溶けることなくことなく、クリスタルの髪飾りに変わった。
とてつもない高度な魔法だった。
とてもきれいなそれは明日着ていく淡いグリーンのドレスととてもあっている様に思えた。
ナナエルの髪を整えてくれる使用人に確認すると、明日のコーディネイトに加えてくれることになった。
明日このかわいらしい髪飾りのお礼がいえたらいい。ナナエルはそう思った。
聞いている明日の出席者は全員令嬢で彼の名前は無いけれど。
針の筵とかその手の言葉の置き換えは今作ではしない予定です。
むしろがあるかちょっと分からないです。




